礁溪温泉蕃茄
礁溪溫泉蕃茄(ジャオシー・ウェンチュエン・ファンチェ)は、台湾北東部に位置する宜蘭県の礁渓郷にある礁溪温泉地域で栽培されているブランドトマトである。
礁溪温泉
18世紀後半、呉沙が宜蘭を開墾した際に発見されたと言われている。 日本統治時代には、日本人が楽園、圓山、西山という3つの温泉旅館を建設し、温泉街が形成されるきっかけとなった。
2005年、温泉街に面積9,000平米の「湯囲溝温泉公園」が整備された。 施設と庭園は全て、宜蘭県政府から日本企業に計画設計が依頼され、非常に特徴的なものになっている。 園内の施設には、男女の公衆浴場のほか、足湯、休憩のための各種の凉亭、温泉観察井戸などがある。 これらの施設のうち、公衆浴場以外は無料となっている。
概略
礁溪温泉に硫黄臭がない点と溫泉蕃茄(温泉トマト)というニュアンスから、一部の人たちの間では温泉水を利用して栽培したトマトと思われているが、実際には温泉水は使われていない。 温泉水は温室栽培などの熱源に利用はできる。 ただ、それを除いても、自然環境や水源・水質において、恵まれた地域である。
宜蘭県内で栽培されているトマトの品種のほとんどは、台湾国内で「粉柿」として知られている「豊年2号」(Xinfengnian No.2)と日本の「桃太郎」である。
桃太郎は、その宜蘭県内の礁溪温泉地域において、農業組合「礁渓郷農会」が推進する優良農産物として栽培され、この地域のブランドトマト『礁溪温泉蕃茄』として確立した。 熟すと真っ赤で柔らかく甘い(収穫後1週間で真っ赤になるとさらに甘い)、皮が薄い、貯蔵性が高い、他のトマト品種より味が良い、など消費者の人気が高まっている。
また、礁溪温泉を訪れて直に見た人たちからは「桃のような形が可愛らしい」という声が聞かれる。 露店や店頭に並ぶ桃太郎は、日本で一般流通する現在の桃太郎には見られない漫画のような桃型トマトであり、台湾現地でも「モモタロウ」(漢字も同一)と言われる。
礁溪温泉地域のトマト農場では生産時期に、家族や子供たちで「トマト狩り体験」を楽しめるようにしている。
栽培と生産時期
一般的な栽培品種と同様に、野外や施設内での栽培が可能である。 10月頃に露地や施設に定植し、足場を利用して単幹剪定を行い管理されている。 生産時期は1月~4月のワンシーズンのみで、価格は1キロあたり20~40元程度で販売されている。
名物
- 溫泉蕃茄汁:礁溪温泉街のいたるところで屋台形式で販売さている台湾テイストのトマトジュース。訪れる観光客にとって必須ドリンクになっている。
- 溫泉番茄冰淇淋:礁溪温泉蕃茄を使ったアイスクリーム。溫泉蕃茄汁と同様に販売されている。
- 溫泉番茄乾:礁溪温泉の土産品で礁溪温泉蕃茄を使ったドライトマト。この商品に限らず、フルーツ王国の台湾ではドライトマトはドライフルーツと同様に菓子の類で親しまれている。
- 溫泉蕃茄麻糬:礁溪温泉の土産品で礁溪温泉蕃茄を使ったトマト餅。中には濃厚なトマト餡が詰まっている。
- 溫泉番茄壽喜燒:温泉リゾートホテル「礁渓晶泉豊旅」(ウェルスプリング・バイ・シルクス)で季節限定で提供されているトマトすき焼き。名産の礁溪温泉蕃茄と台湾の伝統的な黑柿番茄の2種類が使われる。
- 皮蛋炒蕃茄:トマトとピータンの炒め物。礁溪温泉公園付近にある店で徹底的なこだわりを魅せる「合鴨米灶腳」は自家農場で育てた有機・合鴨農法の米と鴨、ピータン、温泉卵なをど無化調で提供している。
- 礁溪泡菜蕃茄:宜蘭県の羅東鎮にある韓国レストラン「韩鸡村」で提供されている礁溪温泉蕃茄を使ったキムチ。
- 番茄溫泉青旅:トマトをモチーフにした宿泊施設で「ホステル・トマト」(Hostel Tomato)とも呼ばれる。デザイナーズスタイルの外観と内装が特徴的で、主に無印良品が使われている。屋上の露天風呂、共用キッチン、共用ラウンジ、館内全域での無料WiFiなどが完備されており、良心的な宿泊料金であるため、バックパッカーやツーリング客の間で非常に人気が高い。旅人のスポットにもなっており、当日に来訪して宿泊するのは困難。