苏波汤
苏波汤(スーボータン)は、ロシアを起源とするスープで、中国の最北端および最東端に位置する黒竜江省(こくりゅうこうしょう)の省都であるハルビン市で発展し、土着したスープである。
ハルビン市
黒竜江省は、ロシア極東連邦管区の巨大都市であるウラジオストクと隣接しており、省都ハルビン市の街並みは今でもロシアの雰囲気を色濃く残している。 この街は金・清の両王朝の発祥の地であり、のちに「東洋のモスクワ」と形容された。 ハルピンのランドマークといえば、1924年にロシア人が設計したショッピングストリート「中央街」、旧ソ連の影響を受けた「スターリン公園」、ロシア正教会の「聖ソフィア大聖堂」など、大小さまざまなロシア様式の建築物が数え切れないほどある。 中国の少数民族には、中国に逃れてきたロシア人や旧ソ連の移民の子孫であるロシア系民族が含まれており、ハルピンはその子孫の主要な居住地の一つである。
歴史的背景
語源
ハルビンでは、「苏波」(スープ)、「列巴」(パン)、「布拉吉」(ドレス)、「格瓦斯」(クワス)などといったロシア語の発音を借用した方言がある。 これらの言葉の中には、中国語の発音と同義になったものや固有名詞そのものになったものもある。
苏波汤の「苏波」(スーボー)はロシア語のスープの音訳に由来し、「汤」(タン)は中国ではスープを意味する。 よって、直訳では “ スープ スープ ” という重複した意味になってしまうが、これは日本で韓国の鍋料理(チゲ)をチゲ鍋(ちげなべ)と呼び、 “ 鍋 鍋 ” は正しくないにせよ、庶民の間では意味合いとして伝わりやすく、一般的な響きとして定着した経緯と同じである。
メニュー表記
红菜汤
1925年に、马尔斯茶食店として創業した「华梅西餐厅」は、上海の「雅克红房子西餐厅」、北京の「马克西姆餐厅」、天津の「天津起士林大饭店」とともに、中国4大洋食レストランの一つとして知られている。
华梅西餐厅は、ハルビンを訪れる際に必ず立ち寄るべきグルメスポットとなっており、メニューには「红菜汤」(ホンツァイタン)と表記されている。
红菜汤は必食アイテムになっている。
莫斯科红菜汤
苏泊汤
酸辣汤
メニュー表記は「酸辣汤」ではあるものの、地元客からは苏泊汤と呼ばれているものもある。
多少の辛味と酸味がある苏泊汤であり、明らかに一般的な酸辣汤とは異なる。
酸辣汤にはトマト(西红柿)が使われる場合もあり、来客した省外の人々によって西红柿酸辣汤として紹介されることもあるが、それは極少数であり、ほとんどが苏泊汤として認識している。