「レイニスフィヤラ」の版間の差分

提供: Tomatopedia
ナビゲーションに移動 検索に移動
43行目: 43行目:
 
砂のように乾燥すれば風で舞い上がる砂塵となり、水分を含んで沈殿して地面として締まるものとは異なる流動性の高い磨かれた石の粒である。
 
砂のように乾燥すれば風で舞い上がる砂塵となり、水分を含んで沈殿して地面として締まるものとは異なる流動性の高い磨かれた石の粒である。
 
一度、安易に浅瀬に足を踏み込むと同時に、足元の黒い玉砂利が “ 極めて通常の波 ” でも崩れて足元をすくい、数秒で下半身から首までが埋没し、その重さで脱出不能に陥る。
 
一度、安易に浅瀬に足を踏み込むと同時に、足元の黒い玉砂利が “ 極めて通常の波 ” でも崩れて足元をすくい、数秒で下半身から首までが埋没し、その重さで脱出不能に陥る。
 +
この原理は、観賞魚の水槽で説明すると、沈殿した砂であれば指で水槽底までを押す抵抗感が多く、丸い小石の場合は簡単に指が水槽の底まで到達することと同じである。
 +
 
その状態に追い打ちをかけるように打ち寄せる波(低い波でも)による溺死、引き波で砂利ごと海中から沖に連れ去られる遭難などの死亡事故に直結する。
 
その状態に追い打ちをかけるように打ち寄せる波(低い波でも)による溺死、引き波で砂利ごと海中から沖に連れ去られる遭難などの死亡事故に直結する。
 
これらは一般的な砂浜として判断した場合、極めて安全と思える “ 水遊び ” 程度の足首から膝下ほどの “ 波打ち際 ” で起こる。
 
これらは一般的な砂浜として判断した場合、極めて安全と思える “ 水遊び ” 程度の足首から膝下ほどの “ 波打ち際 ” で起こる。

2023年12月22日 (金) 11:06時点における版

レイニスフィヤラ

レイニスフィヤラ(Reynisfjara)は、ミールダル地区の主要集落であるヴィーク村の西に位置する丘陵「レイニスフィヤル」(高さ324m)を隔て、さらに西側へ続く海岸地帯である。

概要

レイニスフィヤラ海岸(通称:ブラック・サンド・ビーチ)

ヴィーク村に面するキルキュフィヤラ海岸と同質の玄武岩砂の黒い砂浜で、アイスランドでは著名な観光地として知られている。 この海岸は英語では通称「ブラック・サンド・ビーチ」(Black Sand Beach)と呼ばれるが、火山島であるハワイのプナルウ黒砂海岸(Black Sand Beach)、太平洋戦争の「硫黄島の戦い」で知られる硫黄島の黒い砂浜(Iwo Jima Black Sand)などにも用いられている。

アイスランドの海岸の多くは、火山で形成された黒い砂浜(ブラック・サンド・ビーチ)であるため、特定地域の海岸の呼称に用いるのは不適当である。 あくまで観光客向けに覚えやすく簡略化された呼称であり、レイニスフィヤラ・ビーチ(Reynisfjara Beach)、黒い砂浜を強調するのであれば、レイニスフィヤラ・ブラック・サンド・ビーチ(Reynisfjara Black Sand Beach)が適当である。

観光客の多くはレンタカーで訪れ、レイニスフィヤルの麓にあるレイニッシュヴェルフィ(Reynishverfi)と呼ばれる地区に駐車し、海岸を東西に歩いて探索する。 この場所は集落にも満たない地区で、数軒のコテージと食事を摂るための主要なレストランが海辺にあるのみである。

奇岩群

柱状節理の洞穴「ハルサネフシェリル」

レイニスフィヤラ海岸には、ストゥズラベルグ(Stuðlaberg)と呼ばれる奇岩群がある。

砂浜を東側のヴィーク村方面へ向かうと、行く先を遮るようにレイニスフィヤル丘陵がそびえ立つ。 その末端が砂浜を歩ける限界地点である。 丘陵の麓には玄武岩の柱状節理や洞穴、海にはレイニスドランガルと呼ばれる海食柱があり、観光スポットとして非常に人気が高い。

ハルサネフシェリルと呼ばれる柱状節理の洞穴は、ヴィーク村まで抜けるトンネルのようなものではなく、洞窟ほどの奥行もない空間である。

天候によっては荒波に覆われる地点であるため、注意が必要である。 また、経年による岩盤の劣化で落石事故も起こっている。

砂浜を西側へ向かうと観光看板にレイニッシュヴェルフィの名称で標示されている海食柱がある。 その先には奇岩群を含む岬であるディルホゥラエイを眺望する。

スニーカー・ウェーブ

レイニスフィヤラ海岸の警告表示

スニーカー・ウェーブ(Sneaker Wave)は、警戒心なく海辺の浅瀬に踏み込む人々を襲う “ 極めて危険性の高い波 ” の一つである。 甚大な災害をもたらす津波(Tsunami)とも異なり、科学的に定義されていないが、波の一種として一般的に用いられている名称である。

スニーカー・ウェーブの特徴の一つは、人が自由に海辺に侵入した時点で、本能的に “ 波の一波で安全 ” と思える、または “ 波の満ち引きや高さなどから安定 ” と判断する状態から突然、予想以上に押し寄せる不規則性をもつ。 このような波は、テトラポットなどの防波堤のない天然の海水浴場を含め、海辺では常に起きている現象で、一度は経験しても不思議ではない波だが、スニーカー・ウェーブの恐ろしさは不規則性に加え、海岸の入り江の形状や海底の地形、砂泥の形質にも影響され、水難事故につながる波として顕著である。

レイニスフィヤラ海岸は、観光客が解放感などから警戒心なく記念撮影などで浅瀬に踏み込み、命を落とす最も危険な観光地としても名高い。 一見、単なる黒い砂浜のように思えるが、これは一般的な “ 砂 ” ではなく、打ち寄せる波によって経年研磨された火山岩である。 砂のように乾燥すれば風で舞い上がる砂塵となり、水分を含んで沈殿して地面として締まるものとは異なる流動性の高い磨かれた石の粒である。 一度、安易に浅瀬に足を踏み込むと同時に、足元の黒い玉砂利が “ 極めて通常の波 ” でも崩れて足元をすくい、数秒で下半身から首までが埋没し、その重さで脱出不能に陥る。 この原理は、観賞魚の水槽で説明すると、沈殿した砂であれば指で水槽底までを押す抵抗感が多く、丸い小石の場合は簡単に指が水槽の底まで到達することと同じである。

その状態に追い打ちをかけるように打ち寄せる波(低い波でも)による溺死、引き波で砂利ごと海中から沖に連れ去られる遭難などの死亡事故に直結する。 これらは一般的な砂浜として判断した場合、極めて安全と思える “ 水遊び ” 程度の足首から膝下ほどの “ 波打ち際 ” で起こる。 また、波の不規則性によって、非常に低い波でも “ 異常な伸び ” で足元が濡れない程度の場所を歩いている人々を転倒させ、引き波で瞬く間に引きずり込み、あっという間に姿を消す。 間近で目撃した人々が救助に向かった場合、二次災害、三次災害につながる負の連鎖を引き起こすため、救助は困難である。

これらのケースとは別に、海辺より比較的離れていたとしても、季節や天候によっては、たった一度の荒波や岩礁に衝突して発生した波しぶきをかぶったことで数分で低体温症に陥る。

海水浴場ではないため、ライフセーバーなどはいない。 ライフセーバーすら救助活動にあたった場合、自身の落命につながる危険性の高い海岸である。

ギャラリー

関連項目