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アローシュ・デ・ポルヴォのような米料理は、一般的にレストランへ一緒に同行した人数で鍋から皿に取り分けて食べるため、独りの場合は最低でも二人前を食べる必要があり、一人前で提供するレストランは少ない。 | アローシュ・デ・ポルヴォのような米料理は、一般的にレストランへ一緒に同行した人数で鍋から皿に取り分けて食べるため、独りの場合は最低でも二人前を食べる必要があり、一人前で提供するレストランは少ない。 | ||
− | + | 日本において、ポルトガル料理はイタリアの麺料理であるパスタなどに比べて、まだまだポピュラーではないが、ポルトガルの米料理はパラつきのある長粒米のリゾットとは異なり、日本と同じジャポニカ米の系統が使われるため、米食に慣れ親しんでいる日本人にとって馴染みやすい味である。 | |
== 起源 == | == 起源 == |
2023年8月31日 (木) 03:02時点における版
アローシュ・デ・ポルヴォ(Arroz de Polvo)は、ポルトガル発祥の伝統的なタコ料理およびコメ料理である。
概略
アローシュ・デ・ポルヴォは、直訳で “ タコ飯 ” の意味である。 ポルトガル国内において、タコ料理は美食として高く評価されている。 その一つであるアローシュ・デ・ポルヴォはメインディッシュとして祭りや特別な行事で非常に人気の高い料理であり、結婚式、洗礼式、クリスマス、その他の祝いの席でも供される。
また、シンプルな材料と比較的簡単な調理で作れることでも人気が高く、家庭や個人の好みによって手軽にアレンジされて国民に広く親しまれている料理である。 好みに応じて白ワインまたは赤ワインと合わせて楽しめる。
通常、鍋で調理され、そのまま供卓される。 アローシュ・デ・ポルヴォのような米料理は、一般的にレストランへ一緒に同行した人数で鍋から皿に取り分けて食べるため、独りの場合は最低でも二人前を食べる必要があり、一人前で提供するレストランは少ない。
日本において、ポルトガル料理はイタリアの麺料理であるパスタなどに比べて、まだまだポピュラーではないが、ポルトガルの米料理はパラつきのある長粒米のリゾットとは異なり、日本と同じジャポニカ米の系統が使われるため、米食に慣れ親しんでいる日本人にとって馴染みやすい味である。
起源
タコ
アローシュ・デ・ポルヴォの起源は、ポルトガルの漁師が食事の主な材料としてタコを使い始めた古代にさかのぼるとされる。 タコは少なくともフェニキア人の時代、つまり紀元前12世紀頃からポルトガルでは一般的な食材であったと考えられている。 その後のローマ人やムーア人、さらには現在のポルトガルの領土に居住していた全ての民族が、大西洋沿岸でタコを獲り、冷蔵技術が発達する以前のはるか昔から干したり、塩漬けにして保存していた。 現在でも伝統的な干し鱈(Bacalhau:バカリャウ)があるように、今日でも浜辺で魚のアジと並んでタコを手作業で天日干しする光景を見ることができる。
タコの主な名産地はポルトガル最南端の沿岸地域であるアルガルヴェ地方と南西部のコスタ・ヴィセンティーナ海岸が有名である。 タコ漁が盛んな地域であるが、岩礁に生息し、貝や小魚を捕食しているため良質なタコとされている。
アローシュ・デ・ポルヴォは特にタコが豊富に獲れるアルガルヴェ地方のファーロ県タヴィラに位置するサンタ・ルジア地区のレシピに由来すると云われている。 漁師町のサンタ・ルジアは「タコの首都」(Capital do Polvo)の名でも知られ、タコのモニュメントや記念碑も存在する。
トマト
この料理の特徴であるトマトは、16世紀末に中南米からスペインのセビリア港を経由してヨーロッパに伝来し、同時にポルトガル料理にも急速に取り入れられていった。 現在、ポルトガルはヨーロッパ第3位のトマト生産国であり、アルガルヴェ地方は国内でも代表的な生産地の一つである。
ポルトガルの米食文化
ポルトガルはヨーロッパ最大のコメ消費国であり、その量は一人当たり年間15kgで、これはヨーロッパ平均のおよそ3倍である。 ポルトガル人と米の繋がりは、ポルトガル建国(西暦12世紀:1143年10月5日)以前のはるか昔から存在する。 稲作はムーア人の領地であった7世紀から8世紀にかけて現在のポルトガル領土で始められた。
以来、米はポルトガル人の食生活において非常に貴重なものとなったが、これは土壌、温度、日照時間、水などの栽培に適した環境も大きく影響している。 現在では年間150,000トン(1億5,000万キロ)から180,000トンの米を生産しており、国内消費の60%を自給している。 作付総面積は約30,000ヘクタールで、主にサド川、テージョ川、モンデゴ川の河口域で栽培されている。 ヨーロッパにおいて日本のような田園風景(田んぼ)が見られるのは稀である。
米はその粒の大きさや形状によって、短粒米、中粒米、長粒米の3種類に分けられるが、ポルトガルにはこれら3種の古来種が存在する。 その中で特にアグーリャ(Agulha)とカロリーノ(Carolino)という2つの主要な品種が栽培されている。 アグーリャは長粒のインディカ米で、カロリーノは短粒で日本で食されているジャポニカ米の亜種である。 カロリーノはクリーミーで弾力のある食感、炊き上がりの均一性や硬さ、茹でると汁を完全に吸収し、そのスープや調味料の風味を取り込む特徴があり、アローシュ・デ・ポルヴォをはじめ、これらの米料理に最適とされている。 これらの特性からカロリーノは伝統的な「ポルトガルの国米」となっている。
サド川の河口沿いに位置するコンポルタには、ポルトガルにおける米の歴史を専門とする「コメ博物館」(Museu do Arroz)があり、併設のレストランではポルトガルの有名な米料理の数々を紹介している。
基本構成
基本的な材料には、タコ、米、玉ねぎ、にんにく、トマト、オリーブオイル、白ワイン、魚のだし、パプリカ、月桂樹の葉、パセリ、塩が含まれる。
赤ワインを使うものは、アローシュ・デ・ポルヴォ・コン・ヴィニョ・ティント(Arroz de Polvo com Vinho Tinto)と呼ばれる。
調理
下準備
- まず、タコを洗い、細かく切る。
- 次に、玉ねぎ、にんにく、トマト、オリーブオイルで柔らかくなるまで炒める。
- その後、白ワインを加えて、魚のだしを少しずつ加えて味を調える。
炊飯
- タコとだし汁に米を加え、米が柔らかくなり水分をすべて吸収するまで弱火で煮る。
- 炊飯中は、お米が鍋底にくっつかないように時々かき混ぜることが大切である。
バリエーション
以下は、バリエーションとして一般的なものである。
- アローシュ・デ・ポルヴォ・コン・カマラオン(Arroz de Polvo com Camarão):エビ入り
- アローシュ・デ・ポルヴォ・コン・アマイジョア(Arroz de Polvo com Amêijoa):アサリ入り
- アローシュ・デ・ポルヴォ・コン・リングヴェイラオン(Arroz de Polvo com Lingueirão):マテガイ入り
- アローシュ・デ・ポルヴォ・コン・マリスコス(Arroz de Polvo com Mariscos):
- Portuguese Tomato Dishes - Arroz de Polvo com Mariscos.png
「魚介類入り」
(Arroz de Polvo com Lingueirão)