「アイスランドの野草類」の版間の差分
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=== キキョウ目 === | === キキョウ目 === |
2024年3月17日 (日) 20:42時点における版
アイスランドの野草類(Villtar jurtir:ヴィルタル・ユスティル)は、アイスランドに自生する野草類および薬草類である。 また、アイスランドにおけるメディカルハーブ(薬用植物)の一種として樹木類も表記した。
概要
アイスランドでは入植時代から多くの野草類をさまざまな方法で利用してきた。 その植物類の一覧である。
野草類
セリ目
※セイヨウトウキ(ゴールデン・アンジェリカ)を含む、これらのアンジェリカは、ヨーロッパでも伝統的な薬草として利用されてきた。セイヨウトウキの根や種の粉末は、煎じ薬(ハーブティー)として利用される。茎は、砂糖漬け(クリスタル・アンゼリカ)としてケーキの飾りつけ等に、葉は、魚料理や果物の風味付けに用いる。また、種子はリキュールの香味付けに用いられる。他には、種子を蒸留して抽出したエッセンシャルオイルは、ムスク(麝香:じゃこう)の代用として香水の原料にも利用される。
ナデシコ目
アブラナ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
(Skarfakál) |
キョクチトモシリソウ (Cochlearia officinalis) |
アブラナ科トモシリソウ属。サラダ、スープに利用されるだけでなく、古くはミーサに漬けて冬の保存食とし、大麦や小麦粉と牛乳、スキール、ミーサなどと一緒に粥にも使用された。 | |
(Fjörukál) |
ヨーロピアン・シーロケット (Cakile maritima) |
アブラナ科オニハマダイコン属。葉は多肉質で根も含めて食用。キョクチトモシリソウと用途や保存法は変わらない。1783年に発生したラキ火山の際には南部の住民を救った栄養源でもある。
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※カル(Kál)は “ キャベツ ” を意味する。これらはビタミンCを多く含み、それを摂食していたことで壊血病がそれほど蔓延しなかったとされる。塩を使わずにミーサ(乳清やホエイとも呼ばれる)を利用する保存法は伝統的なスールマートゥルに残っている。今日では壊血病に陥る人々はいないが、ビタミンC、ヨウ素、キャベツの風味を持つ食材として料理人や家庭から再び注目され、利用されている。
バラ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
(Tágamura) (Silfurmura) |
ヨウシュツルキンバイ (Argentina anserina) |
バラ科アルゲンチナ属。古くから広く知られている薬用植物で、根、茎、葉、種子のすべての部分が利用された。活力を与える強壮効果、発汗作用、駆虫作用があるとされ、下痢、出血、痛風に利用されてきた。葉は煎じ薬、根は粥が主。 |
※第二次世界大戦中、ドイツではひどい月経痛の薬として、根と葉を粉末にしたカプセルを販売していた。体の筋肉をリラックスさせる筋弛緩作用もある。
ユキノシタ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
(Burnirót) (Blóðrót) |
イワベンケイ (Rhodiola rosea) |
イワベンケイ科イワベンケイ属。根は、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、β - エンドルフィンなどの神経伝達物質の生成を刺激する薬理作用をもち、強力な抗ストレス作用を発揮する。 |
※アイスランドではバイキング時代から使用されてきた長い歴史をもつハーブで、海外では通称 “ 北極の根 ” (Arctic Root)とも呼ばれる。うつ症状や不安感を軽減し、精神を安定させ、集中力や気力を高める効果があり、化学合成された精神安定剤(向精神薬)ではなく、自然由来のため、非常に人気が高い。スウェーデンハーブ研究所は臨床試験で検証し、それは科学雑誌に掲載された。今日では、サプリメント、チンキ剤なども市販され、鎮静作用、治癒作用、抗炎症作用があり、老化防止にも役立つと考えられている。イワベンケイは、日本では標高が高いエリアのみで見られる。また、他国では高山病などに用いられる。アイスランドでは栽培も行われており、茹でてサラダにしたり、炒めて食用とされ、食材としても流通している。
キキョウ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
(Bláklukka) |
イトシャジン (Campanula rotundifolia) |
キキョウ科ホタルブクロ属。根は甘味があり、食用となる。他には、繊維の染色にも利用されていた。 |
※キキョウ類は主にアジアに生息するため、非常に珍しい。キキョウの根(桔梗根)は、中国医学では、鎮静、鎮痛、鎮咳、去痰、抗炎症、末梢血管拡張作用、痰を伴う咳、化膿性の腫れ物、喉の痛みに効果があるとされ、日本でも古くから生薬とされる。韓国では根はトラジ(도라지:桔梗の意味)と呼ばれる健康食材で、キムチなどに利用される。
シソ目
※ワイルドタイムは通称 “ アイスランドのタイム ” または “ 北極のタイム ” と呼ばれる。こだわりのシェフたちは自ら採取し、料理に用いる。酒類のアンジェリカ・ジンの原材料としても使われる。
樹木
ブナ目
※ヨーロッパダケカンバの葉は、血液浄化剤と考えられており、体内の余分な水分を排出する利尿作用があるため、腎臓病の治療に使用される。他にリウマチ、痛風などの関節炎、傷などの外部治癒、湿疹や乾癬などの皮膚疾患などにも幅広く利用されている。 また、樹液は葉と同様に健康に良いと考えられている。血圧を安定させる効果、腎臓への負担を軽減させる作用、他に抗炎症作用や血液浄化作用など、健康に有用なさまざまな物質が含まれているとされ、ガンとの闘いにも役立つとされている。これまで樹液を含んだ食品は、シロップ、酒類などであったが、2010年に初めてジュースが商品化された。味はスイカに似ており、アイスクリームに用いた場合、味に最適な結果をもたらしたことから商品化に向けて開発が進められいる。
マツ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
シトカグレン二 (Sitkagreni) グレン二 (Grení) |
シトカトウヒ (Picea sitchensis) |
マツ綱マツ目マツ科トウヒ属。アイスランドで最も一般的な林業樹木の一つ。高樹木のためクリスマスツリーには不向きとされるが利用価値は高く、庭木とする人々もいる。 | |
グレンニスプロータ (Grenisprotar) |
トウヒの新芽 (Spruce Shoots) |
民間療法などで古くから利用されてきた。主にシロップに利用される。針葉が硬くなる前の新芽は軟らかくサラダとしても食用が可能である。レモンの風味が特徴でビタミンCを豊富に含む。 | |
スターファフラ (Stafafura) |
コントルタマツ (Lodgepole Pine) |
マツ綱マツ目マツ科マツ属。アイスランドで最も利用されている林業樹木の一つ。クリスマスツリーに適しているとされ、庭木としても人気が高い。 | |
155px | コングル (Köngull) |
松ぼっくり (Pinecone) |
木質になる前の緑の松ぼっくり(松笠)は、お茶やジャムに利用する。これはアイスランドに限らず、ロシアを含む寒冷地域で見られる。ほとんどが個人で採取し、自家消費として利用される。 |
※トウヒの新芽はレストランで供されるのは少ないが、食用とするのはアイスランドだけではなく、ノルウェー、カナダなどの寒冷地域でも見られる。日本でも松葉は松葉茶として利用されている。
ギャラリー
- ラーバルバルアスルタ:ルバーブのジャム。アイスランドの代表的なジャムでピザにも添えられる。新たにバニラの風味を加えたものは、2014年のフードコンテストで金賞を受賞した。
- ラーバルバルアグロイトゥル:ルバーブの粥。アイスランドの粥は甘いデザート仕立て。
- ラーバルバルアグラニータ:ルバーブのグラニテ。グラニテはシャーベットのようなもの。
- ルバーブ・ビターズ:ルバーブを酒に漬け込んだリキュール。市販品の他、家庭やBARなどでも自家製で作られる。
- ビルキテー:ヨーロッパダケカンバのハーブティー。
- ビルキサーヴァ:ヨーロッパダケカンバの葉のジュース。
- ビルキサーヴィ:ヨーロッパダケカンバの樹液のジュース。
- ビルキシーロプ:ヨーロッパダケカンバのシロップ。原材料は樹液と葉、砂糖のみで添加物は不使用。
- ビルキル:ヨーロッパダケカンバのシュナップス。
- ビョーク:ヨーロッパダケカンバのリキュール。
- グレン二シーロプ:シトカトウヒの新芽のシロップ。
- アンジェリカ・ジン:アイスランド最古の蒸留所で作られるジン。国内で採れる野生植物が使われている。
ルバーブ・ビターズ
(Rhubarb Bitters)ビルキテー
(Birkite)ビルキサーヴァ
(Birkisafa)ビルキサーヴィ
(Birkisafi)- Icelandic Schnapps -(Downy Birch)Birkir.png
ビルキル
(Birkir) - Icelandic Liqueurs -(Downy Birch)Björk.png
ビョーク
(Björk) グレン二シーロプ
(Grenísíróp)アンジェリカ・ジン
(Angelica Gin)