牛肉柿子
砂锅牛肉柿子(シャグゥォニュウロウシーズー)は、中国東北部の料理(东北菜:ドンベイツァイ)に属し、黒竜江省、吉林省、遼寧省の料理として知られている。 調理においては、煮込み料理(炖菜:ドゥンツァイ)に分類される。
東北の砂鍋文化
中国式の土鍋である砂鍋(砂锅:シャグゥォ)で調理される。 陶製の砂鍋は、金属製の鍋に比べて食材を均一に長時間じっくりと煮込むのに適しており、保温性に優れている。 中国語の「咕嘟」(グードゥ)は鍋が煮える様子である “ ぐつぐつ ” を現す擬音語だが、東北の方言では長い間、煮込み “ 炖 ”(ドゥン)を指す動詞であり、まさに砂鍋を現していると言ってよい。 東北部の人々にとって砂鍋は寒さをしのぎ、体を温めるための重要な役割を担っている。
東北部の砂鍋は、ご飯、または油餅(油饼:ヨゥビン)を主食として一緒に食す。 砂鍋を扱う店では必ずと言っていいほど、東北風の皮つき豚の角煮(坛肉:タンロウ)がメニューにある。 ご飯と食べる場合、まずは小鉢に盛られた坛肉の煮汁をレンゲですくい、ご飯に少々かけるのが慣例であり、一種の儀式のようなものである。
通常、卓上には醤油、酢、辣油、唐辛子粉、鉢には皮つきの生ニンニクが用意されている。 卓上調味料を好みで加えるのは日本のラーメン店と変わらない。
ニンニクは皮を剥き1粒~2粒ぐらいをご飯にのせ、砂鍋を味わいつつ、ニンニクを適度な量かじってご飯をほおばるスタイルも極めて一般的な流儀である。 この食し方は中国の庶民的な店の炒飯にも見られる。
特徴
砂锅牛肉柿子は、砂鍋でトマトと牛バラ肉を煮込んだもので、砂鍋を扱う東北部の店では定番のメニューであり、単に牛肉柿子とも呼ばれる。 トマトは中国では一般的に “ 蕃茄 ”(ファンチェ)と呼ぶが、漢民族の多い北部では “ 西红柿 ”(シーホンシー)と呼ばれる。 この料理名の “ 柿子 ”(シーズー)とは、東北部ではトマトを指す。
日本の鍋料理や中国の火鍋のような大鍋料理ではなく、数人で一緒に食べる場合を除き、通常は小さな陶製の鍋で供される。 牛バラ肉とトマトは大きめにカットして用いられる。 トマトは固形として残ったフレッシュな味わいと加熱によってスープに溶けて牛肉の旨味や脂と調和し、とろみのあるシチューのような味わいを楽しめる。
米食文化が主なアジア人のほとんどは、煮込み料理がご飯と合うことは想像に容易い。 砂锅牛肉柿子は、いわば中国式のトマトシチューであり、日本のカレーライス、ハヤシライスなどと同様、ご飯にかけて食すのも一般的である。
ギャラリー
東北部の砂鍋
- 酸菜砂锅:白菜の漬物(酸菜:スヮンツァイ)と豚肉の砂鍋
- 酸菜羊肉:酸菜と羊肉の砂鍋
- 豆腐丸子:豆腐と肉団子の砂鍋
- 骨架酸菜锅:スペアリブと酸菜の砂鍋。
- 丸子菠菜:豚肉団子とホウレンソウの砂鍋
- Chinese Clay Pots -(酸菜砂锅)Suan Cai Sha Guo at 美味谭肉馆 in Harbin, Heilongjiang.png
「酸菜砂锅」
美味谭肉馆
(黒竜江省・ハルビン市) - Chinese Clay Pots -(酸菜羊肉)Suan Cai Yang Rou at 鑫缘砂锅饼店 in Dalian, Liaoning.png
「酸菜羊肉」
鑫缘砂锅饼店
(遼寧省・大連市) - Chinese Clay Pots -(豆腐丸子)Dou Fu Wan Zi at 王记砂锅王 in Harbin, Heilongjiang.png
「豆腐丸子」
王记砂锅王
(黒竜江省・ハルビン市) - Chinese Clay Pots -(丸子菠菜)Suan Cai Sha Guo at 邹大饼砂锅居 in Harbin, Heilongjiang.png
「菠菜丸子锅」
邹大饼砂锅居
(黒竜江省・ハルビン市)