潜水母艦 大鯨のチキンチャップ・マーシポテト
潜水母艦 大鯨のチキンチャップ・マーシポテト(Chicken Chap & Mashed Potato from the Submarine tender Taigei)は、大日本帝国海軍の潜水母艦・大鯨(たいげい)で潜水艦乗組員へ出されていた料理である。 潜水母艦は潜水艦乗組員が休息する艦としての役割もあったため、機器・機械類が満ちた狭隘な艦内で常に死と隣り合わせの過酷な任務に従事する彼らに少しでも美味しいものを食べさせようと海軍の中でも優秀な烹炊員(ほうすいいん:調理担当員)が優先的に配置されていた。
大鯨
日本海軍は本格的な潜水母艦として迅鯨型潜水母艦2隻(迅鯨、長鯨)を保有していたが、八八艦隊の中型潜水艦に対応した能力であった。 昭和時代に入って潜水艦の高性能化が進むと、迅鯨型は潜水母艦としての性能が不足するに至った。 この状況下、巡潜・海大潜に対応した潜水母艦として建造されたのが、大鯨と高速給油艦から潜水母艦になった剣埼である。
1941年(昭和16年)12月8日に太平洋戦争が勃発する。 12月中旬、潜水母艦剣埼の空母改装が完了し、12月22日附で祥鳳(りゅうほう)と改名された。 祥鳳の完成に先立つ12月20日、大鯨は第三予備艦に指定され、横須賀海軍工廠で航空母艦への改装に着手した。
本土帰還後は練習空母となったが、3月19日には、アメリカ海軍機動部隊による呉軍港空襲に遭遇した。 ロケット弾や爆弾数発が命中して中破。爆風により飛行甲板は中央部で2m隆起し、50mにわたって大亀裂が生じた。 本艦を含め数隻(大淀、日向、天城、龍鳳、海鷹、利根)が損傷した。 4月20日、空母4隻(隼鷹、天城、龍鳳、鳳翔)も第四予備艦に指定される。 6月1日附で各艦(長門、榛名、伊勢、日向、天城、鳳翔、龍鳳)は特殊警備艦に指定された。 その後、残存大型艦(天城、葛城、榛名、伊勢、日向、利根、青葉、大淀)等と共に、浮砲台として呉軍港に係留された。 乗組員は艦の修理を行うと同時に、農園の手入れにも従事した。 7月下旬の呉軍港空襲では、繋留された状態ながら対空戦闘を行う。 7月24日空襲では、12.7cm高角砲81発、25mm機銃1376発、12.7cm噴進砲(ロケット砲)15発を発射。 7月28日空襲では、高角砲12発、機銃252発を発射。 30日、呉鎮守府長官は龍鳳及び空母鳳翔の周辺に25mm機銃を配備して対空陣地を築くよう命じる。 さらに空襲で大破着底した巡洋艦利根、大淀からも両艦が装備していた25mm単装機銃及び乗組員が龍鳳と鳳翔に派遣された。 龍鳳は防空砲台となった状態で終戦を迎えた。 空襲による損傷が著しかった為復員輸送艦には指定されず、1946年(昭和21年)4月2日に呉工廠にて解体を開始し、9月25日に完了した。
材料(2人分)
チキンチャップ
- 鶏むね肉:1枚200g程度を2枚
- 牛脂:20g
- 小麦粉:大さじ1
- トマトソース:大さじ2
- スープストック:1/3カップ
- 塩コショウ:少々
マーシポテト
- じゃがいも:大1個(小2個)
- 玉ねぎ:1/4個(みじん切り)
- にんじん:1/3個(みじん切り)
- グリーンピース:適量
- 塩コショウ:少々
調理法
- 鶏肉の表面に塩コショウをふっておく。
- ソースを作る。 鍋に牛脂を溶かし、小麦粉を入れてきつね色になるまで弱火で炒める。小麦粉が色づいたらトマトソースを加えて混ぜ、スープを少しづつ加えて、程よいトロみ具合になるまで伸ばしていく。最後に塩コショウで味を調える。
- フライパンに牛脂を溶かし、鶏肉を皮面から焼く。皮がパリッとなり香ばしく焼けてきたら裏返し、弱火でじっくりと肉の中まで火が通るように焼いていく。焼きあがったら器に盛り、2のソースを上からかける。
- 付け合せのマーシポテト(マッシュポテト)を作る。 柔らかくなるまで茹でて水気を切って潰したじゃがいもに、湯通ししたニンジンと玉ねぎのみじん切りとグリーンピースを加えて、塩コショウで味を付ける。
- 3にマーシポテトを添えて完成。
関連項目
参考文献
- 『昭和十四年度 第一艦隊献立調理特別努力週間献立集』第一艦隊司令部