アローシュ・デ・ポルヴォ

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ポルトガル風たこ飯
『アローシュ・デ・ポルヴォ』

アローシュ・デ・ポルヴォ(Arroz de Polvo)は、ポルトガル発祥の伝統的なタコ料理およびコメ料理である。

概略

鍋で供されるアローシュ・デ・ポルヴォ

アローシュ・デ・ポルヴォは、直訳で “ タコ飯 ” の意味である。 ポルトガル国内において、タコ料理は美食として高く評価されている。 その一つであるアローシュ・デ・ポルヴォはメインディッシュとして祭りや特別な行事で非常に人気の高い料理であり、結婚式、洗礼式、クリスマス、その他の祝いの席でも供される。 また、シンプルな材料と比較的簡単な調理で作れることでも人気が高く、家庭や個人の好みによって手軽にアレンジされて国民に広く親しまれている料理である。 好みに応じて白ワインまたは赤ワインと合わせて楽しめる。

起源

「タコの首都」サンタ・ルジア

アローシュ・デ・ポルヴォの起源は、ポルトガルの漁師が食事の主な材料としてタコを使い始めた古代にさかのぼるとされる。 今日のアローシュ・デ・ポルヴォは特にタコが豊富に獲れるポルトガル最南端の沿岸地域であるアルガルヴェ地方のファーロ県タヴィラに位置するサンタ・ルジア地区のレシピに由来すると云われている。 漁師町のサンタ・ルジアは「タコの首都」(Capital do Polvo)の名でも知られ、タコのモニュメントや記念碑もある。

また、この料理の特徴であるトマトは、16世紀末に中南米からスペインのセビリア港を経由してヨーロッパに伝来し、同時にポルトガル料理にも急速に取り入れられていった。 現在、ポルトガルはヨーロッパ第3位のトマト生産国であり、アルガルヴェ地方は国内でも代表的な生産地の一つである。

ポルトガルの米食文化

ポルトガルはヨーロッパ最大のコメ消費国であり、その量は一人当たり年間15kgで、これはヨーロッパ平均のおよそ3倍である。 ポルトガルと米との繋がりは、その建国(西暦12世紀:1143年10月5日)以前のはるか昔から存在する。 ムーア人の占領時代である7世紀から8世紀にかけて現在のポルトガルの領土で米が栽培され始めた。

以来、米はポルトガルの食生活において非常に貴重なものとなったが、これは土壌、温度、日照時間、水などの栽培に適した環境も大きく影響している。 現在では年間105,000トン(1億5,000万キロ)から108,000トンの米を生産しており、国内消費の60%を自給している。 作付総面積は約30,000ヘクタールで、主にサド川、テージョ川、モンデゴ川の河口域で栽培されている。 ヨーロッツパにおいて日本のような稲作の田園風景(田んぼ)が見られるのは稀である。

米はその粒の大きさ形状によって、短粒米、中粒米、長粒米の3種類に分けられるが、ポルトガルには、これら3種の古来種が存在する。

基本構成

基本的な材料には、タコ、米、玉ねぎ、にんにく、トマト、オリーブオイル、白ワイン、魚のだし、パプリカ、月桂樹の葉、パセリ、塩が含まれる。

赤ワインを使うものは、アローシュ・デ・ポルヴォ・コン・ヴィニョ・ティント(Arroz de Polvo com Vinho Tinto)と呼ばれる。

調理

皿に盛ったアローシュ・デ・ポルヴォ

下準備

  1. まず、タコを洗い、細かく切る。
  2. 次に、玉ねぎ、にんにく、トマト、オリーブオイルで柔らかくなるまで炒める。
  3. その後、白ワインを加えて、魚のだしを少しずつ加えて味を調える。

炊飯

  1. タコとだし汁に米を加え、米が柔らかくなり水分をすべて吸収するまで弱火で煮る。
  2. 炊飯中は、お米が鍋底にくっつかないように時々かき混ぜることが大切である。

バリエーション

以下は、バリエーションとして一般的なものである。

  • アローシュ・デ・ポルヴォ・コン・カマラオンArroz de Polvo com Camarão):エビ入り
  • アローシュ・デ・ポルヴォ・コン・アマイジョアArroz de Polvo com Amêijoa):アサリ入り
  • アローシュ・デ・ポルヴォ・コン・リングヴェイラオンArroz de Polvo com Lingueirão):マテガイ入り
  • アローシュ・デ・ポルヴォ・コン・マリスコス(Arroz de Polvo com Mariscos):

関連項目