赤茄子飯(食道楽)
ナビゲーションに移動
検索に移動
赤茄子飯(あかなすめし)は、明治36年(1903年)発行された村井 弦斎(むらい げんさい)の小説『食道楽』「夏の巻」と「秋の巻」に登場する料理である。
夏の巻
註譯
○トマト飯の煮方は最初米二合を能く洗い干し置きバタ大匙一杯をフライ鍋にて溶かしたる中へ前の米を入れて狐色になるまで炒り付け生のトマト貳斤の皮をむき二つに割りて汁を能く絞り極く細かに叩きソース鍋に入れ前の米を加えてスープ凡そ三合を注し鹽胡椒にて味を付け普通の飯の如く煮るなり。
○トマトは皮をむくには鳥渡熱湯に浸せば用意なり。
第百四十三 赤茄子飯
秋の巻
西洋料理の部
西洋の人は平生食物問題を研究して新しい料理を拵える事に苦心していますから小麦を常食としているにもかかわらずお米の料理が四百何十種と出来ております。 お米を常食とする我邦の人はなおさらお米料理の研究を怠ってはなりますまい。 今ここへ西洋料理の中で日本人の口に合いそうなものを五十種ほど出しておきます。
第七 赤茄子飯
赤茄子飯と申すのはペラオ飯よりも一層美味しいもので交際社会の献立に多く用いられます。 それはやっぱりペラオ飯のようにバター大匙一杯でお米一合を狐色にいためて牛か鳥のスープ三合と裏漉にした赤茄子大匙五杯とを加えて塩胡椒で味をつけてペラオ飯の通りに煮ます。 生の赤茄子のない時には壜詰のトマトソースを同じ分量で加えますが味は生の物に及びません。 この御飯だけで味が良うございますけれども大概は前にある肉汁ソースか黒ソースかあるいはドビグラスを掛けます。