レイクトゥル・ルンティ
レイクトゥル・ルンティ(Reyktur Lundi)は、アイスランドに生息するニシツノメドリを燻製にしたもので代表的な伝統料理の一つである。
ニシツノメドリ
ニシツノメドリ(学名:Fratercula arctica)は、チドリ目ウミスズメ科ツノメドリ属の海鳥である。 アイスランド語で ルンティ(Lundi)と呼ばれる。 愛嬌のある容姿から国のキャラクターとして扱われることが多く、鳥類学者や観光客の野鳥観察としても人気が高い。 海辺の断崖とその周辺に営巣し、小魚や小型の甲殻類を採餌する。 クチバシに小魚のキビナゴを器用に並べて挟むことでも知られる。
伝統利用
アイスランドは寒冷地であり、自然に生息する生物を摂取、利用することは人間の生命維持として歴史的に不可欠であった。 特に冬に差し迫る時期から春の終わりまでは食糧が渇望する時期であったため、ニシツノメドリは重要な食糧源であり、伝統食材の一つとなっている。 ニシツノメドリは古くは生食、塩漬け、燻製や乾物で食され、卵は断崖からロープで降りて命がけで採取し、貴重なタンパク源とした。 また、羽は防寒寝具に有効利用された。 今日では燻製が最も一般的である。 アイスランドの海鳥料理の代表的格となっており、訪れる観光客や食通の必食とされている。
※卵は保護増殖のため、古来のように食用とされることはない。 海鳥の卵ではウミガラスが代表的である。
狩猟法
ニシツノメドリをはじめとする海鳥には散弾銃などの銃器を使用することは禁じられている。 狩猟期間は 9月1日~5月10日まで。 長い竿状で先端がV字に分かれたラクロスのラケットのような古典的な猟具で捕獲する。 この手法はフェロー諸島(デンマーク自治領)から伝わったとされる。 鳥の群れが円を描いて飛び、崖の上を風に逆らって漂う習性を利用して捕らえる。 古くは幼い子供たちも捕まえていた。 今日でも父親と一緒に短い猟具で行う子供たちもいる。
ルンティ狩りは主にヴェストマン諸島とグリムセイ島で行われてきたが深刻な人口の減少と共に減少傾向にある。 アイスランドで生き抜くためのに培われてきた伝統的なルンティ狩りを体験できる催しを行っている自治体やサークルもある。 幼いころから当たり前に食している食材の歴史と知識に関する体験学習とリクリエーションの一環であり、海外から希望して参加する大人たちもいる。 この場合は狩りの成果より、あくまで安全な場所で行われる。 断崖での狩猟は危険性(突風や空中の鳥を夢中に追って転落など)が高く、熟練のスキルを必要とする職人たちの仕事場である。
ニシツノメドリの肉
ニシツノメドリの肉は、アイスランド語で(ルンタキョット:Lundakjöt)と呼ばれる。 生鮮肉は個人の狩猟者、もしくは食品加工会社などの組織的な狩猟で得られるもので、一般的に流通することは少ない。
製法
ギャラリー
- レイクトゥル・ルンティ:ニシツノメドリの燻製。
- レイクトゥル・ルンティ・メズ・ヒンドゥベルヤエディキ:ラズベリービネガー添え。
- レイクトゥル・ルンティ・メズ・シネップソゥス:マスタードソース添え。
- レイクトゥル・ルンティ・メズ・ブラべルヤソゥス:ブルーベリーソース添え。
- レイクトゥル・ルンティ・メズ・ブレンニヴィンズソゥス:ブレンニヴィンソース添え。
- レイクトゥル・ルンティ・メズ・マルトゥソゥス:モルトソース添え。
- Icelandic Cuisine - Reyktur Lundi með brennivínssósu.png
メズ・ブレンニヴィンズソゥス
(Með brennivínssósu)