レッド・ホット・ラヴァ・スープ

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レッド・ホット・ラヴァ・スープ

レッド・ホット・ラヴァ・スープ(Red Hot Lava Soup)は、アイスランドの最南端に位置するヴィーク村にある観光施設「ラヴァ・ショー」に併設されたレストランで提供されているスープである。 料理名は “ 赤く熱い溶岩 ” を意味する。

特徴

アイスランドヨーグルト「スキル」と刳りぬいたパンと蓋

レッド・ホット・ラヴァ・スープは、アイスランドの火山をイメージした料理である。 器となる黒いパンは溶岩が地上で冷え固まった岩石(火成岩:かせいがん)、パンの中に注がれた真っ赤なスープは地上から噴出する高熱で流動性のある溶岩を表している。

唐辛子を利かせたスパイシーな味で、他にトマト、タマネギ、ローリエ、赤ワイン、プライムビーフ、黒いんげん豆、赤レンズ豆などで構成されいるため、液状のスープというよりは粘性のあるシチューである。 パンの上面をカットして蓋とし、中身を刳りぬいて器状にしたものに熱々のシチューを注ぎ、再び蓋をして、パンの原型で供卓される。 辛味を調整できるように、アイスランドヨーグルトの「スキル」、別途で自由に味わえる刳りぬいたパンの内部が添えられる。

  • プライムビーフ(Prime Beef)は、米国における牛肉の格付けで最高ランクのもの。
  • スキル(Skyr)は、アイスランドの代表的なヨーグルトで日本でも販売されている。味は濃厚で濃縮されたホイップ状の粘性がある。スープやシチューに発酵乳製品(ヨーグルトやサワークリームなど)を添えるのはボルシチなど他国の料理にも見られる。

ラヴァ・ショー

ラヴァ・ショー(ヴィーク村)

ラヴァ・ショー(Lava Show)は、2018年にオープンした “ 火山と溶岩 ” をテーマにした博物館とエンターテイメントの複合施設である。

開演は映画やプラネタリウムと同様で開始時間が決められている。 1回の公演時間は約55分以上から1時間。 アイスランドにおける火山の歴史、地球規模で考察した火山活動、地質学的な噴火のメカニズムなどが映像と共にガイドの説明によって学ぶことができる。 また、実演では溶鉱炉で溶かした本物の溶岩を流し、凝固するまでの過程を間近で見学することができる。 強い光や輻射熱を発するため、防護用のサングラスが用意される。

※開演までの待機時間は館内に併設された飲食ブースで食事を楽しんだり、開演にはビールなどを持ち込んで入場することも可能である。お土産コーナーには、火山や溶岩の関連グッズや名物の「レッド・ホット・ラヴァ・スープ」も販売されている。

ヴィーク村

ヴィーク村(ミールダル地区)

ヴィーク村(ヴィーク・イ・ミールダル:Vík í Mýrdal)は、アイスランドで4番目に大きいミールダルスヨークトル氷河の真南に位置する自治体であるミールダル地区(ミールダルスフレップ:Mýrdalshreppur)の主要な集落である。

ヴィーク村を含めたミールダル地区の北には、アイスランドで最も噴火が警戒されているカトラ火山がある。 カトラ山の標高は1,493mで、その山頂を覆うようにミールダルスヨークトル氷河が595㎢(平方キロメートル)にわたって広がっている。 カトラ火山は1918年以来噴火しておらず、一般的な休火期間よりも長いため、間もなく噴火が起こるのではないかと推測されている。 カトラ山が噴火すれば、地区全体を消滅させるほどの巨大な鉄砲水が発生する可能性がある。 丘の上にある村の教会は、そのような洪水に耐えられる唯一の建物であると信じられている。 そのため、村の人々は定期的な非難訓練を行い、噴火の最初の兆候があれば教会に駆けつける心得がある。 町には科学者や観光客のための宿泊施設(総室1,400室)があり、彼らもカトラ火山の危険性について説明を受けている。

アイスランドと火山

ファグラダルスフィヤルの溶岩原
ファイル:Iceland -(Eldgos)Litli Hrútur eruption, July 2023.png
リトリ・フルトゥールの噴火(現地日時:2023年7月10日発生)

アイスランド南西部に位置するレイキャネース半島を占める行政地区であるスズルネス(アイスランド語:Suðurnes)の「ファグラダルスフィヤル」(Fagradalsfjall)は世界有数の活火山地帯として知られている。

ファグラダルスフィヤルは、スヴァルツェンギ(Svartsengi)火山地域とクリースヴィーク(Krýsuvík)火山地域の間に面する幅5km・長さ16kmの広範囲にわたる火山地帯の名称である。 アイスランドでは、これらの火山活動を利用した地熱発電を行っている。 そのエネルギーを再利用した世界最大の露店温泉「ブルーラグーン」、自然観賞では極地で発生する「オーロラ」などが主な観光となっているが、他に「火山ウォッチング」もその一つとなっている。

アイスランドでは火山観測は危険を伴うため、観光として決して推奨していないが、大地の躍動を間近で一目見ようと世界中から訪れる人々やハイキングツアーは後を絶たない。 噴火による直接的な被災ではなく、大小の岩石が続く悪路による転倒骨折、軽装による低体温症であっても救急搬送は困難を極めるため、噴火現場を訪れる多数の観光客も当局にとっては懸念事項の一つとなっている。

また、噴火による災害は最悪の場合、甚大な被害と多くの人命に関わる重大な問題だが、この地で長年に渡り生活する人々にとっては自然現象の一環、いわば一種の “ 風土 ” や “ 風物詩 ” 的なものとなっており、避難命令を受け流す住民も問題となっている。 ただ、日本のように山頂から麓の町を高熱と共に猛スピードで襲う火砕流のような災害はない。 また、万一に備えて溶岩の流れを誘導するための防堤も実験的に設けられている。 アイスランドでは、溶岩より甚大な被害をもたらす可能性は噴火によって溶けた氷河がもたらす水害である。

※噴火の規模によっては、アイスランド国民保護・緊急事態管理局より避難勧告が発令され、ブルーラグーンが閉鎖されることもある。

ギャラリー

関連項目