キク類

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キク類
Asterids.png
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
学名
正式な分類階級なし

キク類(Asterids)は、被子植物の一群で、双子葉植物の中の2つの主要なグループの1つを構成している。 APG(被子植物系統グループ:Angiosperm Phylogeny Group)の分類学上では、階級を持たない分類群であり、かつてのキク亜綱(Asteridae)と合弁花類(Sympetalae)の分類群をほぼ含みます。

キク類に属する分類群のほとんどは、クロンキスト体系(1981年)ではキク亜網に、それ以前のエングラー体系では合弁花植物亜綱に分類されていました。 キク類(asterids)という名称(必ずしも大文字ではない)は、植物名に似ていますが、植物の国際命名法(ICN)によって正式にランク付けされた名称ではなく、被子植物の分類のために系統学的研究に使われている名称です。

概要

キク類は、約8万の種からなる被子植物内の大きなグループで、12の目とコアシソ類、100以上の科に分類され、被子植物の全種の3分の1から4分の1を占める。 この一群は、被子植物の中でも形質(原型的特徴)から最も離れた、いわば最も進化した分類群を表しています。 約5,000万年前の新生代に誕生した可能性が高く、その進化には受粉媒介昆虫による虫媒受粉への共同適応が関係しているとしている。

特徴

キク類は、共通の形態的特徴はわずかしかなく、基本的に分子遺伝学によって特徴づけられている。 その中で形態的な特徴を挙げるとすれば、多くの花が五角形で萼があり、花びらが融合している合弁花類(Sympetalae)である。 雌蕊輪(雄しべの輪)は1つしかないこともよくあり、雌蕊は心皮が融合した合成心皮(Syncarpous)で、雌蕊の数が減少する場合があります。 また、子房は1つの珠皮しか持たない薄層型(Tenuinucellate)で胚乳の形成は細胞内で起こります。

二次代謝産物

特徴的な二次代謝産物としては、イリドイド(Iridoid)、インドール(Indol)、ステロイドアルカロイド(Steroidalkaloide)、ポリアセチレン(Polyethin)、セスキテルペンラクトン(Sesquiterpenlactone)などが含まれる。

分類学

外部分類

キク類の植物は、バラ類の植物と並んで、真正双子葉類の中の2つの大きなグループの1つです。 ビャクダン目、ベルベリドプシス目、ナデシコ目の3つの目がキク上群(Superasterids)を構成しています。 キク類の姉妹群(Sister group)はナデシコ目です。 キク類は、2つのグループの目と2つの基底目から構成されています。

真正双子葉類
バラ上群(Superrosids

 ユキノシタ目(Saxifragales


バラ類(Rosids

 ブドウ目(Vitales


真性バラ類(Eurosids

 マメ類(Fabids



 アオイ類(Malvids





キク上群(Superasterids

 ビャクダン目(Santalales




 ベルベリドプシス目(Berberidopsidales




 ナデシコ目(Caryophyllales


キク類Asterids

 ミズキ目(Cornales




 ツツジ目(Ericales


真正キク類(Euasterids

 キキョウ類(Campanulids



 シソ類Lamiids









内部分類

キク類

APG II以降に行われた遺伝子解析では、キク類の全てがミズキ目の姉妹群であることが確認されている。 キク類のベースから2番目に分かれた目はツツジ目です。 残りの目は、シソ類とキキョウ類の2つに分類されます。

APG IIIでは、次の分類群の名前が変更されました。

  • 真正キク類 I(Euasterids I)→ シソ類Lamiids
  • 真正キク類 II(Euasterids II)→ キキョウ類(Campanulids
ミズキ目
  • ミズキ科
ミズキ属のサンシュユの果実は生薬、漢方、薬膳酒に利用されます。
ミズキ属のヤマボウシの果実は食用、果実酒に利用されます。
  • アジサイ科
アジサイは観賞用だけでなく、乾燥させた花と葉は民間薬として生薬に利用されます。
  • クルティシア科
アセガイの木の果実は苦いが食用になり、樹皮は胃腸の伝統的な薬として広く利用され、また媚薬とも言われています。
  • ヌマミズキ科
カンレンボクの樹皮と幹にはアルカロイドのカンプトテシンが含まれ、がん治療薬として利用、また研究が進められています。
ツツジ目
  • サガリバナ科
ブラジルナッツは世界貿易で重要な食用ナッツになっています。他にもパラダイスナッツなど食用とされるものがある。
  • ペンタフィラクス科
ナガエサカキ属の亮叶杨桐(Adinandra nitida)の葉は中国では「石崖茶」として利用されています。ノンカフェインでフラボノイドやその他の有用成分が含まれていることがわかっている。
  • アカテツ科
果実はスターアップル、ミラクルフルーツ、他食用になるものがある。
サポジラの樹液はチューイングガムの原料、果実は食用になる。ガタパーチャの樹液はゴルフボールやライカのカメラの外装の合成皮革など弾性とギリップ性を必要とされるものに使われます。
アルガンノキの種子からはアルガンオイルが採取されます。ビタミンEや不飽和脂肪酸が多く、食用油や美容のためのキャリアオイルに使われます。
シアーバターノキの種子からはシアバターが作られ、食用やボディクリームなどスキンケアに利用されます。
  • カキノキ科
日本では古くから親しみのある柿は、果実だけでなく「柿酢」、また葉もポリフェノールなどを含んでおり「柿の葉茶」として使われます。「柿は医者いらず」という諺がある。
  • ツバキ科
ツバキの種子から採取される椿油は日本では古くから、食用油、髪油に利用されてきました。長崎の五島うどんの伝統的な製法にも用いられる。また、美容のためのキャリアオイルに使われます。
チャノキの葉は日本の緑茶、中国の各種お茶、西洋の紅茶の原料になり、中国では種子から油も採取する。
  • ハイノキ科
南米では樹皮が黄色の染料とされる。また、いくつかの種の根は強壮剤として用いられます。
  • エゴノキ科
エゴノキ属の樹皮は漢方薬、または香水に使用される安息香樹脂が抽出されます。
  • サラセニア科
全ての属植物が食虫植物であり、防虫、またはある意味での観賞用植物にできる。
  • マタタビ科
マタタビ・サルナシ・キウイフルーツなどの果実が食用とされます。マタタビの「虫こぶ果」(寄生生物によって歪な形になった果実)は木天蓼(もくてんりょう)という生薬にもなる。
  • ツツジ科
ツツジ属のヤマツツジの花は山菜として食用にできる。
スノキ属の果実はクランベリー、ブルーベリー、コケモモ、ビルベリー、ハックルベリー、日本ではシャシャンボが食用とされます。
キキョウ類
  • モチノキ目
モチノキ属のイェルバ・マテの葉や小枝はマテ茶の原料として利用される。
ハナイカダ属のハナイカダの果実は食用、また果実酒に利用できる。中国では煎じたもが胃腸薬として利用される。
  • キク目
  • キキョウ科
  • キキョウ属のキキョウは美濃源氏、明智光秀など土岐氏の桔梗紋が有名。根は桔梗根(ききょう)という生薬になる。韓国では「トラジ」とよばれ、根はキムチとして食用にする。
  • ツリガネニンジン属のツリガネニンジンの若芽はトトキという山菜として食用とされ、根は沙参(しゃじん)という生薬になる。
  • ツルニンジン属のツルニンジンは韓国では「トドック」とよばれ、根はキムチ、若芽も食用にされる。高麗人参と同じような効能があるといわれ、この属の種の根は漢方で党参(とうじん)とよばれる。
  • オケラ属のオケラの若芽は山菜として食用とされ、根は白朮(びゃくじゅつ)という生薬になる。
  • ミゾカクシ属のミゾカクシは半辺蓮(はんぺんれん)という漢方薬として利用されるが、同属のサワギキョウは毒草である。
  • ミツガシワ科
  • ミツガシワ属のミツガシワの葉や葉柄は煎じ薬になり、睡菜葉(すいさいよう)という生薬に利用される。
  • アサザ属のタイワンガガブタの葉柄は台湾では水蓮菜として売られ、客家料理では「炒野蓮」という炒め物として食用にされる。
  • セリ目
  • セリ科
  • セリ属
セリは日本でなじみ深い「春の七草」の一つです。中国では全草を乾燥したものが水芹(すいきん)とよばれ、薬湯などに利用されます。
  • オランダゼリ属
パセリ、イタリアンパセリは世界で広く使われる。白い根はヨーロッパでは根パセリとして一般的に流通し、特にユダヤ料理で使われる。
  • コエンドロ属
コリアンダーの葉は中国料理では「香菜」、タイ料理では「パクチー」として知られ、根もスープなどに利用される。乾燥種子はスパイスとしてインド料理やヨーロッパでも一般的に用いられる。干した果実は胡荽子(こすいし)という生薬にもなる。またエッセンシャルオイルはアロママッサージにも使われる。
  • ニンジン属
ニンジンは主に根が根菜として使われます。精油が含まれる葉は香草や食用になります。葉は薬湯にも利用できる。
  • ムカゴニンジン属
ムカゴニンジン(Sium ninsi)は根が食用にできる。ヨーロッパでは根を食用にするするため栽培されていた。
ジェリコ(Sium bracteatum)はセントヘレナ島の先住民はセロリのように生野菜として食べられていました。
スキレット(Sium sisarum)の根はニンジンやパースニップと同じように野菜として使用されます。
トウヌマゼリ(Sium suave)の根は生または調理して食用にする。ナッツのような味で葉はレリッシュなどに使われることがあります。砕いた根の溶液は骨折などの鎮痛剤としても使用されています。
グレート・ウォーター・パースニップ(Sium latifolium)はイタリアでは葉が野菜として食用にされ、リモネンを含んだ芳香性の熟した種子はスカンジナビア料理のスパイスまたは調味料として利用されます。
  • クミン属
クミンの種子はカレー粉に使われる一般的なスパイスです。種子は民間療法として煎じ薬にも利用される。
  • ウイキョウ属
フェンネルの種子はカレー粉や様々な料理に使われる一般的なスパイスです。葉や茎も香草や食用として使われます。乾燥果実は茴香(ういきょう)という生薬になる。茎葉は薬湯にも利用できる。
  • ヒメウイキョウ属
キャラウェイの種子はカレー粉やザワークラフトなど様々な料理に使われる一般的なスパイスです。若葉はパセリのように、根も人参のように食用になる。古くは強壮剤とされました。薬用植物として種子は煎じ薬にも利用される。
  • シャク属
シャクは開花する前の茎、葉は山菜として、また、根はヤマニンジンと称され食用にされる。
チャービルはフランスではセルフィーユとよばれ、料理に一般的に使われる。
  • ミツバ属
日本では親しみのある「三つ葉」は江戸時代から栽培され、日本料理を代表するハーブの一つです。
  • オランダミツバ属
セロリの茎、葉には精油やフラボノイドなどの薬用成分が含まれ食用になる。種子はスパイス、葉は薬湯にも利用できる。
セルリアックは根セロリともいわれ、根菜として利用される。
  • ミツバグサ属
アニスの種子はトルコの「ラク」などのアニス酒やアメリカの「ルートビア」の甘味や芳香付けに利用される。根や茎も料理の風味付けに使われ、若茎は野菜として食用になる。また、種子はアニスティーとして煎じ薬にも利用される。
ヒカゲミツバゼリは韓国ではチャムナムルとして料理に利用される。
ピンピネラ・サキシフラガの花や種子は飲み物や酢の風味付け、若葉と根はサラダや料理、根と根茎は煎じ薬としてハーブ療法に使われます。
  • ヒゴタイサイコ属
約250種あり、多くの種が食用や民間療法、ハーブ療法などに使用されます。
オオバコエンドロはメキシココリアンダーともよばれ、世界中で栽培されており、フレッシュハーブや乾燥ハーブが料理に広く利用されています。また薬用植物として民間療法にも使われる。
マツカサアザミの茎、葉、花、根は煎じ薬としてヨーロッパの民間療法として使用されています。
エリンギウム・マリチマムはシーホーリー(海のヒイラギ)ともよばれ、エリザベス朝時代のイギリスでは根に媚薬効果があるとされ、砂糖漬けやニンジンと同じように食用とされました。若芽や若葉はサラダ、柔らかい茎はアスパラガスのように食用とされる。
  • ハマボウフウ属
ハマボウフウの新芽は食用となり、主に刺身のつまに使われる。根は「北沙参」という漢方に利用される。
  • アメリカボウフウ属
パースニップは人参と形は似ているが色が白く、同じように料理に使われますが栄養価が高い健康野菜の一つです。パースニップ・ワインも作られる。
  • ハマゼリ属
ハマゼリの果実は強壮剤として煎じ薬にされる。
  • ミシマサイコ属
ミシマサイコの根は柴胡(さいこ)という生薬として利用される。
  • ハナウド属
オオハナウドの若葉や茎は山菜として食用になる。18世紀、カムチャッカ地方では茎の皮を剥いで乾燥したものを甘味料や「ラカ」とよばれる蒸留酒(スイカズラ属のハスカップで味付けされたもの)の原料に利用された。ボルシチは、元々は一般的なオオハナウドの茎、葉、花びらのピクルスから調理された古代のスープに由来します。東ヨーロッパ諸国、特にルーマニアでは媚薬として、またインポテンスの治療、てんかんにも推奨される。乾燥種子はカルダモンに似た風味のスパイスとしてペルシャ料理などで利用されます。
カウ・パースニップ(Heracleum maximum)は、北米先住民が食用としていたことから、通称「インディアンセロリ」とよばれ、若茎と葉柄は外皮を剥けば生でセロリのように食用できる。ただし、外皮を剥かないと皮膚が炎症を起こす。
  • シシウド属
シシウドの根を干したものは独活(どっかつ)という生薬になり、薬用酒や薬湯にも利用できる。
ノダケの根を干したものは前胡(ぜんこ)という生薬になる。
ヨロイグサの根は白芷(びゃくし)という漢方薬になる。
エゾニュウの茎はアクを抜くため、塩蔵してから塩抜きして食用にする。秋田県では好まれて食されている。
アシタバは葉と茎は食用にされ、伊豆大島では椿油で揚げた明日葉の天ぷらや明日葉うどんが名物になっている。
トウキの根は当帰(とうき)という生薬、また漢方、民間療法では煎じ薬や薬湯にも利用される。
イヌトウキは「日本山人参」の名称で健康食品として注目されはじめている。
セイヨウトウキの根や種の粉末は煎じ薬(ハーブティー)として利用される。茎は砂糖漬け(クリスタル・アンゼリカ)としてケーキの飾りつけ等に、葉は魚料理や果物の風味付けに用いる。また、種子はリキュールの香味付けに用いられる。また、種子を蒸留して抽出したエッセンシャルオイルはムスク(麝香)の代用として香水の原料にも利用される。
  • ウコギ科
ウコギ属のウコギの新芽や若葉は山菜として食用なる。また、ウコギの根は「五加皮」という生薬になり、茎などを含め薬用酒にも利用できる。
タラノキ属のタラノキ、ウドの新芽は山菜として食用になる。
コシアブラ属のコシアブラの新芽は山菜として食用になる。
タカノツメ属のタカノツメの新芽は山菜として食用になる。
トチバニンジン属は高麗人蔘をはじめ、田七人参、トチバニンジン、アメリカニンジンが薬用植物として利用される。
  • マツムシソウ目
  • スイカズラ科
スイカズラ属のスイカズラの新芽や若葉は山菜として食用になる。棒状の蕾は金銀花(きんぎんか)、秋から冬の茎葉は、忍冬(にんどう)という生薬として利用される。
スイカズラ属のハスカップの果実はポリフェノールを多く含み、ビタミンCはブルーベリーの5倍で食用、果実酒に利用される。産地の北海道道央では塩漬けが梅干しと同じようにおにぎりの具に使われる地域がある。
  • レンプクソウ科
ガマズミ属のガマズミの赤い果実はポリフェノールとビタミンCが多く含まれ、果実酒または薬用酒にも利用される。長野県戸隠村では大根の「赤漬け」に使われる。
ニワトコ属の果実は海外ではジャムや果実酒、花は薬用酒、また甘く煮詰めたものを水や炭酸水で割って清涼飲料として利用される。
シソ類
  • シソ類の詳細はシソ類を参照のこと。
  • コアシソ類
ムラサキ目、リンドウ目、ヴァーリア目、シソ目、ナス目の5つの目は、非公式で「コア・シソ類」(Core Lamiids)として要約されています。


 キク類Asterids

 ミズキ目(Cornales




 ツツジ目(Ericales


 真正キク類(Euasterids
 キキョウ類(Campanulids

 モチノキ目(Aquifoliales




 キク目(Asterales



 エスカロニア目(Escalloniales




 ブルニア目(Bruniales




 セリ目(Apiales




 マツムシソウ目(Dipsacales



 パラクリフィア目(Paracryphiales







 シソ類Lamiids

 クロタキカズラ目(Icacinales




 メッテニウサ目(Metteniusales




 ガリア目(Garryales


コア・シソ類
Core Lamiids

 ムラサキ目(Boraginales



 リンドウ目(Gentianales



 ヴァーリア目(Vahliales



 シソ目(Lamiales



 ナス目Solanales











キク類と人の関わり

キク類の植物は、一般的に知られている植物の他、食用、飲料、油、スパイス、ハーブ、アロマ、生薬、薬理作用、儀式、紋章、観賞、木材など様々な用途に利用され、古来より人類と深い関わりをもっています。
また、開花する前に食用や飲料にされる植物の中にも、のちに綺麗な花を咲かせるものがあります。