「トマト粥」の版間の差分

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'''トマト粥'''(とまとがゆ)は、大日本帝国海軍の海軍教育局より1918年(大正7年)に発行・配布した『海軍四等主計兵厨業教科書』に記載されている患者食である。
 
'''トマト粥'''(とまとがゆ)は、大日本帝国海軍の海軍教育局より1918年(大正7年)に発行・配布した『海軍四等主計兵厨業教科書』に記載されている患者食である。
本項は海軍における出汁の基礎と趣旨も合わせて記述した。
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本項は海軍における和風出汁の基礎と趣旨も合わせて記述した。
  
 
== 患者食 ==
 
== 患者食 ==

2022年4月1日 (金) 08:55時点における版

トマト粥

トマト粥(とまとがゆ)は、大日本帝国海軍の海軍教育局より1918年(大正7年)に発行・配布した『海軍四等主計兵厨業教科書』に記載されている患者食である。 本項は海軍における和風出汁の基礎と趣旨も合わせて記述した。

患者食

患者食とは、薬品と相まって傷病の治療を目的として患者に給する食物である。

『海軍四等主計兵厨業教科書』第二章 調理法 第五節 特殊料理(第二 患者食・序文)

特徴

この粥は、海軍の洋食に用いられるトマトソースと和食に用いられる「煮出汁」というものが使われるフュージョン的なものである。 煮出汁は海軍における日本料理の汁物や他の出汁の基本になる。 汁物類の冒頭に「煮出汁の一般的注意」があるが、他に煮出汁は「鰹節の煮出汁」のみで「〇〇の煮出汁」というのは記されていない。 計8種の汁物があるが味噌汁や吸い物などもこれがベースになり、「鯛のうしを」や「鯉こく」など素材の出汁が出るものなどには全く使われていない。 よって、トマト粥も基本は「鰹節の煮出汁」だと思われるが、患者食である以上、軍医長が患者の容態や嗜好によって料理を変えるため、他の煮出汁や洋風出汁も使われた可能性もある。

トマト粥

材料

  • トマトソース
  • 煮出汁

調理法

洗った米を鍋に入れ、煮出汁を加え、米が十分軟らかくなった時にトマトソースを加え、尚良く煮て塩味を付けて供する。

注意

トマトソースに酸味が多い時は煮詰めて置く。 供する時に大根おろしあるいは林檎をおろしたもの等を加える場合もある。


『海軍四等主計兵厨業教科書』第二章 調理法 第五節 特殊料理(第二 患者食・七)

煮出汁

煮出汁の一般的注意

煮出汁は日本料理には重要な調味料である。 一口に煮出汁を作るというと簡単なようであるが、最も経済的に最も美味に作るということは極めて難しいものである。 材料は鰹節、煮干鰯、昆布、煮干粉、削鰹、味の素、鯖節等多数ある。 これ等の材料を煮出汁の用途により適宜使い分けるのであるが、材料の選択にも十分な注意を要する。 一本の鰹節でもその部分により味が異なる。 鰹節を削るには生温い湯で丁寧に洗い、水をかけて「ゆすぎ」、水気を拭いて上皮を削り取り、よく切れる鉋で薄く削って使用するのである。



『海軍四等主計兵厨業教科書』第二章 調理法 第二節 日本料理(第三 汁物類・一)

鰹節の煮出汁

材料

  • 鰹節:100グラム
  • 出汁昆布:10グラム
  • 水:2リットル
  • 塩:少々

調理法

鍋に水を入れて火にかけ、指先を入れて少し熱い位(摂氏60度)になった時に出汁昆布を加え、昆布が浮かび煮立つ直前(摂氏96~97度)に昆布を取り出し、煮立ったら直ぐ鰹節を入れ箸で一寸手早く掻き混ぜ少量の塩を加えて直ぐ火から下し、アクを取り除きそのまま澄まして置き、濾して使用する。

注意

  1. この出汁は吸い物には少々濃厚である。
  2. 夏季、煮出汁を濾す場合容器に水気があると短時間で腐敗するから必ず熱湯を通すか乾かして使用すること。
  3. この方法にて出た鰹節(出汁ガラ)にさらに水(二リットル)を加えて火にかけ、出汁昆布を同量加え弱火で1リットル半になる頃迄煮立て濾し使用する。 これを「二番出汁」といい味噌汁、煮物に使用される。
  4. 吸い物の煮出汁を取る場合、長時間煮出すと濁って味も落ちるから絶対禁物である。 ただし二番出汁は用途が異なるから別である。
  5. 鰹を入れて煮立ったら必ず塩を加えること。 これは一度煮出された蛋白質の甘味が塩のため凝固するからである。
  6. アクを十分取らないと渋味のある汁になる。


『海軍四等主計兵厨業教科書』第二章 調理法 第二節 日本料理(第三 汁物類・二)