茴香打卤面

提供: Tomatopedia
2023年5月10日 (水) 22:02時点におけるWebmaster (トーク | 投稿記録)による版 (→‎概略)
ナビゲーションに移動 検索に移動
茴香打卤面『映画:夏洛特烦恼』より

茴香打卤面(フゥイシィァンダール―ミィェン)は、2015年に公開された中国のコメディ映画『夏洛特烦恼』に登場する料理である。

概略

茴香打卤面を紹介するシーン
女優(馬麗:マー・リー)
茴香打卤面を涙して食べる名シーン
主演(沈腾:シェン・トン)左利き

映画『夏洛特烦恼』は、2015年9月30日に公開され、中国国内で爆発的な大ヒットとなった。 公開後も人気は衰えることなく、映画を観た多くの人々の間では、作中の数々のワンシーンをネタに、ネット上で盛り上がるほど長らく話題となった映画である。 その一環で、 “ 茴香打卤面 ” は、本当に存在するのか?という議論が起こった。

作中で、涙を流してして茴香打卤面を食べる姿は、多くの人々にとって名シーンとして印象に残った。 また、同時に麺を豪快にすするシーンでもあり、それを見た誰もが “ 美味しそう ” と感じるグルメシーンでもある。 これは、ラーメンを知っている日本人にも通ずる。 このシーンは、のちに多くの人々が茴香打卤面の再現を試みる発端となった。

茴香打卤面を作って差しだす女性の台詞 “ 你说茴香的味道,能让我在将来厌倦你的时候,多去回想你的好 ” (茴香の味は、あなたが将来、私に飽きた時、私の良さを思い出させてくれるでしょう)は有名である。

当時、中国全地域で茴香打卤面の存在を議論するも、それにとどまり、存在確認はできなかった。 これは中国が広大すぎる故ではなく、結果この料理自体が作中の創作、いわば架空の料理である可能性が示唆されたからである。 しかし、後に本当に存在すると発言した人物が現れることとなる。

ロケ地のほとんどは中国東北地方の遼寧省大連市であった。 主役を演じたコメディアンの沈腾(シェン・トン)は、東北・黒竜江省の出身であり、女優の馬麗(マー・リー)も同じく東北・遼寧省の出身である。

存在の有無

2017年、天津市内の小さな店で「茴香打卤面」を提供していることが確認された。 2016年1月14日に香港で『夏洛特烦恼』が公開された翌年である。 当時、この映画の人気に便乗する企業も多かった。

茴香打卤面は他の麺類に比べると比較的高い値段設定になっており、メニューのキャッチフレーズには、映画の名台詞 “ 你说茴香的味道,能让我在将来厌倦你的时候,多去回想你的好 ” (茴香の味は、あなたが将来、私に飽きた時、私の良さを思い出させてくれるでしょう)が引用されていた。 映画が人気になった直後にメニューに加えたもので、かなり売れたという。

店の主人は記者に「本当に茴香打卤面は在るんだ。 これは北方系の麺料理だ。」と語った。


茴香打卤面は、中国北部の家庭で生まれたバリエーションの一つだった可能性もある。

特徴

茴香の葉

茴香

最大の特徴は、茴香(フゥェイシィァン/学名:Foeniculum vulgare)の葉(茴香叶:フゥェイシィァンイェ)を香草として用いることである。 茴香は、中国では別名「甜茴香」、漢方では「小茴香」、古くは「蘹香」と呼ばれるセリ科ウイキョウ属の一種で、日本では「ウイキョウ」、英名ではフェンネルとよばれ、世界で広く利用されている。 世界の各地域によっては、葉も香草として利用されるが、日本では、カレーなどの香辛料として、種子(フェンネルシード)の方が比較的に知られている。 香りは茴香に含まれる芳香族化合物のアネトール(Anethole)による。

トマト

打卤面(ダール―ミィェン)は、北京市、天津市、河北省、山東省、および中国東北部の一般的な麺料理だが、各地で特色を持たせたものがある。 ただし、一般家庭や庶民の間で最も気軽に食されているのは、共通してトマトを使った「西红柿鸡蛋打卤面」であり、茴香打卤面はこれがベースとなっている。 西红柿鸡蛋打卤面はカップラーメンになっているほどの定番料理である。

代表的な家庭料理であるトマトの炒めもの「番茄炒蛋」は、好みの食材を加える応用性や他の料理に流用できる汎用性に富んでおり、ご飯にかける(西红柿鸡蛋盖饭)、麺にかける(西红柿鸡蛋打卤面)など選択肢も自在であり、共通の材料では、スープ(番茄蛋湯)もある。

反響

作品の新古を問わず、映画、漫画、小説などに登場する料理を再現するという試みは、現代では個人の嗜みとして行われている。 映画の反響もあり、茴香打卤面は、不可欠な食材(茴香とトマト)の他、好みの具材を自由に加えたレシピで多くの人々によって紹介されている。

茴香打卤面は中国東北部を超え、どこかの家庭や個人の定番料理となった可能性もある。 また、数えきれない飲食店がある中、現在も提供している店が必ずどこかに存在するかもしれない。

関連項目