戦時中のトマトの利用と栽培

提供: Tomatopedia
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『戦時農園講義録』第5輯

戦時中のトマトの栽培は、国民へ推奨された。 昭和19年(1944年)6月に刊行された『戦時農園講義録』第5輯では、トマトの利用法や栽培方法が詳しく記されている。

夏野菜の完全利用

トマトは次のように記されている。

  1. 生のままかぶりつくのが一番
  2. 出盛りにトマトソースを作っておく
  3. うら生りの青いトマトは漬け物に

一本から一貫目とれるトマトの蜜柑箱栽培法

表紙の描かれたトマト『決戦食生活工夫集』(昭和19年12月)

園芸を行うには必ずしも地面が無くても、屋上に設けられた一坪の物干場の四隅を利用して、密柑の空き箱を並べ、或いは二階の窓に手摺を設け、或いはまた庭先に日当たりを良くする高さの棚台を作ってその上に密柑箱を置けば、ほとんど如何なる種類の植物も完全に栽培することが出来ます。 中でも「トマト」は大変作り易い上に次々に果を収穫する愉快さは何とも云えないものです。

作り方

「トマト」は発育のよいもので、栽培用土だけ完全に作ってこれに植えれば面白い程旺盛に発育して一本から一貫匁内外の果が採れます。 一般に失敗するのは培養土の不完全と追肥の被害が主に原因しますので、決して後から液肥を与えぬように初めに充分肥料の混じった土を作ります。

培養土の調整

まず蜜柑箱(縦一尺、横七寸五分、深さ六寸の普通箱)一箱に要する肥料は、鰯粕(メザシや焼き魚等の食べ残し頭、骨などを細かく砕いたものでも充分です)茶碗に一杯、米糠三杯・・・

『戦時農園講義録』第5輯