「スアイトスーパ」の版間の差分

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'''スアイトスーパ'''(Sætsúpa / Saftsúpa með sagógrjónum)は、アイスランドの伝統的なスープである。
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'''スアイトスーパ'''(Sætsúpa / サフトスーパ:Saftsúpa)は、アイスランドの伝統的なスープである。
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また、サフトスーパと呼ぶのも伝統的である。
  
 
== 概要 ==
 
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アイスランド語で、スアイト(Sæt)は “ 甘い ” 、スーパ(Súpa)は “ スープ ” を意味する。
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英語で紹介される場合は、アイスランドのスイートスープ(Icelandic sweet soup)、またはフルーツスープ(Icelandic fruit soup)と呼ばれる。
  
 
== 作り方 ==
 
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#水と塩を加熱して沸騰させる。
 
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#サゴグリョンを加えて絶えずかき混ぜる。
 
#サゴグリョンを加えて絶えずかき混ぜる。
#プルーンとレーズンを添え、シナモンスティックで味付けします。
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#プルーンとレーズンを加え、シナモンスティックで味付けします。
 
※サゴグリョンが透明になるまで10分間調理します。
 
※サゴグリョンが透明になるまで10分間調理します。
  
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== サゴグリョン ==
 
== サゴグリョン ==
サゴグリョン(Sagógrjón)は、18世紀初頭に初めて西洋にもたらされ、当時は最高の御馳走(ごちそう)とみなされていた。
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サゴグリョン(アイスランド語:Sagógrjón)は、ヤシ目ヤシ科のサゴヤシ(学名:''Metroxylon sagu'')および、トゲサゴ(''Metroxylon rumphii'')の幹から採取したデンプンを乾燥加工した球状(タピオカに似る)のもので、一般的にはサゴパール(Sago Pearls)と呼ばれる。
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原料となる植物は、東南アジアの湿地帯に生育しており、主な生産国はインドネシアである。
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アイスランドでは小粒のものが使われる。
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サゴグリョンは、18世紀初頭に初めて西洋にもたらされ、当時は最高の御馳走(ごちそう)とみなされていた。
 
アイスランド人がサゴグリョンを初めて知ったのは、18世紀半ば以降と考えられている。
 
アイスランド人がサゴグリョンを初めて知ったのは、18世紀半ば以降と考えられている。
 
1784年、アイスランドの7つの港であるヴェストマンナエイヤ、ハフナルフィヨルズル、スタパ、グルンダルフィヨルズル、フラテイヤル、パトレクスフィヨルズル、エイジャフィヨルズルに持ち込まれた。
 
1784年、アイスランドの7つの港であるヴェストマンナエイヤ、ハフナルフィヨルズル、スタパ、グルンダルフィヨルズル、フラテイヤル、パトレクスフィヨルズル、エイジャフィヨルズルに持ち込まれた。
当時、サゴは小麦の8倍もする高級品であり、決して一般的な食材ではなかった。
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当時は小麦の8倍もする高級品であり、決して一般的な食材ではなかった。
  
18世紀、ほとんどのアイスランド人は何世紀にもわたって知られてきた伝統的な食品である乳製品、肉、魚などを食べて暮らしていた。
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18世紀、ほとんどのアイスランド庶民は何世紀にもわたって知られてきた伝統的な食品である乳製品、肉、魚などを食べて暮らしていた。
一方、役人階級はデンマークの首都であるコペンハーゲンのより良い市民に共通する食べ物や物品を求めた。
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一方、役人階級はデンマークの首都であるコペンハーゲンの上流市民、いわば市民階級(ブルジョワジー)や中産階級に共通する食べ物や物品を求めた。
遠く離れた大陸から輸入された新しい製品は、当時のヨーロッパ人の食文化に多くの変化、革新をもたらした。
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遠く離れた大陸から輸入された新しい製品は、当時のヨーロッパ人の食文化に多くの変化を与え、革新をもたらした。
 
サゴグリョンもその一つである。
 
サゴグリョンもその一つである。
  
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乾物のサゴグリョンは調理を要するため、「即席スープの素」のような商品には不向きといえる。
 
乾物のサゴグリョンは調理を要するため、「即席スープの素」のような商品には不向きといえる。
  
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== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
 
*[[アイスランド料理一覧]]
 
*[[アイスランド料理一覧]]
*[[アイスランドの果実類]]
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*[[サゴグリョーナグロイトゥル]]
*[[タピオカ]]:香港
 
  
 
== 参考文献 ==
 
== 参考文献 ==

2024年7月23日 (火) 22:07時点における最新版

スアイトスーパ

スアイトスーパ(Sætsúpa / サフトスーパ:Saftsúpa)は、アイスランドの伝統的なスープである。 また、サフトスーパと呼ぶのも伝統的である。

概要

トヴィボェックル

アイスランド語で、スアイト(Sæt)は “ 甘い ” 、スーパ(Súpa)は “ スープ ” を意味する。 英語で紹介される場合は、アイスランドのスイートスープ(Icelandic sweet soup)、またはフルーツスープ(Icelandic fruit soup)と呼ばれる。

作り方

『女子と台所仕事』1965年
『若者と台所仕事』1967年

レシピは、1965年にアイスランドの国営学校書籍出版会社より出版された『女子と台所仕事』を参考とした。 本書は小中学生向けの家庭科的な教科書である。 活字だけではなく、フリーハンドで描かれた漫画調のコマやイラストを含むため、大変読みやすいものとなっている。 1967年に男女平等という風潮から『若者と台所仕事』へと改められ、男子にも取り入れられた。 アイスランドの年配者の間では広く知られている懐かしい教科書である。 今日では、当時を知らない世代の人々にとって、興味をそそる書籍として度々伝説的に取り上げられ、伝統を知る上での貴重な古書となっている。

アイスランドでは、“ 本がないより、靴がないほうが良い ” という諺(ことわざ)が広く知られているほど、人々の趣味の筆頭は読書である。 そのため、国内には数多くの図書館が設けられており、多くの書籍を並べているカフェもある。

本書にいたっては、古本のように流出するのは稀で、世代を超えて家庭の教育書、バイブルとして受け継がれている。 2013年に開催された学校料理コンテストで優勝に輝いた女生徒たちは『若者と台所仕事』を持ちながら受賞式に出席した。

材料

  • 水:700 ml
  • 塩:小さじ 1/2
  • サゴグリョン:500 cc
  • レーズンまたはプルーン:500 cc

※必要に応じてシナモン少々

調理

  1. 水と塩を加熱して沸騰させる。
  2. サゴグリョンを加えて絶えずかき混ぜる。
  3. プルーンとレーズンを加え、シナモンスティックで味付けします。

※サゴグリョンが透明になるまで10分間調理します。

『女子と台所仕事』1965年

サゴグリョン

サゴグリョン(アイスランド語:Sagógrjón)は、ヤシ目ヤシ科のサゴヤシ(学名:Metroxylon sagu)および、トゲサゴ(Metroxylon rumphii)の幹から採取したデンプンを乾燥加工した球状(タピオカに似る)のもので、一般的にはサゴパール(Sago Pearls)と呼ばれる。 原料となる植物は、東南アジアの湿地帯に生育しており、主な生産国はインドネシアである。 アイスランドでは小粒のものが使われる。

サゴグリョンは、18世紀初頭に初めて西洋にもたらされ、当時は最高の御馳走(ごちそう)とみなされていた。 アイスランド人がサゴグリョンを初めて知ったのは、18世紀半ば以降と考えられている。 1784年、アイスランドの7つの港であるヴェストマンナエイヤ、ハフナルフィヨルズル、スタパ、グルンダルフィヨルズル、フラテイヤル、パトレクスフィヨルズル、エイジャフィヨルズルに持ち込まれた。 当時は小麦の8倍もする高級品であり、決して一般的な食材ではなかった。

18世紀、ほとんどのアイスランド庶民は何世紀にもわたって知られてきた伝統的な食品である乳製品、肉、魚などを食べて暮らしていた。 一方、役人階級はデンマークの首都であるコペンハーゲンの上流市民、いわば市民階級(ブルジョワジー)や中産階級に共通する食べ物や物品を求めた。 遠く離れた大陸から輸入された新しい製品は、当時のヨーロッパ人の食文化に多くの変化を与え、革新をもたらした。 サゴグリョンもその一つである。

市販品のスアイトスーパ

市販品のスアイトスーパ

市販品にはサゴグリョンは含まれていないが、でんぷん質を加えるためにジャガイモ澱粉が加えられている。 乾物のサゴグリョンは調理を要するため、「即席スープの素」のような商品には不向きといえる。

原材料

  • 砂糖
  • プルーン
  • レーズン
  • ジャガイモ澱粉

※その他、香辛料、ビタミンC、香料、着色料が含まれる。

ギャラリー

  • ヴァトン:水。
  • サルト:塩。
  • サゴグリョン:
  • スヴェスキュル:プルーン。
  • ルゥシィヌル:レーズン。
  • カーニルスタンギル:シナモンスティック。
  • スィークル:砂糖。
  • カスタフルゥムミョール:ジャガイモ澱粉(かたくり粉)。アイスランドではデンマーク産が主流。

関連項目

参考文献

  • 『女子と台所仕事』:初版・1965年~1967年(アイスランド国営学校書籍出版会社)
  • 『若者と台所仕事』:再版・1967年~1981年(アイスランド国営学校書籍出版会社)