ヤルトマタ

ヤルトマタ

ヤルトマタ（Jaltomata）は、ナス科の植物で分子系統学的には、トマト、ジャガイモ、ナスなどを含む、ナス属（Solanum）の姉妹属である。 ヤルトマタは新熱帯に分布し、アメリカの南西部からラテンアメリカ、南米のアンデス地域に分布している。生育環境（トレイルハーブ、直立ハーブ、木質低木）、花の大きさ、形、色、果実の大きさ、色など、植生や生殖形質のバリエーションが豊富な種がある。 いくつかの種の果実は、ラテンアメリカや南アメリカで食用とされています。 果実の色は種類によって、赤、緑、オレンジ、濃い紫などがある。

説明

植生の特徴

ナス科の植物『ヤルトマタ』

ヤルトマタ種は多年草で、草本または低木であり、時には、高さ1～2メートル、例外的に5メートルに達するものもあります。 シュート軸は通常、中空で、扁平な円形または四角形から五角形をしています。

葉は、対になっていたり、渦巻き状になっていることもあり、葉柄と葉身に分かれます。 長さ5～25mmの葉柄は、葉身上で非対称であることが多い。 葉身は、卵形で、ときには楕円形や卵形のものもあります。 通常、長さは9.5～15cm、幅は5.5～8.5cmですが、もっと小さく、3.5～6cm×2.5～4cmになることもあります。 葉の縁は全体的に波打っているか、または歯があり、葉の先端は尖っていて、葉の基部は切り立っていて、鈍いまたはくさび形に尖っています。

花序と花

ヤルトマタ（Jaltomata repandidentata）の花。左はまだ葯が開いていない花、右は葯が開いた花。

花序は、葉腋に単独で、または二股から出て、2～3個または最大で12～18個の花を傘状に並べている。

雌雄同体の花は5つの歯を持ち、八重の花弁を持つ。萼片は5裂しているか、または5裂していて、帯状の円錐形と輪状になっています。 萼裂片は通常、卵形-三角形または三角状で、幅は長さよりも広いか、長さと同じくらいで、通常は筒よりも長い。 冠の形は、車輪状、鐘状、漏斗状、筒状、そして1種は壷状と様々であるが、本属には白っぽいもの、緑、淡黄色、紫、青の冠を持つ種がある。 花冠の直径は通常14～25（まれに10～35）mmで、長さは2～2.7cm。コロラドの筒には通常10個のコロラド小葉があり、そのうち5個はやや大きいが、通常は筒よりも短い。 これらと交互に5つの短い花冠の小片がありますが、これらの小片は非常に目立たないか、全く目立たないこともあります。夜になると花が閉じる種類もあります。

唯一の例外はJaltomata repanidentataで、2本の長い雄しべがあり、葯も大きくなっている。 雄しべの長さは、同じ長さのものと、ほぼ同じ長さのものがあり、また、2つの異なる長さのものがあります。 花の基部付近では、フィラメントが太くなり、一体化してリング状になり、そこには重たい毛が生えていることもあります。 葯の長さは通常1～2.7(0.8～3)mmで、花粉粒は26～36μmと中くらいの大きさです。 卵巣には多数の卵巣がある。リング状の花弁から、黄色やオレンジ、赤の蜜を分泌する。 雌しべの上には、ほぼ丸い、くぼんだ、またはわずかに両葉のカルペルがある。

研究対象となった属のすべての種は、自己互換性があります。 この属の多くの種は、protogynous（雌雄同体）の花を持つ。 開花1日目は葯が閉じたままで、2日目になってようやく開きます。 いくつかの種では、雄しべはこの2つの段階の間に伸長して、雄しべは雌しべに向かって上がっていきます。

果実・種子

ヤルトマタの熟した果実と未熟な果実

ジャルトマタの果実は、丸いか平たい円形で、ジューシーな果実で、小さいものでは（3）5～9mm、大きいものでは通常14～23（10～25）mmの果実がある。 熟した果実は、紫、黒、緑、オレンジ、赤、黄色などがあり、大きく膨らんだ萼にほぼ包まれている。 実の中には70～180個の種が入っています。 腎臓のような形をしたほぼ丸い種子は、（0.8）1.4～2mmの大きさです。種子の中の胚は強く曲がっている。

分類学

エメ・ボンプランによるヤルトマタの写図『Nova genera et species plantarum 第3巻』1815年

ニコラウス・フォン・ジャカンによるヤルトマタの写図『Plantarum Rariorum Horti Caesarei Schoenbrunnensis 第4巻』1797年

植物史

ヤルトマタ属は、1838年にDiederich Franz Leonhard von Schlechtendalによって、単一種のJaltomata edulisを含む属として初めて記載されたが、その1年後にはSaracha属に従属した。 J.L.ジェントリーが再び属名を認めたのは1973年のことで、それと同時に、SchlechtendalがJaltomata edulisとして記載した種が、それ以前にAntonio José CavanillesによってAtropa procumbensとして紹介されていたことを認めたのである。 したがって、正しい種名はJaltomata procumbensである。

現在この属に分類されている他の多くの種は、当初は他の属に分類されていました。 例えば、1799年にHipólito Ruiz LópezとJosé Antonio Pavónによって導入されたSaracha属には、現在Jaltomataに含まれている種がいくつか含まれていました。 後にジョン・ミアーズが命名を誤ったため、これらの種のいくつかはWitheringiaとしても記載されている。 さらに、Miersは新しいHebecladus属を導入し、その中には、1799年にRuizとPavonがAtropaとして記載した種などが分類されています。 しかし、最近の研究では、Hebecladus属はJaltomataに分類されている。 このような属の範囲に関する見解の違いや、多数の新種の発見により、属内で認識されている種の数は大幅に増加している。 1979年、ウィリアム・ダーシーはわずか4種しか数えなかったが、1991年にはすでに10種を数え、現在では60種以上、中にはまだ正式に記載されていない種もある。

外部分類学

ナス科の他の属と同様に、ヤルトマタ属のナス科における分類は完全には明確ではない。 ウィリアム・ダーシーは、ヤルトマタをナス科のナス連に分類しているが、ホオズキも属するホオズキ亜連は、萼片が肥大することから、当初は亜連としてあげられている。 しかし、アルマンド・テオドロ・フンツィカーは形態学的な調査により、この分類が正しいものではないという結論に達し、この属をウィテリンギア亜属に分類している。

系統学的な研究では、推定されていたPhysalisとの近縁関係は存在しないことも明らかになっている。 リチャード・オルムステッドは、系統学に基づいたナス科の系統分類において、ヤルトマタ属をナス連に、ホオズキ属をホオズキ連のホオズキ亜連に分類している。

	ホオズキ連（ホオズキ属,ウィテリンギア属）  トウガラシ連  トウガラシ属  メジロホオズキ属 ナス連  ナス属  ヤルトマタ属

ナス科	Afrikaner トウガラシ連 Nichtafrikaner Pazifisch Eurasisch

	Blatt1 Blatt2 Blatt3

形態的には、ヤルトマタ属のメンバーは、主に葯の側方開口部（Solanumでは葯の先端にある孔）と花蜜の存在によって、姉妹属であるナス科の種と異なる。 これらの違いは、おそらく受粉者の違いによるものです。

内部分類学

Jaltomata属の最新の改訂版はなく、したがって完全な種のリストはありません。 以下のリストは，Thomas Mione氏が自身のホームページでまとめたリストのうち、有効に記載されている種に対応するものです。 まだ有効に記述されていない種や組み合わせは省略し、より新しい出版物を追加しました。

系統学的な研究により、この属には3つのクラッドがあり、主に果実の色によって形態的に区別されている。

• 第1クレードは、他の属と姉妹関係にあり、赤い果実、半低木性、木質化した基部を持つ種が含まれる。その中にはJaltomata antillanaとJaltomata auriculataが含まれており、おそらくJaltomata sanctae-mertaeという種も含まれていますが、まだ研究には含まれていません。
• 2番目のクレードは、黒または紫の果実を持ちます。例外は、メキシコから来た緑色の果実を持つ未記載種で、Jaltomata procumbensに近いものです。Jaltomata bohsiana, Jaltomata chihuahuensis, Jaltomata darcyana, Jaltomata grandiflora, Jaltomata procumbens, Jaltomata repandidentata, および冠が黄色の未記載種もこのクレードに分類された。
• 圧倒的に大きなクレードを形成しているのは、主に南米原産でオレンジ色の果実を持つ低木種ですが、ここでも緑色の果実という特徴が2度ほど現れています。クレード内では、花冠の形や色、花蜜の色に大きな違いがある。

分布

ヤルトマタ種の範囲は、アリゾナ州南東部（米国）からボリビア南部までで、ガラパゴス諸島の3つの島と大アンティル諸島に生息しています。 大半の種はアンデス原産で、最も一般的な種であるヤルトマタ（Jaltomata repanidentata）の生息域はメキシコからボリビアまで広がっています。 太平洋から立ち上る霧でのみ湿る極度に乾燥した砂漠地帯であるロマ層には、少なくとも6種が生息しており、これらの種のほとんどは固有種です。

用途

同属の様々な種の果実はフルーツとして食され、メキシコの市場でも手に入ります。 植物の葉は、ほうれん草のように調理して食べたり、牛の飼料として使われることもあります。 また、ハーバリウムの記録の中には、植物の薬用利用について言及しているものもあります。

著書

• 『Genera Solanacearum』アルマンド・テオドロ・フンツィカー（2001年）

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