口水鸡
口水鸡(口水雞:コウシェイジ― / 日本:口水鶏・よだれ鶏)は、中国・四川省の東部に位置する達州市(达州市)発祥の料理である。
起源
口水鶏の由来については諸説ある。
劉星
口水鸡は、1985年に誕生した料理で四川省の伝統的な名物料理である麻辣鸡(マーラージー)を改良したものとされ、考案者は、湖北省出身の劉星(刘兴:リィゥシン)氏とされている。 「その味は巴蜀三千里に名を馳せ、揚子江以南十二州を凌駕する」(名驰巴蜀三千里,味压江南十二州)と称される。 彼は若い頃に高等教育を受け、食品研究で多大な業績を残したと言われている。 また、美食家と共に敏腕な料理人であり、麻辣鸡が特に好物であった。 彼は郭沫若の著書『洪波曲』の一節に基づいて、新たな麻辣鸡を考案し、その料理を口水鸡と名付けた。
郭 沫若
口水(コウシェイ)は、唾液(よだれ)の意味であり、料理名の口水鸡は文字通り「よだれ鶏」という意味である。 この料理名は、中国の文人「郭 沫若」(グオ・モールオ:1892年11月16日 - 1978年6月12日)に由来する。 彼は著書『洪波曲』(1959年出版)の中で「私は10代の頃、故郷の四川で白砍鸡(バイカンジ―)を食べた。 その白砍鸡と辣椒油は、思い出すだけでよだれが出てくるほどだった」と綴っている。 口水鸡には花椒が多く使われているため、口の中が麻痺して思わずよだれが出るのも要因の一つである。
民間伝承
清朝中期、四川省楽山市に数え切れないほどの鶏を飼っていた老人がいた。 その鶏はすべて在来種の烏骨鶏(乌鸡)だった。 現在の四川省楽山市一帯に置かれた嘉州(かしゅう)の知府(官職)家族のお抱え料理人は、そこへ鶏を買いによく通っていた。 ある日、知府の妻は烏骨鶏を食べたいと思ったが、味気ない鶏肉煮込み(炖鸡:ドゥンジ―)は食べたくなかった。 料理人はそれをとても心配していた。 料理人が鶏肉を選んでいたとき、老人が鶏肉を食べていることに気づいた。 蒸したり煮込んだりするのではなく、普通の水で茹でてから味付けをしていた。 辛味、酸味、甘味、香り高い新鮮な味に料理人はすぐによだれを垂らした。 それを見た老人は彼を直ちに誘って一緒にその料理を味わった。 料理人はこの料理の美味しさの理由を尋ねた。 老人は「若い雄鶏を水で茹でて、花椒粉(花椒面)、熟油辣椒、甘酢醤油(糖醋酱油)、芝麻酱、エシャロット(火葱)を加えて味付けしてください。」と言った。 料理人は再度「この料理の名前は何ですか?」と尋ねた。 老人の娘は、それは「口水鸡」(よだれ鶏)と呼ばれていると冗談を言った。 料理人は思わず笑い出し、すぐに家に帰って同じレシピで料理を作った。 知府の妻が食卓に着くと、鶏肉の香りに誘われてよだれを垂らした。 彼女の食欲が刺激され、その鶏は「口水鸡」と名付けられた。
栄養価
禁忌
中国では、高血圧、高脂血症、胆のう炎の患者は摂取を避けるべきとされている。
日本
よだれ鶏
ギャラリー
- Japanese Yodare Dori -(聘珍口水鶏)Heichinrou in Yokohama Chinatown, Kanagawa, established in 1884-15 May 2022.png
「聘珍口水鶏」
茹で国産鶏肉の唐辛子ニンニクソースがけ
聘珍樓 横濱本店
(神奈川・横浜中華街) - Japanese Yodare Dori -(口水鶏)Jukei Hanten in Yokohama Chinatown, Kanagawa, established in 1960.png
「口水鶏」
四川名菜 “ よだれ鶏 ” 蒸し鶏の辛味ソース
重慶飯店 本館
(神奈川・横浜中華街) - Japanese Yodare Dori -(口水鶏)Keitokuchin in Yokohama Chinatown, Kanagawa, established in 1993.png
「口水鶏」
四川よだれ鶏
景徳鎮 本館
(神奈川・横浜中華街) - Japanese Yodare Dori -(口香鶏)Akasaka Shisenhanten in Chiyoda, Tokyo, established in 1958.png
「口水鶏」
四川名物 “ よだれ鶏 ”
赤坂 四川飯店
(東京・千代田区) - Japanese Yodare Dori -(口水肥鶏)Minsei in Nankinmachi Kobe Chinatown, Hyogo, established in 1960.png
「口水肥鶏」
ヨダレドリ
民生 廣東料理店
(兵庫・神戸中華街)
社会・時事
- 2021年07月20日:口水鸡が天府観光グルメ(四川省・達州市)にノミネートされた。
関連項目
参考文献
- 1959年『洪波曲』:郭沫若(天津百花出版社)