「ワーテルゾーイ」の版間の差分
ナビゲーションに移動
検索に移動
(→魚類) |
(→貝類・甲殻類) |
||
47行目: | 47行目: | ||
=== 貝類・甲殻類 === | === 貝類・甲殻類 === | ||
− | *'''ワーテルゾーイ・ドゥ・フリュイ・ド・メール'''(''Waterzooï de fruits de mer''):フリュイ・ド・メールとは、直訳すると “ 海のフルーツ ” 、いわば “ 海の幸 ” | + | *'''ワーテルゾーイ・ドゥ・フリュイ・ド・メール'''(''Waterzooï de fruits de mer''):フリュイ・ド・メールとは、直訳すると “ 海のフルーツ ” 、いわば “ 海の幸 ” のことで、シーフード全般の総称。主に北海産の魚介類を使ったもので、ワーテルゾーイ・ドゥ・ポワソン・ド・メールと同じ形態のものが一般的である。 |
*'''ワーテルゾーイ・ドゥ・ラ・メール・ドュ・ノール'''(''Waterzooï de La Mer du Nord''):メール・ドュ・ノールとは、フランス語でヨーロッパ北西部に面する “ 北海 ”(英: North Sea)の固有名詞。「ワーテルゾーイの北海風」を意味し、北海産の魚介類へのこだわりを強調したメニュー名として用いられる。 | *'''ワーテルゾーイ・ドゥ・ラ・メール・ドュ・ノール'''(''Waterzooï de La Mer du Nord''):メール・ドュ・ノールとは、フランス語でヨーロッパ北西部に面する “ 北海 ”(英: North Sea)の固有名詞。「ワーテルゾーイの北海風」を意味し、北海産の魚介類へのこだわりを強調したメニュー名として用いられる。 |
2023年6月17日 (土) 07:16時点における版
ワーテルゾーイ(Waterzooï)は、ベルギー北部に位置するオースト=フランデレン州の州都ヘント(ガント)発祥の料理である。 よって、地名のガントを表し「ワーテルゾーイ・ア・ラ・ガントワーズ」(Waterzooï à la Gantoise)とも呼ばれる。
語源
ワーテルゾーイ(Waterzooï)は、ベルギーおよびフランス北東部で話されているフラマン語で「煮えた水」を意味する。 “ Water ” は “ 水 ” 、“ zooi ” は “ 煮える ” を意味し、特に魚の調理に用いられた古い動詞 “ Zuien ” に由来する。
起源
起源は、13世紀末の中世にさかのぼる。 当時、スヘルデ川の水位を調整するため、ダムと水車が建設された。 スヘルデ川は、フランス・エーヌ県を源流とし、ベルギーのヘント(Gand)を通り、オランダを経由して北海へ注ぐ川である。 建設された水車群は、日本でも古くから米の脱穀、蕎麦や小麦などの製粉にも利用されていたように、穀物や小麦の製粉工場の役割も果たした。 これによって大量の屑が川に流れ込み、それをエサとして多種の淡水魚が大繁殖し、漁師の数も大幅に増えたのである。 地元では豊富な淡水魚が安価で手に入り、それを手軽に調理する方法として誕生した料理とされる。
ヘント生まれで、ハプスブルク家・スペイン国王(スペイン帝国)のカルロス1世(1500年2月24日 - 1558年9月21日)は、第3代神聖ローマ帝国皇帝「カール5世」としても即位した。 ワーテルゾーイは、彼がヘントのシント・ジョリショフ(Sint Jorishof)宮殿で食べていたお気に入りの料理だったと伝えられている。
伝統食材
伝統的なレシピでは7種類以上の淡水魚が使われている。
- ロタ・ロタ(Lota lota):カワメンタイ
- アンギーユ(Anguille):ヨーロッパウナギ
- カルプ(Carpe):コイ
- テンチ(Tanche):コイ科の魚
- バボー(Barbeau):コイ科のさまざまな種の魚
- ブロシェ(Brochet):パイク
- ペルシュ(Perche):パーチ
- ベック(Bec):カワカマス
メニュー名とバリエーション
家禽
- ワーテルゾーイ・ドゥ・プレ(Waterzooï de Poulet):鶏肉を使ったもので、魚主体のワーテルゾーイ・ドゥ・ポワソンと並ぶ定番メニュー。店によっては、鶏のササミ(Blanc de poulet:ブラン・ドゥ・プレ)を使う場合もあるが、一般的には、鶏モモ肉(Cuisses:キュイッス)、または、下モモ肉(Pilons:ピロン)が使われる。ニワトリの品種では、ベルギーの地鶏「メヘレン・クークック」(Mechelse Koekoek)という大型品種が有名である。
- ワーテルゾーイ・ドゥ・ボライユ(Waterzooï de Volaille):ボライユとは、ニワトリを含む家禽類(ガチョウ、アヒル、七面鳥、ホロホロ鳥、ウズラ、キジ、ハトなど)の総称。厳密には食用として飼育されたウサギ(ラパン)やカエル(グルヌイユ)も家禽に含まれるが、これらの食材はワーテルゾーイに使われることは少ない。
魚類
- ワーテルゾーイ・ドゥ・ポワソン(Waterzooï de Poisson):魚を使ったもので、鶏肉主体のワーテルゾーイ・ドゥ・プレと並ぶ定番メニュー。主に北海産のシタビラメ、サーモン、タラ、アンコウ、シーバス、エイなどの海産魚類が使われる。
- ワーテルゾーイ・ドゥ・ポワソン・ド・メール(Waterzooi de Poisson de Mer):ポワソン・ド・メールとは、 “ 海水魚 ” を意味する。魚主体のワーテルゾーイ・ドゥ・ポワソンに用いられることが多いが、貝類や甲殻類を加えたものにも用いられる場合もある。
- ワーテルゾーイ・ドゥ・ラ・メール(Waterzooï de la mer):ラ・メールとは、フランス語で “ 海 ” を指す固有名詞。鶏肉を使った陸のワーテルゾーイ・ドゥ・プレに対して “ 海のワーテルゾーイ ” というニュアンスである。魚主体のワーテルゾーイ・ドゥ・ポワソンに用いられることが多いが、貝類や甲殻類を加えたワーテルゾーイ・ドゥ・ポワソン・ド・メールと同じ形態にも用いられる場合もある。
貝類・甲殻類
- ワーテルゾーイ・ドゥ・フリュイ・ド・メール(Waterzooï de fruits de mer):フリュイ・ド・メールとは、直訳すると “ 海のフルーツ ” 、いわば “ 海の幸 ” のことで、シーフード全般の総称。主に北海産の魚介類を使ったもので、ワーテルゾーイ・ドゥ・ポワソン・ド・メールと同じ形態のものが一般的である。
- ワーテルゾーイ・ドゥ・ラ・メール・ドュ・ノール(Waterzooï de La Mer du Nord):メール・ドュ・ノールとは、フランス語でヨーロッパ北西部に面する “ 北海 ”(英: North Sea)の固有名詞。「ワーテルゾーイの北海風」を意味し、北海産の魚介類へのこだわりを強調したメニュー名として用いられる。
- ワーテルゾーイ・ドゥ・オマール(Waterzooï de Homard):オマール海老を使ったもの。伝統的なレストランなどでは、オマールは他のメイン食材として使われるため、一般的ではない。
野菜類
- ワーテルゾーイ・ドゥ・レギューム(Waterzooï de Légumes):野菜のみを使ったもの。提供する店は存在するが極めて少ない。主に菜食主義者の間で作られるもので一般的ではない。