ピータン

提供: Tomatopedia
2025年4月14日 (月) 04:03時点におけるWebmaster (トーク | 投稿記録)による版 (→‎ギャラリー)
ナビゲーションに移動 検索に移動
ピータン

皮蛋(中国語:ピーダン / 日本語:ピータン)

歴史

呼称と原材料

  • 呼称と原材料
    • 皮蛋
      • 鸭蛋(アヒルの卵)
      • 鵝蛋(ガチョウの卵)
    • 变蛋
      • 鸡蛋(ニワトリの卵)
    • 鹌鹑皮蛋
      • 鹌鹑蛋(ウズラの卵)

皮蛋

变蛋

鹌鹑皮蛋

『鹌鹑皮蛋』(うずらピータン)

鹌鹑皮蛋(アンチュンピーダン)は、鶉(うずら)を原料とするピータンである。


福建省・莆田市・仙遊県 上海市・青浦区

中国のピータン

  • 皮蛋(ピータン)
    • 溏心皮蛋
      • 白洋淀松花蛋(河北省・保定市・安新県)
      • 盐山皮蛋(河北省・滄州市・塩山県)
      • 石阡皮蛋(貴州省・銅仁市・石阡県)
      • 微山湖松花蛋(山東省・済寧市・微山県)
      • 建湖溏心皮蛋(江蘇省・塩城市・建湖県)
      • 雪松牌溏心皮蛋(江蘇省・塩城市・浜海県)
      • 黄山寺皮蛋(安徽省・馬鞍山市・和県)
      • 京彩松花皮蛋(安徽省・滁州市・天長市)
        • 天长松花溏心皮蛋 (安徽省・滁州市・天長市)
      • 九珠皮蛋(湖北省・仙桃市)
      • 麻洋糖心皮蛋(湖北省・天門市)
      • 应城松花皮蛋(湖北省・孝感市・応城市)
      • 南充松花皮蛋(四川省・南充市・順慶区)
      • 袁州松花皮蛋 (江西省・宜春市・袁州区)
    • 硬心皮蛋
      • 黄许松花皮蛋(四川省・徳陽市・旌陽区)
      • 永川皮蛋(重慶市・永川区)
      • 秀山松花皮蛋(重慶市・秀山トゥチャ族ミャオ族自治県)
      • 瓮安松花皮蛋(貴州省・黔南プイ族ミャオ族自治州・甕安県)
      • 松花皮蛋 (湖北省・黄石市・黄石港区)
      • 宜春松花皮蛋(江西省・宜春市・宜豊県)
      • 袁州松花皮蛋 (江西省・宜春市・袁州区)
      • 益阳松花皮蛋(湖南省・益陽市・資陽区)
      • 松陵松花蛋 (江蘇省・蘇州市・呉江区)
      • 兴化松花皮蛋(江蘇省・泰州市・興化市)
      • 八坼皮蛋(江蘇省・蘇州市・呉江区)
      • 螺百乡皮蛋(安徽省・馬鞍山市・和県)
      • 仙游皮蛋(福建省・莆田市・仙遊県)
    • 鉛フリー
      • 无铅松花皮蛋(湖北省・荊州市・沙市区)
    • 未分類
      • 余姚皮蛋(淅江省・寧波市・余姚市)
      • 盐皮蛋(四川省・広安市・武勝県)
        • 邓家盐皮蛋(四川省・広安市・広安区)
      • 保宁松花皮蛋(四川省・南充市・閬中市)
      • 嘎吉皮蛋(四川省・涼山イ族自治州・会東県)
      • 胡安太皮蛋(重慶市・開州区)
      • 钟祥皮蛋(湖北省・荊門市・鍾祥市)
      • 黄石松花皮蛋(湖北省・黄石市・西塞山区)
      • 宜城松花皮蛋(湖北省・襄陽市・宜城市)
      • 春燕皮蛋(湖北省・黄岡市・武穴市)
      • 花皮蛋(湖北省・恩施トゥチャ族ミャオ族自治州・来鳳県)
        • 来凤松花皮蛋(湖北省・恩施トゥチャ族ミャオ族自治州・来鳳県)
      • 湖彩蛋(湖南省・岳陽市・臨湘市)
      • 凤冈土溪皮蛋(貴州省・遵義市・鳳岡県)
      • 思南松花皮(貴州省・銅仁市・思南県)
      • 五里源松花蛋(河南省・焦作市・修武県)
      • 东平湖松花蛋(山東省・泰安市・東平県)
      • 西乡松花变蛋(陝西省・漢中市・西郷県)
      • 梁平松花皮蛋(重慶市・梁平区)
      • 德兴皮蛋(江西省・上饒市・徳興市)


    枠のピータンは中国国内において定評および知名度が高いもの。それ以外の多くも諸外国や香港、マカオなどへ輸出されている。

分類

溏心皮蛋

溏心皮蛋(タンシンピーダン)は、江蘇省塩城市建湖県の伝統的な特産品の一つで建湖溏心皮蛋とも呼ばれる。 1984年に中国商務省と江蘇省から高品質製品として評価された。

原料は、建湖県の里下河地区で豊富に生産されるアヒルの卵が使用される。 新鮮な卵を選別、等級分けした後、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、石灰、茶葉、塩、酸化アルミニウム(Al2O3)などに熱湯を入れ、混ぜて冷却した桶に1か月ほど漬ける。 その後、卵を取り出し、表面を泥粘土で包んでから籾殻で覆い、陶器製の瓶に入れ、木蓋をし、その上から麻の布をかぶせて麻縄で縛って密封し、風通しが良く乾燥した貯蔵庫で熟成させる。 製品として出荷できるまでには1年ほどかかる。 溏心皮蛋は主に、アメリカ、モーリシャス、日本、シンガポール、マレーシア、マカオ、香港などで販売されている。

硬心皮蛋

硬心皮蛋(インシンピーダン)は、黄身がほぼ完全に固まったピータンのことである。

色彩

紋様

松花

鉛フリー

中国

『无铅松花皮蛋』(中国・湖北省)

无铅皮蛋(ウーチィェンピーダン:鉛を含まないピータン)は、1983年3月に湖北省荊州市の江陵県食品公司・郝穴卵工場が湖北省商品検査局と湖北省食糧・油糧・食品輸出入総公司の協力を得て開発した。 荊州市は清朝・宣統元年(1909年)には松花皮蛋を生産しており、すでに省内外で有名であった。 1984年6月、国家審査の結果、すべての国家規定と輸出基準に達し、同年、最初の製品が香港へ渡った。

香港卵品企業有限公司は香港保健当局にサンプルを送り、検査をした結果、鉛の含有量はわずか0.01%であることが判明した。 これは国際基準(6%)を大幅に下回る数値であった。 翌年の1985年8月、湖北省経済委員会が主催した湖北省ピータン品質審査において第1位となり、湖北省人民政府より高品質製品の称号が授与された。 鉛フリーのピータンは中国の国内市場で人気があるだけでなく、アメリカ、カナダ、シンガポール、香港、マカオなどにも輸出されている。

台湾

『無鉛花松優質皮蛋』神木牌(台湾)

台湾南西部に位置する嘉義市出身で中華民国アヒル飼育協会の会長である頼振松氏は鶏卵とアヒルの卵の流通と生産事業を長年営み、1981年、台湾初の無鉛皮蛋の研究開発に成功し、政府認定の無鉛ピータン標章の取得と共に自社ブランド「神木牌」を商標登録した。 神木牌の無鉛ピータンの販売量は台湾市場の90%を占め、アメリカ、カナダ、日本への輸出にも成功した。

薬効

日本

歴史

『日本の家庭に應用したる支那料理』1909年(明治42年)

日本において、ピータンが登場するのは、1909年(明治42年)3月25日に日本家庭研究會から刊行された柴田波三郎・津川千代子の著書『日本の家庭に應用したる支那料理』である。 本書では「松花蛋」、フリガナは「ソンホアタン」として記載されている。 なお、明治期(1868年10月23日(明治元年9月8日)~1912年(明治45年)7月30日)に出版された中国料理書は7冊である。

松花蛋(ソンホアタン)

材料 一、家鴨の卵子(支那製) 一、ごまの油(支那製)

此は支那の家鴨の卵子です。 壁土のやうなもので包まれてゐます。その土をよくとつて洗ひます。そしてわれないやうに皮をむいて、それを小口からうすくきつて、そのまゝ支那のごまの油をつけて食べます。 ”

『日本の家庭に應用したる支那料理』家鴨の卵子の鹽漬(明治42年)

日本の主なピータン

青島ピータン

『青島皮蛋』(山東省)

青島皮蛋(チンタオピータン)は、日本において最も流通量が多く、一般的なピータンである。 パッケージの記載の有無にかかわらず、スーパーマーケットで手軽に購入できる籾殻に包まれたピータンの大半を占める。

青島市は山東省の最大都市であり、中国有数の港湾都市である。 それにちなみ “ 青島 ” を冠するが同市では生産されていない。 この名称は、1960年代から横浜中華街の新光貿易(株)がブランド名「青島ピータン」として輸入し、日本で定着したものである。 青島ピータンは、実際には山東省南西部に位置する済寧市(さいねいし)の微山県(びざんけん)にある微山湖で飼育されているアヒルの卵を使って地元で生産されている「微山湖松花蛋」のことである。 青島ピータンは溏心皮蛋に分類される。

松花ピータン

『松花皮蛋』(台湾)

松花皮蛋(ショウカピータン)は、日本において青島ピータンに次いで知られる。 台湾産ピータンのほとんどは “ 松花 ” と銘打っており、日本語読みで “ ショウカ ” で通ってきた経緯がある。 外来語(カタカナ)表記で「ソンホウアピータン」とフリガナをしている製品もあるが、“ 松花 ” は中国本土のピータンの多くが冠するもので台湾に限られたものではない。 現在では「台湾ピータン」と呼ばれるのが一般的である。

台湾産のピータンは、多くの国への輸出が許可されている。 そのうち、アメリカ、カナダ、オーストラリアからは防検局が発行する輸出の際の動物検疫証明書を添付する必要がある。 日本と香港への輸出には動物検疫証明書の添付は必要ない。

黄金ピータン

黄金皮蛋(オウゴンピータン)は、その見た目から名付けられた通称である。 老舗中華料理店や銘店で供される珍品として、その存在は食通の間では知られていた。 貿易商によって輸出向けに「黄金皮蛋」と表記されたパッケージで流通することもあるが、中国本土では一般的ではない。 日本に輸入されるものは湖北省と四川省産が主で、中華街や中華料理店へ卸す業務用食材であるため、スーパーマーケットで手軽に購入できるものではない。 インターネットの普及によって黄金ピータンの知名度は増したが、日本の中華料理店において通年のグランドメニューになることは少なく、入荷時に限定で供されるのが一般的である。

うずらピータン

鹌鹑皮蛋(うずらピータン) 日本に輸入されるものは湖北省と台湾産が主で、

料理

香港

『松花皮蛋配酸薑』鏞記酒家(香港)

香港において、ピータンが食卓に並ぶようになったのは、1940年代の国共内戦の頃である。 当時、中国本土の有名シェフが香港へ逃れ、本土の料理を持ち込み、1942年に香港で最も有名なレストランの一つである「鏞記酒家」(Yung Kee Restaurant)が誕生した。 ピータンに新生姜(子薑:子姜)の甘酢漬けを添えたメニュー「松花皮蛋配酸薑」は、鏞記酒家が発祥である。 添えられる生姜は、日本で寿司に添えられる「ガリ」と同様のもので、香港ではピンク色の新生姜や通常の白い生姜が使われ、メニュー名が異なるにしても同じスタイルが多く見られる。 また、さらに砂糖を生姜にふりかけたり、砂糖を皿に添える場合もある。

甘酢生姜添えは、日本では最古の中国料理店であった聘珍樓をはじめ、現存する最古の中国料理店である萬珍樓、中華街の広東料理店でも知られているスタイルである。

香港の映画製作者で美食家の蔡瀾(チャイ・ラン)は、香港では甘酢の生姜で食べるが美味しいものじゃない。醤油をかけて食べたほうが美味しいと語っている。

日本

日本で確立された中華料理(日式中国料理)は、初期の段階で広東料理の影響を大きく受けており、日本でピータンは冷菜として供されるのが一般的である。

ギャラリー

社会・時事

  • 1997年05月23日:フジテレビ系列TV番組「料理の鉄人」でピータン対決が行われた。

関連項目

参考文献

  • 1909年(明治42年)3月25日:『日本の家庭に應用したる支那料理』日本家庭研究會(柴田波三郎・津川千代子)