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'''アマレット'''(Amaretto)は、イタリア・ロンバルディア州ヴァレーゼ県のサロンノ発祥のリキュールである。 | '''アマレット'''(Amaretto)は、イタリア・ロンバルディア州ヴァレーゼ県のサロンノ発祥のリキュールである。 | ||
− | 伝統的な原材料は「杏仁」(アプリコットカーネル)だが、その他に桃仁、ビターアーモンド、アーモンドを使ったアマレットも存在する。 | + | 伝統的な原材料は「杏仁」(アプリコットカーネル)だが、その他に桃仁、ビターアーモンド、アーモンドを使ったアマレットも存在する。 これらの香りは、いずれも杏仁豆腐に似た風味をもたらすベンズアルデヒドに由来する。 アマレットはアルコール度数21~28%(稀に30%)の酒で、蒸留酒に副原料を加えて味や香りを移したリキュールの一種である。 日本の梅酒や中国の杏露酒、フランスのルジェ・クレーム・ド・アプリコットもリキュールの一種だが、これらは果肉および果汁の味や香りに重点を置いたもので、アマレットと趣旨や方向性は異なる。 |
− | これらの香りは、いずれも杏仁豆腐に似た風味をもたらすベンズアルデヒドに由来する。 | ||
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2023年1月14日 (土) 19:21時点における版
アマレット(Amaretto)は、イタリア・ロンバルディア州ヴァレーゼ県のサロンノ発祥のリキュールである。
伝統的な原材料は「杏仁」(アプリコットカーネル)だが、その他に桃仁、ビターアーモンド、アーモンドを使ったアマレットも存在する。 これらの香りは、いずれも杏仁豆腐に似た風味をもたらすベンズアルデヒドに由来する。 アマレットはアルコール度数21~28%(稀に30%)の酒で、蒸留酒に副原料を加えて味や香りを移したリキュールの一種である。 日本の梅酒や中国の杏露酒、フランスのルジェ・クレーム・ド・アプリコットもリキュールの一種だが、これらは果肉および果汁の味や香りに重点を置いたもので、アマレットと趣旨や方向性は異なる。
歴史
アマレットの起源とされる伝説は、1525年にさかのぼる。 サロンノ教会は、レオナルド・ダ・ヴィンチの弟子である画家ベルナルディーノ・ルイーニにサンクチュアリ(聖域)のフレスコ画(絵画技法のひとつ)を依頼した。 聖母マリアに捧げられた教会であるため、ルイーニは聖母を描く必要があり、そのモデルが必要であった。 ルイーニは多くの応募者の中から、若くして未亡人となった宿屋の女主人にインスピレーションを得た。 そして作品の制作を共にすることで二人の間で作家と被写体を超えた感情が生まれたのである。 作品は完成し、別れ際に女性は彼女自身を絵で不滅にした彼への感謝、愛する彼への贈り物として、杏仁をブランデーに浸した酒を贈った。 これが最初のアマレット・リキュールと伝えられている。
アマレットの二大巨頭
- ディサローノ・オリジナーレ(Disaronno Originale)
イルヴァ・サロンノ社は、「ルイーニと未亡人」の伝説を自社の商品「ディサローノ」の起源として標榜しており、ラベルにも「SINCE 1525」と記されている。 1600年代、イタリアの家庭では地元の食材を使って自家製のリキュールを作る習慣があり、未亡人のレシピはジョヴァンニ・レイナによって再発見されたとしている。 だが、販売は意外にも遅く、1900年にドメニコ・レイナがサロンノで商業的生産を開始し、「アマレット・ディ・サローノ」(AMARETTO di SARONNO)として発売された。 1960年代には新たな市場を切り開き、米国へ輸出されるようになる。
アマレットは酒造メーカーにより様々なレシピで作られるようになり、乱立や混同が生じたことから差別化を計り、希少価値を高めるため、2001年に商品名を「アマレット・ディ・サローノ」から「ディサローノ・オリジナーレ」へ正式に改称した。 ディサローノのボトルは、1971年からヴェネツィア本島の北東部に位置するムラーノ島のガラス職人にオーダーメイドして作られたデカンタで販売されている。
- ラッツァローニ・アマレット(Amaretto Lazzaroni)
ラッツァローニ社は、ラッツァローニ家が1851年にアマレットを作ったと主張しており、ラベルにも「1851」と記されている。 ラッツァローニ社は1786年、国王のために杏仁を使った伝統的なクッキー「アマレッティ・ディ・サロンノ」(通称アマレッティ)を発明した最古のメーカーとして知らており、現在もアマレッティの最も人気のあるブランドであり続けている。
用途
アマレットは、イタリアではアイリッシュコーヒーに加えたり、イタリアの杏仁クッキー「アマレッティ・ディ・サロンノ」、デザートの「ティラミス」の風味付けや、カクテル「コッドファーザー」などに使われる。 大人味の杏仁豆腐を作るためにはアマレットを代用したり、既存の材料に加えたりするのもよい。