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− | '''ブルートマト'''(Blue | + | '''ブルートマト'''(Blue Tomato)は、ブルーベリー、ブラックベリー、チョークベリーなど、多くの果物の青や紫の色の元となる色素、アントシアニンを多く含むように品種改良された[[トマト]]である。 |
アントシアニンは、虫や病気、紫外線から植物を守る働きがあると言われている。 | アントシアニンは、虫や病気、紫外線から植物を守る働きがあると言われている。 | ||
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+ | その結果、色素は葉や茎に限定され、食用に供されることはなかった。 | ||
+ | 2012年の栽培シーズンから、オレゴン州立大学が開発したブルートマトの種子が「インディゴ・ローズ」というブランド名で市販されるようになった。 | ||
+ | 紫色は、直射日光が当たるトマトの果実の外側にあるアントシアニン「ペツニジン」によって主に作られる。 | ||
+ | 日陰になる側の果実は未熟なものは緑色、熟すと赤色になり、内側は赤色または濃いピンク色をしている。 | ||
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+ | アントシアニンの濃度は、ブルーベリーなどの他の果実に比べてまだ非常に低いが、この色素は「灰色かび病」に対する果実の抵抗力を向上させるという。 | ||
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+ | [[ファイル:Genetically Modified Tomato - Purple Tomato developed in John Innes Centre.png|250px|right|thumb|アントシアニン高含有の『パープルトマト』]] | ||
+ | [[パープルトマト]]は、ブルートマトを遺伝子組換え技術を使って改良した[[遺伝子組換えトマト]]で、[[シソ類|シソ類]]のキンギョソウ(学名:''Antirrhinum'' [[カール・フォン・リンネ|L.]])の遺伝子を組み込んで、果肉のアントシアニン量を増加させた。 | ||
+ | 従来の品種(ブルートマト)と遺伝子組換え品種(パープルトマト)では、アントシアニンの生合成を制御するMYB遺伝子クラスの同じ転写因子の発現が変化しているが、遺伝子組換え品種ではさらに、果皮だけでなく果肉にも色素が生成されることが確認された。 | ||
+ | その結果、アントシアニンの濃度が従来品に比べて約100倍高くなった。 | ||
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+ | パープルトマトの発明者であるイギリスのノーフォークにある植物および微生物科学の研究所「ジョン・イネス・センター」のジョナサン・ジョーンズ(Jonathan Jones)教授とキャッシー・マーティン(Cathie Martin)教授は、パープルトマトを商品化するためにノーフォーク・プラント・サイエンス(Norfolk Plant Sciences)という会社を創設した。 | ||
+ | 彼らはカナダのニュー・エナジー・ファーム(New Energy Farms)という会社と提携して、パープルトマトを大量に栽培し、そこからジュースを作って、規制当局の承認を得るための臨床試験に臨んでいる。 | ||
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+ | トマトの品種には、[[ブラック・クリム]]や[[チェロキー・パープル]]など、色の濃さを示す名前がついているものが多い。 | ||
+ | これらの色は、クロロフィルが効率的に分解されず、果実にフェオフィチンという色素が蓄積されるという全く別のプロセスに由来する。 | ||
+ | この色素が、βカロテンやリコピンなどの他のカロテノイドと結びついて、茶色や黒の色を作り出すのである。 | ||
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+ | *ブルー・バイユー(Blue Bayou):アメリカ・ワシントン州のトマトブリーダーである[[トム・ワーグナー]]によって開発された。 | ||
+ | *[[ミッドナイト・スナック]](Midnight Snack):アメリカ・カリフォルニア州の品種のトマトである。 2017年のAAS(オール・アメリカ・セレクション)の野菜部門で優勝した。 | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == |
2022年7月22日 (金) 06:30時点における最新版
ブルートマト(Blue Tomato)は、ブルーベリー、ブラックベリー、チョークベリーなど、多くの果物の青や紫の色の元となる色素、アントシアニンを多く含むように品種改良されたトマトである。 アントシアニンは、虫や病気、紫外線から植物を守る働きがあると言われている。 なお、このトマトは「インディゴ・ローズ」「サン・ブラック」というブランド名で商品化されているものもある。
特徴
トマトはアントシアニンを生成する遺伝子を持っているが、ほとんどの市販品種ではこの遺伝子が果実に発現していないのが一般的である。 その結果、色素は葉や茎に限定され、食用に供されることはなかった。 2012年の栽培シーズンから、オレゴン州立大学が開発したブルートマトの種子が「インディゴ・ローズ」というブランド名で市販されるようになった。 紫色は、直射日光が当たるトマトの果実の外側にあるアントシアニン「ペツニジン」によって主に作られる。 日陰になる側の果実は未熟なものは緑色、熟すと赤色になり、内側は赤色または濃いピンク色をしている。 トマトは丸く小型で、約2インチ(5.08cm)の大きさで、房に6個~8個の果実が育つ。 味はやや酸味が強いと言われている。 つるは不定形だがコンパクトで、病気に強いと言われている。 アントシアニンの濃度は、ブルーベリーなどの他の果実に比べてまだ非常に低いが、この色素は「灰色かび病」に対する果実の抵抗力を向上させるという。
パープルトマト
パープルトマトは、ブルートマトを遺伝子組換え技術を使って改良した遺伝子組換えトマトで、シソ類のキンギョソウ(学名:Antirrhinum L.)の遺伝子を組み込んで、果肉のアントシアニン量を増加させた。 従来の品種(ブルートマト)と遺伝子組換え品種(パープルトマト)では、アントシアニンの生合成を制御するMYB遺伝子クラスの同じ転写因子の発現が変化しているが、遺伝子組換え品種ではさらに、果皮だけでなく果肉にも色素が生成されることが確認された。 その結果、アントシアニンの濃度が従来品に比べて約100倍高くなった。
パープルトマトの発明者であるイギリスのノーフォークにある植物および微生物科学の研究所「ジョン・イネス・センター」のジョナサン・ジョーンズ(Jonathan Jones)教授とキャッシー・マーティン(Cathie Martin)教授は、パープルトマトを商品化するためにノーフォーク・プラント・サイエンス(Norfolk Plant Sciences)という会社を創設した。 彼らはカナダのニュー・エナジー・ファーム(New Energy Farms)という会社と提携して、パープルトマトを大量に栽培し、そこからジュースを作って、規制当局の承認を得るための臨床試験に臨んでいる。
黒色品種との違い
トマトの品種には、ブラック・クリムやチェロキー・パープルなど、色の濃さを示す名前がついているものが多い。 これらの色は、クロロフィルが効率的に分解されず、果実にフェオフィチンという色素が蓄積されるという全く別のプロセスに由来する。 この色素が、βカロテンやリコピンなどの他のカロテノイドと結びついて、茶色や黒の色を作り出すのである。
類似品種
- ブルー・バイユー(Blue Bayou):アメリカ・ワシントン州のトマトブリーダーであるトム・ワーグナーによって開発された。
- ミッドナイト・スナック(Midnight Snack):アメリカ・カリフォルニア州の品種のトマトである。 2017年のAAS(オール・アメリカ・セレクション)の野菜部門で優勝した。