「アイスランドの海藻類」の版間の差分
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|<small>ヒバマタ科ヒバマタ属。</small> | |<small>ヒバマタ科ヒバマタ属。</small> | ||
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2024年2月12日 (月) 04:32時点における版
アイスランドの海藻類(アイスランド語:þörungur/英:Seaweed)は、アイスランド国内において採取が可能であり、食用に適する(可能性も含む)海藻類である。
概要
アイスランドでは、ソル(Söl)が代表的だが、日本で食用(特定地域の食用種を含む)とされている海藻類と学名的に同目、または同属の海藻類が多く生息している。 たとえ、学名(目・科・属)的に異なっていても、昆布、ワカメ、海苔、アオサ、ヒジキ、フノリ、アカモク、モズク、その他の食用海藻類と同様に機能する多くの海藻類が存在する可能性を秘めている。
日本は、100種類以上の海藻を食用とする世界随一の国と称されているが、実態は特定の決まった海藻類が一般的となっており、その面影はない。 アイスランドの人々は自然と常に共生している。 アイスランドでは元来、海藻は古くから重要な食糧源であり、さらに海藻を多く知る日本に着目し、次々と新たな食用種を発見して利用している。 実質的には世界随一の国はアイスランドであると言っても過言ではない。 また、必然的に成りえる国であり、人々にはそのスピリッツがある。
海藻採り
海藻類
真正紅藻綱
ダルス目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
ソル (Söl) |
ダルス (Palmaria palmata) |
ダルス科ダルス属。アイスランドでは最も古くから利用され、知名度の高い代表格。通常は乾燥品でそのままスナック感覚で食すのが一般的。海藻採りの場合はその場で生で味わうのが美味の極み。 | |
155px | (Kólgugrös) |
ホソベニフクロノリ (Devaleraea ramentacea) |
ダルス科ダルス属。 |
スギノリ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
(Fjörugrös) |
(Chondrus crispus) |
スギノリ科ツノマタ属。アイスランドでは古くは粥の “ とろみ ” を増すために使われていた。夏に採取して乾燥もできる。同属は日本の千葉県銚子市、茨城県鹿嶋市などで食用である。 | |
(Rauðskúfur) |
(Cystoclonium purpureum) |
スギノリ科ツノマタ属。 | |
155px | (Blaðberi) |
(Phyllophora pseudoceranoides) |
オキツノリ科フィロフォラ属。 |
(Sjóarkræða) |
(Mastocarpus stellatus) |
オキツノリ科イボノリ属。草が生えない地域では何世紀も前に海岸の草と共に、この種の海藻が食用されていたと考えられている。これらの両方を使って粥を作ることができる。 |
※日本のフノリ(スギノリ目フノリ科フノリ属)やトサカノリ(スギノリ目ミリン科トサカノリ属)も同目である。
イギス目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
(Brimkló) |
(Ceramium virgatum) |
イギス科イギス属。日本のエゴノリ(イギス科エゴノリ属)と同じ科である。 | |
155px | (Fiðurþari) |
(Ptilota gunneri) |
ランゲリア科クシベニヒバ属。 |
155px | (Dreyrafjöður) |
ヌメハノリ (Delesseria sanguinea) |
コノハノリ科ヌメハノリ属。ヨーロッパでは抽出したエキスは化粧品の原料に使われる。また抗炎症作用がある。 |
155px | (Unnarfaldur) |
ヌメハノリ (Membranoptera alata) |
コノハノリ科ベニヤバネグサ属。 |
155px | (Þunnaskegg) |
(Polysiphonia stricta) |
フジマツモ科イトグサ属。 |
155px | (Þangskegg) (Sjávartruffla) |
(Polysiphonia lanosa) |
フジマツモ科イトグサ属。“ 海のトリュフ ” (Sætrufflur)と称され、急速的に利用されつつある。 |
イタニグサ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
(Sjóarhrís) |
(Ahnfeltia plicata) |
イタニグサ科イタニグサ属。海外では藻類から作られる寒天の原料、細菌の培養や食品加工に使用される。 |
サンゴモ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
(Kóralþang) |
サンゴモ (Corallina officinalis) |
サンゴモ科サンゴモ属。 |
ヒメウスギヌ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
155px | (Klóblaðka) |
(Schizymenia jonssonii) |
ベニスナゴ科ベニスナゴ属。長らく大西洋の紅藻類と混同されてきたが2020年に新種とされた。日本の北海道東岸から千島列島に生息する近縁種。回遊するクジラによる移入の可能性が高い。 |
褐藻綱
コンブ目
ヒバマタ目
※種によっては、生鮮や軽く湯通しした葉と胞子を刻めば “ アカモク ” のような粘りを生み出す食材になる。茎と胞子を刻んで “ メカブ ” のように利用することも可能である。これらのタイプの多くは “ 海藻とろろ ” が作れる海藻類である。日本であれば、炊き立ての白飯にかけて醤油や出汁を回して “ とろみ ” のある海藻と共に口へかきこみ、その喉ごしも味わえる一品。
イソガワラ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
155px | (Flaga) |
イソガワラ (Ralfsia fungiformis) |
イソガワラ科イソガワラ属。 |
チロプテリス目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
155px | (Lóþvengur) |
(Halosiphon tomentosus) |
ハロシフォン科ハロシフォン属。 |
ツルモ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
155px | (Skollaþvengur) |
ツルモ (Chroda filum) |
ツルモ科ツルモ属。アイスランドでは古くは食用や畑の肥料として使われていた。 |
シオミドロ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
155px | (Ægissigð) |
セイヨウハバノリ (Petalonia fascia) |
カヤモノリ科セイヨウハバノリ属。 |
ウシケノリ綱
ウシケノリ目
アオサ藻綱
アオサ目
シオグサ目
画像 | 現地名 | 一般名(学名) | |
---|---|---|---|
(Steinskúfur) |
イワシオグサ (Cladophora rupestris) |
シオグサ科シオグサ属。同属のカモジシオグサ(Cladophora glomerata)は中国雲南省のタイ族で食用とされ、ラオス北部のメコン川流域やルアンパバーン郡ではカイペーンという板海苔がある。 | |
155px | (Fjörustrá) |
ミヤビシオグサ (Cladophora flexuosa) |
シオグサ科シオグサ属。 |
海藻料理
以下は、アイスランドの伝統的な食用海藻である『 ソル 』とは別に、新たな食用海藻類の一部の利用法であり、レストランで提供されている海藻料理の一例である。 実際には「キノコ狩り」「山菜採り」「果実摘み」と同様に「海藻採り」を行う個人や仲間内、家庭では、より多くの海藻類を思いつく限りの調理法や保存法で利用し、その多様性に富む。
- 干し昆布の前菜:アイスランドには日本の昆布と同じコンブ目の海藻が生息している。それらを自然環境を利かして低温乾燥(寒風干し)したものが基本的で市販品も同様である。日本の “ おしゃぶり昆布 ” よりもドライでクリスピーなもので、口に含んで咀嚼した後の昆布の粘りを味わう。レストランではさらに素揚げすることもある。
- 昆布の天ぷら:日本の出汁昆布のような厚葉ではなく、食べやすい薄葉のゴヘイコンブの一種の天ぷら。ブレンニヴィンのエッセンスを加えたアイスランド特製の天つゆで提供するレストランもある。
- 海苔の前菜:日本の “ 焼き海苔 ” とは異なり、きめ細かく粉砕してから乾燥、または加熱してシート状に仕上げたもの。磯と潮の風味を味わえる。その他、料理のデコレーションやデザートの甘味と塩味の相互性や相性(マリアージュ)を楽しめるように添えられる。
- 海苔巻き:アイスランドで寿司を提供するレストランは、日本の海苔で巻き方も同様のスタイルが多いが、独自の楽しい “ 海苔巻き ” もある。
- 海藻サラダ:
- ワカメの味噌汁:アイスランドでは “ ワカメ ” という呼び名は知られており、学名的に同じ科の海藻が生息している。提供するレストランもあるが、冒険心や興味本位ながらも、日本同様に家庭や個人で気兼ねなく作る人の方が多い。日本でも味噌を必要としない “ワカメスープ ” があるように、アイスランドの通常のスープや料理においても親和性のある海藻類の一つである。
- コンブキャビア:昆布を原料としたキャビアの模倣品。前菜の一つとして観光系レストランで見られるが一般的ではない。アイスランド国民の多くは魚卵に関心はなく、キャビア、イクラ、タラコに関して他国や日本ほど美食として重要視していない。