茴香打卤面
茴香打卤面(フゥイシィァンダール―ミィェン)は、2015年に公開された中国のコメディ映画『夏洛特烦恼』に登場する料理である。 「打卤面」(ダール―ミィェン)自体は広く知られているが、主に、北京市、天津市、河北省、山東省、および中国東北部で一般的である。
概略
映画『夏洛特烦恼』は、2015年9月30日に公開され、中国国内で爆発的な大ヒットとなった。 公開後も人気は衰えることなく、映画を観た多くの人々の間では、作中の数々のワンシーンをネタに、ネット上で盛り上がるほど長らく話題となった映画である。 その一環で、 “ 茴香打卤面 ” は、本当に存在するのか?という議論にまで発展した。
涙を流してして茴香打卤面を食べるシーンは、多くの人々にとって印象に残った。 また、涙しながらも、豪快に麺をすするシーンでもあり、誰もが “ 美味しそう ” と感じるグルメシーンでもある。 このシーンは、ラーメンを知っている日本人にも通ずる。
茴香打卤面を作って差しだす女性の台詞 “ 你说茴香的味道,能让我在将来厌倦你的时候,多去回想你的好 ” は有名である。
当時、中国全地域で茴香打卤面の存在を議論するも、それにとどまり、存在確認ができなかったのは中国が広大すぎる故ではなく、結果この料理自体が作中の創作だった可能性が高かったからである。 しかし、後に本当に存在すると発言した人物が現れることとなる。
ロケ地のほとんどは中国東北地方の遼寧省大連市であった。
存在の有無
2017年、天津市内で「茴香打卤面」を提供している店が確認された。 2016年1月14日に香港で『夏洛特烦恼』が公開された翌年である。
茴香打卤面は他の麺類に比べると比較的高い価格設定になっており、メニュー紹介には映画の名台詞 “ 你说茴香的味道,能让我在将来厌倦你的时候,多去回想你的好 ” が引用されていた。
映画が人気になった直後にメニューに加えたもので、かなり売れたという。 オーナーは記者に、" 本当に茴香打卤面は在るんだ。 これは北方系の麺料理だ。" と語った。
特徴
最大の特徴は、茴香(フゥェイシィァン/学名:Foeniculum vulgare)の葉(茴香叶:フゥェイシィァンイェ)を香草として用いることである。 茴香は、別名「甜茴香」、漢方では「小茴香」、古くは「蘹香」と呼ばれるセリ科ウイキョウ属の一種で、日本では「ウイキョウ」、英名ではフェンネルとよばれ、世界で広く利用されている。 世界の各地域によっては、葉も香草(ハーブ)として利用されるが、日本では、カレーなどの香辛料(スパイス)として、種子(フェンネルシード)の方が比較的に知られている。 香りは茴香に含まれる芳香族化合物のアネトール(Anethole)による。
打卤面は、北京市、天津市、河北省、山東省、および中国東北部の一般的な麺料理だが、それぞれで特色を持たせたものがある。 ただし、一般家庭や庶民の間で最も気軽に食されているのは、共通してトマトを使った「西红柿鸡蛋打卤面」であり、これがベースとなっている。
家庭料理の代表的な炒めもの「番茄炒蛋」は、食材を好みで加える応用性や流用性に富んでおり、別皿で食べるか、ご飯にかける(西红柿鸡蛋盖饭)か、麺にかけるかであり、共通の材料としては、スープ「番茄蛋湯」にも見られる。
反響
新古を問わず、映画、漫画、小説などに登場する料理を再現するという試みは、現代では個人の嗜みとして行われていることもある。
映画『夏洛特烦恼』の反響もあり、茴香打卤面のレシピ名で多くの人々がネット上に挙げている・ そのほとんどは自由にアレンジを加えたものが多い。 茴香打卤面も、そのような料理の一つだった可能性がある。