イサベル・モクテスマ

テクイチポ・イチカショチトル（ドーニャ・イサベル・モクテスマ）

イザベル・モクテスマ（テクイチポ・イチカショチトル：Tecuichpo Ixcaxochitzin/Doña Isabel Moctezuma：1509年頃 - 1550年頃）は、テノチティトランで生まれで、名前はナワトル語で“綿花”を意味します。
彼女は、アステカ帝国の皇帝モクテスマ2世の娘（皇女）で、のちにイサベル・モクテスマとして洗礼を受けました。
アステカの皇帝アトリッカツィン、クィトラワク、クアウテモックの妃であり、アステカ最後の女帝でもある。スペインの征服後、ドーニャ・イザベルは、モクテスマの正統な後継者として認められ、エンコミエンダ制を与えられたメキシコ先住民の一人となりました。異母姉のマリーナ（レオノール）・モクテスマやオアハカ州の先住民総督フアン・サンチェスもその一人であった。

ドーニャ・イザベルは、3人のアステカ皇帝と3人のスペイン人と結婚し、5回も未亡人となった。コンキスタドールのエルナン・コルテスとの間に、婚外子レオノール・コルテス・モクテスマをもうけた。彼女の息子たちは、スペインの貴族の系譜を築いた。モクテスマ・デ・トゥルテンゴ公爵の称号は現在も残っている。

早婚

テクイチポの系譜

ドーニャ・イザベルの母はテオトラルコ王女で、出生名はテクイチ（ポ）ツィンといい、ナワトル語で「主君の娘」と訳された。テオトラルコはモクテスマの正妻だったので、モクテスマの娘の中ではテクイチポッツィンが優先された。幼い頃にアトリッカツィンと結婚したが、アトリッカツィンは1520年に亡くなった。父親が自国民かスペイン人に殺された後、彼女はモクテスマの死後に皇帝となった叔父のクィトラワクとすぐに結婚した。モクテスマの死後、皇帝となったクィトラワクは、わずか60日の統治期間で天然痘により死亡した。クアウテモックは皇帝となり、テクイチポツィンと結婚した。3度目の結婚の時、彼女はまだ11歳か12歳くらいだった。

テノチティトラン陥落と3度目の未亡人

モクテスマには19人の息子がいたが、チマルポポカは彼のお気に入りだった。死の淵に立たされたヒューイ・トラトアニ(皇帝)は、エルナン・コルテスに身の回りの世話を依頼した。しかし、彼は『悲しき夜』出来事の最中に亡くなってしまった。イザベルとペドロは、アステカ帝国皇帝の生き残りの子孫である。

エルナン・コルテスをはじめとするスペイン人は、1519年11月8日にテノチティトランに入った。数ヶ月間、彼らはモクテスマの宮殿に滞在した。滞在中、彼らは皇帝を人質にとり、スペイン人または自国民の手で彼を死なせてしまった。アステカ人は反乱を起こし、コルテスと彼の軍隊をテノチティトランから1520年6月30日追放した（悲しき夜）。しかし、テクイチョポツィンはスペイン人によって街に取り残された。アステカの指導者たちはすぐに彼女を新皇帝のクイトラワックと結婚させ、彼が天然痘で死んだ後はクアウテモックと結婚させた。

コルテスは1521年、スペイン人とインディアンの同盟者（主にトラスカラ出身）の大規模な集団を連れてテノチティトランを攻撃するために戻ってきた。天然痘の流行で人数と士気が低下したアステカ人は敗北した。クアウテモックと彼の宮廷はテノチティトランから船で逃げようとしたが、スペイン人に捕らえられた。降伏の際、クアウテモックはスペイン人に、若い妻のテクウィッチポッツィンを含む宮廷の女性たちを尊重するよう求めた。

1525年、コルテスはクアウテモックを処刑し、テクイチポッツィンは3度目の未亡人となった。

スペイン人との結婚

メキシコ征服の終わりに、クアウテモックは捕虜になったが、トラトアニとしての地位は尊重されていた。1525年2月28日、クアウテモックは死刑を宣告され、絞首刑で処刑された。コルテスはテクイチポをアロンソ・デ・グラドと結婚させることを決めたが、この結婚では子孫を残すことはできなかった。アロンソ・デ・グラドは、先住民に対する虐待の罪で告発され調査を受け、1527年に亡くなった。

ペドロ・ガジェゴ・デ・アンドラーデ(Pedro Gallego de Andrade)はイサベル・モクテスマの4番目の夫で、彼の家族はサン・ルイス・ポトシの（Barragan del Valle del Maiz）に定住しました。この結婚は長続きせず、彼はガレゴ・デ・アンドラーデは1530年に亡くなりましたが、彼には子孫があり、フアン・デ・ディオス・デ・アンドラーデ・モクテスマ（1529-1577）という名の息子がいて、その子孫は今日まで続いています。

そのうち、イザベルとカタリナという2人の娘は、メキシコシティのコンセプション修道院に修道女として設立され、その子孫はスペインとメキシコ北部に住んでいるという。

エルナン・コルテスの娘

イザベル・モクテスマが、ガレゴ・アンドラーデと結婚した直後、彼女はエルナン・コルテスの娘を出産した。イザベルはこの子供を拒絶し、レオノール・コルテス・モクテスマと名付けた。コルテスの間接的な保護の下、この子孫はフアン・デ・トロサと結婚した。この結婚から2人の娘が生まれた。長女のイザベルはフアン・デ・オニャテと、次女のレオノールはクリストバル・デ・ザルディバルと結婚した。

エンコミエンダ制

エルナン・コルテスは、彼女の血筋を考慮して、トラコパンのエンコミエンダを与えました。この特権は、彼女がアロンソ・デ・グラドと結婚した1526年6月27日に署名されました。

“この言葉は、陛下の名のもとに、2人のドーニャ・イザベルとその子孫に約束したものである。この地域の総督および総隊長として、また、権利として、彼女の家系および嫡出であるタクバの町の領主および原住民に属しており、そこには120軒の家があり、エスタンシアであるイェテベには40軒の家があり、別のエスタンシアであるイズキ・ルカにはさらに120軒の家があり、別のエスタンシアであるチマルパンには40軒の家があり、チャプルマ・ロヤンにはさらに40軒の家があります。また、エスカプカルタンゴは20軒、キシロアンゴは40軒、オコアカケと呼ばれる別のエスタンシア、カステペケと呼ばれる別のエスタンシア、タランコと呼ばれる別のエスタンシア、ゴアトリスコと呼ばれる別のエスタンシア、タカラと呼ばれる別のエスタンシアなど、全部で1,200,50軒の家があり、これらのエスタンシアと町は、タクバの町とその領主に従う。私はH.M.の名の下に、ドーニャ・イザベルに持参金と質権を与え、彼女がそれを手に入れ、相続の誓いとして、今も、そして永遠に、前記の町の婦人の称号と、ここに記載されている他の事柄とともに、それを享受できるようにします”

エルナン・コルテス 1526年6月27日

16世紀末には、このエンコミエンダはアナワクの谷で最大のものとされていました。イザベラとその異母兄であるペドロ「王子」の子孫は、スペイン王室に認められ、ミラヴァレ伯爵の称号を与えられた。1550年4月、イサベル・モクテスマが亡くなり、彼女の最後の夫は1572年まで生き延びた。

現代の子孫

ミラヴァレ家のスペイン貴族の血筋は、イサベルの息子、フアン・デ・アンドラーデに始まります。彼女の息子であるペドロとゴンサロ・カノは、メキシコ・シティの著名な市民となった。彼女の息子、フアン・カノ・モクテスマはスペインのカセレスの名家に嫁ぎ、そこにはトレド＝モクテスマ宮殿が現存しています。 イサベルの最後の夫、フアン・カノは1572年にセビリアで亡くなりました。イザベルとその妹を起源とするメスチソの血統は、スペインの貴族を介して分岐した。改宗した土着の貴族は、スペイン人からはスペインの貴族とみなされていたため、アステカの貴族の血は非常に尊重され、彼らの血統と交わるチャンスは大切にされていました。イザベルとレオノールの子孫は、当時のスペインで最も裕福な地域のひとつであったエストレマドゥーラの有力な家系とすぐに交配した。イザベルの子孫は、現在スペインだけで2000人いると推定されている。ミラバレ伯爵、ラ・エンレハダ伯爵、アフマダ公爵、アブランテス公爵、モンクテスマ公爵の貴族権は、イザベルとその妹から直接もたらされたものである。イザベルは、プレスラブ公爵キリルの妻ロサリオ・ナダル、第19代アルバ公カルロス・フィッツ＝ジェームズ・スチュアート、オルレアン公ウード・ティボー・ジョセフ・マリーの妻マリー・リエッセ・クロード・アンヌ・ロランデ・ド・ロハン＝シャボー、ユーゴスラビア皇太子アレクサンダーの元妻であるセゴルベ公爵マリア・ダ・グロリア姫の夫である第19代セゴルベ公爵イグナシオ・デ・メディナ・イ・フェルナンデスの祖先にあたります。

混血文化

ドーニャ・イザベルについては、彼女の人生に関するいくつかの事実以外、ほとんど知られていない。彼女は、アステカの王族やスペインの征服者の単なる手先ではなかったようだ。彼女の遺書によると、彼女は決断力のある強い女性であり、寛大で思慮深い人物であったことがわかる。彼女は、アステカの王女からスペインのドニャーナへとうまく移行したようです。彼女の子孫は、スペイン人とメキシコの先住民の血が混ざり合った「メスティサヘ：混血文化」の時代の最も顕著な例であり、メキシコの将来を特徴づけるものとなった。スペイン人は、先住民に「スペインの経済的、宗教的、文化的な方向性」を教え込むことを望んでいました。イザベルは、願望によるものであれ、必要性によるものであれ、スペイン人とメキシコ先住民の同化に成功した最初の大きな例です。

二つの世界を生きた女性

テクイチポ（ドーニャ・イザベル）は、スペインによる征服の年代記に登場する数少ない女性の一人です。

• マリンチェ：コルテスの通訳を務めた女性
• テクエルウェツィン：コンキスタドールのペドロ・デ・アルバラードと結婚した女性
• マリア・デ・エストラーダ：コンキスタドールと共に参加したスペインの女性兵士

なども、この時代を生きた重要な女性である。

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