「ペラオチキン飯(食道楽)」の版間の差分
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それから三百目位の鶏を骨付のまま五つに離して塩胡椒を振ってバターで色の付くまでよくいためますが火はなるたけ強い方がよいのです。 | それから三百目位の鶏を骨付のまま五つに離して塩胡椒を振ってバターで色の付くまでよくいためますが火はなるたけ強い方がよいのです。 | ||
別にバターでメリケン粉をいためてスープとトマトソースを加えて塩胡椒で味をつけてその中へ今の鶏の肉を入れておよそ四十分間弱い火で煮込みまして前の御飯へこの肉を汁ともにかけます。 | 別にバターでメリケン粉をいためてスープとトマトソースを加えて塩胡椒で味をつけてその中へ今の鶏の肉を入れておよそ四十分間弱い火で煮込みまして前の御飯へこの肉を汁ともにかけます。 | ||
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+ | '''第一 ペラオ飯めし''' と申すのは土耳古風の極く手軽なお料理で我邦の上中流社会にもこの頃大層流行します。 | ||
+ | それは先ずお米を磨といでよく水気を切っておきます。 | ||
+ | 別にフライ鍋へ大匙一杯の上等なバターを溶かして右のお米一合ほどを入れてよく掻廻しながらお米の狐色になるまでいためます。 | ||
+ | それを深いソース鍋へ移して三合のスープを注して塩を少し加えて最初は強い火で三十分間煮てその次は火をズット弱くして二十分間蒸らしておきます。 | ||
+ | つまり五十分間で出来る訳わけです。 | ||
+ | この御飯ばかりをお皿へ盛って出してもなかなか好い味ですがモー一層上等にしますと色々のソースを掛けて出します。 | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == |
2022年5月2日 (月) 10:18時点における版
ペラオチキン飯(ぺらおちきんめし)は、明治36年(1903年)発行された村井 弦斎(むらい げんさい)の小説『食道楽』「秋の巻」に登場する料理である。
西洋料理の部
西洋の人は平生食物問題を研究して新しい料理を拵える事に苦心していますから小麦を常食としているにもかかわらずお米の料理が四百何十種と出来ております。 お米を常食とする我邦の人はなおさらお米料理の研究を怠ってはなりますまい。 今ここへ西洋料理の中で日本人の口に合いそうなものを五十種ほど出しておきます。
第十一 ペラオチキン飯
ペラオチキン飯はペラオ飯の上等で先ず普通のペラオ飯を二合ほど炊いておきます。 別に乾葡萄大匙一杯小葡萄同じく一杯レモンの皮の細かく刻んだもの一杯とをバターでいためてペラオ飯へ混ぜ合せます。 それから三百目位の鶏を骨付のまま五つに離して塩胡椒を振ってバターで色の付くまでよくいためますが火はなるたけ強い方がよいのです。 別にバターでメリケン粉をいためてスープとトマトソースを加えて塩胡椒で味をつけてその中へ今の鶏の肉を入れておよそ四十分間弱い火で煮込みまして前の御飯へこの肉を汁ともにかけます。
補足
第一 ペラオ飯めし と申すのは土耳古風の極く手軽なお料理で我邦の上中流社会にもこの頃大層流行します。 それは先ずお米を磨といでよく水気を切っておきます。 別にフライ鍋へ大匙一杯の上等なバターを溶かして右のお米一合ほどを入れてよく掻廻しながらお米の狐色になるまでいためます。 それを深いソース鍋へ移して三合のスープを注して塩を少し加えて最初は強い火で三十分間煮てその次は火をズット弱くして二十分間蒸らしておきます。 つまり五十分間で出来る訳わけです。 この御飯ばかりをお皿へ盛って出してもなかなか好い味ですがモー一層上等にしますと色々のソースを掛けて出します。
参考文献
- 『食道楽・秋の巻』:明治三十六年(米料理百種・第六)村井 弦斎