蚵仔煎
蚵仔煎(オアジェン:牡蠣オムレツ)は、台南の特産である牡蠣を水で溶いたサツマイモ粉の生地で包んだオムレツで、台南の安平地区の古い世代の人たちに親しまれている伝統的な小吃です。
歴史
1661年にオランダ軍が台南を占領した際、鄭成功は25,000人の兵士を率いて、400隻の軍艦を使って失地回復のためにに軍隊をルエルメンの港から侵略させ、破竹の進撃でオランダ軍を打ち負かしました。 オランダ軍はすべての米を隠し、鄭軍が食糧不足になった頃合いを狙おうとしましたが、彼は牡蠣とサツマイモの粉を水と混ぜてシンプルにオムレツにしました。 そして、県内でも人気の高い食べ物になったといいます。
しかし、中国大陸では、福建省の小吃として牡蠣オムレツが紹介されており、これは別の起源である。
牡蠣オムレツは、現在、台湾のいたるところで食べられますが、「牡蠣オムレツを食べるなら、牡蠣の生産量が多い台南の安平、嘉義の東勢、屏東の東港などの産地に行くべきだ」という考えを持っている食通も多い。 たしかに、牡蠣の特産地は剥きたてを販売しているので、輸送のために水に浸す必要がありません。 しかし、現代の台湾の配送技術では、たとえ産地から離れていても、毎日新鮮な牡蠣が届けられることが可能になっているため、多くの夜市で庶民に愛されるメニューになりました。
鄭成功
台湾の国民的英雄として知られている鄭成功(1624年8月27日 - 1662年6月23日)は、1624年に長崎県平戸市で生まれました。 父親の鄭芝龍は中国人、母親の田川マツは日本人でした。 彼は幼名を福松(ふくまつ)と言い、幼い頃は母親と平戸に住んでいました。 父親は彼が7歳のときに勉強のために父の故郷である中国の福建省泉州に連れ戻しました。 父の紹介により、鄭成功は明王朝の龍武皇帝から「朱」の称号が与えられ、彼は自分自身を「国の名前の成功」と呼びました。 後世では鄭成功と呼ぶのが通例ですが、実は清王朝に由来する称号です。 鄭成功を称える碑は台湾国内や福建省で見られますが、日本の長崎県平戸市千里ヶ浜にも「児誕石」の碑があります。
特徴
牡蠣
牡蠣は、滋養効能などの栄養面において、日本のみならず世界的に認知されている食材の一つです。 夜市を楽しみながら飲酒する多くの人たちにとっても、牡蠣オムレツは暗黙の中で必然的に人気が高くなる。
日本では、一般的に大ぶりの牡蠣がありがたがられ、それが贅沢気分を感じさせたり、味がよいという判断基準にされがちですが、牡蠣は海水や生育環境によって形状すら変異するものです。 また、フランスなどに見られる代表的な牡蠣の生食文化であるオイスターバーでもわかるように、海外産の小粒な牡蠣には、その一粒に磯や潮の香りというよりは、一種の爽やかな清涼感すら感じる芳香と濃厚で余韻が残るクリーミーで濃縮されたようなものが沢山あります。 牡蠣の大きさは味の善し悪しや濃厚さと決して比例しません。
牡蠣オムレツ「蚵仔煎」に使われる牡蠣は小ぶりな牡蠣が使われます。 大ぶりの牡蠣で日本人の価格帯意識であれば数個しか投入されず、牡蠣と生地を完全に別々で食べるようなバランスが崩れたものになったり、牡蠣自体をカットして使おうとするところですが、蚵仔煎には台湾産の小ぶりな牡蠣が贅沢に沢山入れられるのが特徴です。
日本では大きなものを生牡蠣として食べることも、この上ない至福の一つです。 しかし、加熱した場合、どんな大きな牡蠣でも身が小さくなることを日本人は知っています。 そのような牡蠣の場合、牡蠣から流出する多くの水分で、汁っぽい卵オムレツか出来損ないのお好み焼き、もんじゃ焼きに近くなってしまい、蚵仔煎は成立しません。
牡蠣オムレツに使われる牡蠣は、台湾の特産地から新鮮なまま台湾全土に配送されているため、現在では台湾の広範囲にある多数の夜市で食べられる庶民的なものであり、観光客にとっても、特に地域による大きな差異もなく台湾の名物メニューになっています。 その中でも牡蠣の特産地で食べようとするマニアは後を絶ちません。 その主な理由は、牡蠣小屋からそのまま持ってきて調理されることだけでなく、牡蠣オムレツ以外にも、牡蠣を贅沢三昧に使った料理の充実性、庶民的な価格、特産地ならではの風土、風景、土着した食文化に触れられることに起因しています。
サツマイモ粉
新鮮な牡蠣の他に、サツマイモの粉も牡蠣オムレツを美味しくするポイントです。 サツマイモの粉にはさまざまな種類がありますが、コクと香りのある生地ができるのは純粋なサツマイモの粉だけです。 さつまいも粉の生地は焼くと透明感が出て、クリスピーな部分としっとりした部分を楽しめる。 水で適度にとろみをつけた衣によって、牡蠣のねっとりとしたクリーミーな食感が増し、さらに純サツマイモ粉が牡蠣の新鮮さをさりげなく引き立ててくれるので、最高の相性になっています。
野菜
冬は春菊、夏はキャベツを添えてられる。
ソース
こだわり
- 焼き方は、水の粘度、焼き方、焦げ目などに各店舗で独自のこだわりがあります。
- また、基隆市の廟口夜市には炭火調理にこだわる店もあり、2020年6月9日、蔡英文大統領が訪れている。
- 焼き上げる油は香りのよいラードが使われる。
- 味を重視する店では、卵にもこだわり、濃い黄身の卵が使われます。
材料
食材
- 牡蠣
- 筒篙菜(トンガオツァイ)
- 適量のねぎ
生地
- 卵2個
- サツマイモ粉
- 大さじ4の水
ソース
- 甜辣醤:大さじ3
- ケチャップ:大さじ3
- 醤油:大さじ2
- 味噌:大さじ2
- 砂糖:大さじ4
- 水
- コンスターチ
作り方
影響
- 2007年6月に雑誌「フォーサイト」が行った外食行動に関するアンケートでは、「最も台湾を代表する料理」として、牡蠣オムレツが1位になった。
- 2007年10月、経済部商務局は「外国人による台湾料理投票No.1」を開催し、軽食とテーブル料理に分けて、60人の外国人を招待し、その場で試食してもらった結果、牡蠣オムレツがチャンピオンになった。
- 2020年6月9日、蔡英文大統領は基隆市の廟口夜市にある炭火焼の牡蠣オムレツを味わいに「碳燒蚵仔煎」を訪れ、サインをした。
ギャラリー
牡蠣オムレツ「蚵仔煎」は台湾国内の夜市や飲食店でも広く知られているメニューです。 夜市は他にもあり、以下はその一部に過ぎません。