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2023年9月17日 (日) 04:08時点における版
ミガシュ・デ・ぺイシェ・ド・リオ(Migas de Peixe do Rio)は、ポルトガルの北東端に位置するブラガンサ県トレ・デ・モンコルヴォ(Torre de Moncorvo)の自治体であるフォス・ド・サボル(Foz do Sabor)の伝統的な郷土料理である。
歴史
香草
エルヴァ・ペイシャリーア
この料理の特徴である香草は通称「エルヴァ・ペイシャリーア」(Erva Peixeira)と呼ばれており、直訳で “ 魚のハーブ ” を意味する。 この地域のほとんどの典型的な料理に含まれており、地元の料理では重要な役割を果たしている。
この香草は、エルヴァ・ペイシャリーアの名のまま市販(乾燥品)されているが、知らない人々にとっては魚料理用のミックスハーブのような響きである。 また、名物のミガシュ・デ・ぺイシェ・ド・リオを食べるために訪れた多くの人々にも、使われている香草が実際に何であるかは、ほとんど知られていない。
エルヴァ・ペイシャリーアは、シソ科ハッカ属の多年生・草本植物で一般的に、ハーツ・ペニーロイヤルミント(学名:Mentha cervina)と呼ばれる植物である。 ポルトガルの一部の地域では、生鮮や乾燥させた植物全体を利用し、シチュー、サラダ、スープ、チーズ、ソースに加えて伝統的に使用してきた。 その他、リキュールのさまざまなレシピも記録されている。 ポルトガル南部のアレンテージョ地方では “ 川のミント ” を意味する「オルテラン・デ・リベイラ」(Hortelã da Ribeira)と呼ばれ、薬用と伝統的な魚料理に使用されている。
効能
ハーツ・ペニーロイヤル・ミントの生鮮や乾燥させた植物全体を煎じたものは、同じシソ科のペニーロイヤルミント(学名:Mentha pulegium)に似た強い香りを生み出し、民間療法として煎じ薬とされてきた。 医療では、防腐剤、駆風剤(腸管内にたまったガスを排出させる作用)、解熱剤、消化剤としての用途のほか、呼吸器系への効果があるとされている。 ただし、乳幼児への服用は中毒による致命的な事になる場合もあるため、控えるべきである。
最新の研究では、ハーツ・ペニーロイヤル・ミントに含まれる化学成分のプレゴン、メントール、イソメントンには、抗酸化作用、抗菌作用、抗真菌作用があることが報告されている。
忌避効果
この植物が放つ芳香性は、古くから食用や薬用だけでなく、農作物の害虫や家屋のネズミよけ、鳥小屋を襲う獣類や穀物の保管場所を狙う鳥類などを遠ざけるために散布して使用されてきた。 特定の害虫を忌避(きひ)するため、トマト、キャベツ、レタスなどの栽培において優れたコンパニオンプランツとしても機能している。
危惧
本来、エルヴァ・ペイシャリーアは自然界に群生する野生の植物である。 人類の歴史において雑草から選別され、利用できるものが今日の香草となっている。 この “ 川魚のための雑草 ” は、日本では植物学的に科は異なるが、代表的な川魚料理である「鮎の塩焼き」に添えられる“ たで酢 ”の原料であるタデの存在に近く、古くは平安時代から魚の生臭みを消すために使用されたり、殺菌作用、川魚の虫下しや民間療法などに用いられてきた経緯がある。
使用される主な淡水魚
- Barbo(学名:Barbus barbus):バーベル
- Boga(学名:Pseudochondrostoma polylepis):コイ科
- Tainha Fataça(学名:Chelon ramada):Muge
- Lucioperca(Sander lucioperca):ペルカ科の大型魚。パイクパーチの名で知られる。