レイニスフィヤル

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レイニスフィヤル

レイニスフィヤル(Reynisfjall)は、ミールダル地区の主要集落であるヴィーク村の西に位置する丘陵である。

概略

レイニスフィヤル南端からの眺め

レイニスフィヤルはヴィーク村レイニッシュヴェルフィ地区の間を隔てるように存在する。 高さは海岸付近で149m、最高標高地点は324m、幅は最大約800mで海岸の南端から北へ約5kmまで続く広範囲な丘陵地帯である。 カトラ火山系内にあり、氷河期後期の氷河下噴火や海底噴火で形成された。 このようなタイプの噴火で形成された山や丘陵は一般的に、基部に玄武岩質の枕状溶岩(まくらじょうようがん)があり、次に凝灰岩(ぎょうかいがん)が続き、いくつかの貫入岩(かんにゅうがん)が交差し、山頂は溶岩層となる。

南端の断崖の下には玄武岩の柱状節理やハルサネフシェリルと呼ばれる洞穴、海にはレイニスドランガルと呼ばれる海食柱があり、鳥類が営巣する繁殖地でもあるため、野鳥観察と観光スポットとして非常に人気が高い。 丘陵から東はヴィーク村とその先に残丘のヒョルレイフショフジ、西はレイニスフィヤラ海岸とディルホゥラエイ岬を展望することができる。

現在、環状道路は内陸部のレイニスフィヤルの上を通っているが、道路を海岸に近づけてレイニッシュヴェルフィ周辺に敷設し、レイニスフィヤルを通るトンネルの建設計画が議論されている。

生物相

植生は非常にまばらで、主に草類、地衣類(ちいるい)が覆い、高木のような樹木はなく、藪のような低木しかない。 丘陵の上にはヒツジ、麓には馬などが放牧されている。 断崖や草むらには鳥類学者や写真家、観光客を含むバードウォッチングの対象となる海鳥類が営巣して生息している。 多くの観光客が注目するのは愛嬌のある容姿をしたニシツノメドリである。

  • ニシツノメドリ(アイスランド語:Lundi / 学名:Fratercula arctica):チドリ目ウミスズメ科ツノメドリ属
  • ウミガラス(アイスランド語:Langvía / 学名:Uria aalge):チドリ目ウミスズメ科ウミガラス属
  • オオハシウミガラス (アイスランド語:Álka / 学名:Alca torda):チドリ目ウミスズメ科オオハシウミガラス属
  • キョクアジサシ(アイスランド語:Kría / 学名:Sterna paradisaea):チドリ目カモメ科アジサシ属
  • フルマカモメ(アイスランド語:Fýll / 学名:Fulmarus glacialis):ミズナギドリ目ミズナギドリ科フルマカモメ属

狩猟鳥

断崖のニシツノメドリ

ニシツノメドリは狩猟鳥の一つで、アイスランド語でルンティ(Lundi)と呼ばれる。 アイスランドは寒冷地であるため、大規模な農業で豊かな食糧を生産することは厳しく、生息する生物を摂取することは人間の生命維持として不可欠である。

ニシツノメドリは、古くは生食、塩漬け、燻製や乾物で食され、卵は断崖からロープで降りて命がけで採取し、貴重なタンパク源とした。 また、羽は防寒寝具に有効利用された。 特に冬季に差し迫る時期から春の終わりまでは、食糧が渇望する時期であったため、ニシツノメドリは歴史的に重要な食糧源であり、伝統食材の一つである。 燻製や冷凍肉も販売されている。

狩猟方法

断崖絶壁のハンター

ルンティ狩りは散弾銃などの銃器を使用することは一切ない。 長い竿状で先端がV字に分かれたラクロスのラケットのような古典的な猟具で捕獲する。 この手法はフェロー諸島(デンマーク自治領)から伝わったとされる。 鳥の群れが円を描いて飛び、崖の上を風に逆らって漂う習性を利用して捕らえる。

アイスランドで生き抜くためのに培われてきた伝統的な「ルンティ狩り」を体験しようとする人々もいる。 この場合は狩りの成果より、あくまで安全な場所で行われ、子供たちも参加する。 断崖での狩猟は危険性(突風や空中の鳥を夢中に追って転落など)が高く、熟練のスキルを必要とする職人たちの仕事場である。 古来、断崖から卵を採取する役目は勇気と体力のある若者であったが、現在は行われていない。

ギャラリー

関連項目