ソパ・デ・カラコル

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ソパ・デ・カラコル

ソパ・デ・カラコル(スペイン語:Sopa de Caracol)は、コンク貝を使ったスープで、ホンジュラスを代表する伝統料理のひとつです。

この料理は、ホンジュラスのラテンアメリカ音楽バンド「バンダ・ブランカ」の「ソパ・デ・カラコル」というキャッチーな歌が、米国のビルボードのラテンソング部門で1991年1月19日に上位にランクインし、最終的には1991年3月16日にトップになったことで、国際的にもラテンアメリカ中でも有名になりました。

起源

ガリフナの人たち

このスープは、ホンジュラスの北海岸(カリブ海)で生まれたとされ、何百年も前から作られている料理のレシピが基になっているとされています。 そして、この料理はガリフナ族に由来すると言われている。

ガリフナ族は、イギリスの植民支配と自由のために激しく戦った、セントビンセント諸島(北アメリカ・小アンティル諸島)の人々の子孫です。 1797年、イギリス軍は、ついに彼らを打ち負かしましたが、彼らを奴隷にするには手に負えないと判断し、現在のホンジュラス領の孤島であるロアタン島で運命を終えるように送りました。 その後、彼らは島から脱出して中央アメリカなどにも渡っています。 彼らの言語、ダンス、及び音楽を含む「ガリフナ文化」は、2001年にユネスコ世界無形文化遺産の認定されました。

ホンジュラスのカリブ海沿岸に住むガリフナ族は、トマト、プランテン(調理用バナナ)、ユカ(キャッサバ)とココナツの風味のスープに刻んだコンク貝を入れて、ソパ・デ・カラコルを作る。

コンク貝

コンク貝(Lobatus gigas

この料理名、カラコル(Caracol:カタツムリ)の由来になっている食材は、北海岸産のソデボラ科のコンク貝(Lobatus gigas)である。 コンク貝の殻は、スポーツを歓声する管楽器にも使われます。

この貝は、広く一般的にクイーン・コンク(Queen Conch)、またはピンク・コンク(Pink Conch)と呼ばれている大型の巻貝の一種です。 この種は、カリブ海、およびバミューダからブラジルまでの熱帯北西大西洋に生息する最大の軟体動物の1つであり、殻の長さは最大で約35cmに達します。

ホンジュラスでは、海産巻貝の消費がとても盛んであり、中米で最も養殖生産量が多い国となっています。

栄養

現在、貝類の滋養・効能は世界中で広く知られていますが、ホンジュラスでもコンク貝は栄養価が高いことで知られています。 コンク貝を使ったスープ「ソパ・デ・カラコル」は、その栄養価の高さから完全食とされている。

材料

コンク貝の剥き身
  • コンク貝
  • トマト
  • 玉ねぎ
  • にんじん
  • 青ピーマン
  • ユカ(キャッサバ)
  • プランテン(または青バナナ)
  • ココナッツミルク
  • コリアンダー
  • コショウ

作り方

剥き身を下処理する様子
  1. 大きめの鍋に油を入れ、中火で熱する。
  2. 玉ねぎ(みじん切り)とピーマン(みじん切り)を加え、玉ねぎがしんなりとして半透明になるまで5~7分ほど炒める。
  3. トマトを加え、さらに3~4分炒める。
  4. 水、ユカ(大きめ一口大)、プランテン(大きめ一口大)、ニンジン(みじん切り)を加え、沸騰させる。
  5. 弱火にして、20~25分、または野菜に火が通るまで煮る。
  6. コンク貝の身(さいの目切り:約2cm)、ココナッツミルク、コリアンダー(みじん切り)、塩、コショウを入れて、さらに5分ほど煮込む。煮込みすぎるとコンク貝が硬くなるので注意。
  7. 大きなお椀に盛り付けて、トルティーヤや白米、カットしたライム(またはレモン)、ホットペッパーソース(タバスコ類)を共に提供する。

応用

ホンジュラス風・魚介スープ『ソパ・マリネーラ』

ソパ・デ・カラコルに使われるコンク貝は、生でも食べれる新鮮なものですが、コンク貝の缶詰はカリブ海や中米の市場で一般的に売られています。 新鮮な大型の貝は、日本の沖縄では獲れますが、本州の場合は手に入りにくいため、ミル貝やホッキ貝、巻貝で代用することもできます。 日本人にとって巻貝の肝は珍味ですが、このスープにはスパイス類があまり使われていないため、肝は外した方がスープに雑味がでません。 手ごろなものでは、アサリの粗みじんでも近い雰囲気がでます。

本来、スープのベースは水でかまいませんが、日本では大型の巻貝やその代わりに旨味の多いアワビの身を大胆にカットして、贅沢に投入するようなことは、あまり現実的ではありません。 一般的に行われているアレンジ手法として、ベースに魚介類のブイヨンやチキンスープを使うことで旨味を補強することも出来ます。 しかし、この料理の基本的な食材には陸生の動物性食材は使われてないため、魚介類のブイヨンの方が料理的に本質に近く、料理的に好ましいと思われ、かつ日本人には相性がよいと思われる。 魚介類のブイヨンは、あさりの水煮缶の汁でも十分に代用できます。

ユカの代わりに、里芋、ねっとりさを持つメークインも使えます。

コンク貝の代わりに、魚、カニ、エビなどを使うことで、ソパ・マリネーラ(Sopa Marinera)になる。 牡蠣、イカ、タコなど、日本国内で入手可能な他のシーフード全般を加えてアレンジすることもできます。

類似料理

魚、カニ、エビなどのシーフードを使ったものは、ソパ・マリネーラ(Sopa Marinera)として知られています。

近隣諸国

コンク貝を使った「ソパ・デ・カラコル」のような料理は、スープ・ド・ランビ(フランス語圏:Soupe de Lambi)、コンクチャウダー(英語圏:Conch Chowder)とも呼ばれ、カリブ海のさまざまな島でも食べられています。 コンクチャウダーは、フロリダキーズ(アメリカ合衆国フロリダ州最南端の列島)の名物料理にもなっている。

バハマでは、生のコンク貝を使ったバハミアン・コンク・サラダがある。 同じような料理で、コンク貝を使ったセビーチェもカリブ海では多くみられる。

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