「𩵔魚油燒トマト餡」の版間の差分
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+ | およそ十五分か二十分ののち形妻折に身の方を上にして串を刺し(さし方は串の刺し方の條に有り)肉の方より火にかけ中ば焼けましたる頃バターを塗り二三回にして両面をよく焼きあげ、火よりおろし串を抜きて皿に盛りトマト餡をかけて進めます。 | ||
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+ | トマト餡はトマトを鍋に入れ煮出汁を加え、火に架け一度煮え立たせ塩胡椒にて加減をなし、少量の片栗粉にてねばり気をつけて用います。 | ||
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+ | ヌマムツは2000年頃まではカワムツと同種として扱われていたが、現在は近縁ではあるが別種とされ食用とされることは少ない。 | ||
+ | 他のウグイ、アブラハヤ、タカハヤ、オイカワ、カワムツは食用として利用されている。 | ||
+ | また、地方によっては淡水魚のアマゴ(サツキマスの陸封型個体)、ギンブナ、ヤリタナゴも「ハエ」と呼ばれる。 | ||
+ | 明治時代の兵庫県明石の漁村では「𩵔」は食用とされる海水魚のイサキを指す。 | ||
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+ | 本書では、同じく「𩵔魚」を用いるものでイサキと思われる料理類もあるが、𩵔魚(はゑ)の料理類のページとは区別され離れている。 | ||
+ | その場合は料理名「𩵔魚(いさを)の刺身」、材料「いさぎ二尾」という振り仮名があり、刺身に用いる時点で一般的には海水魚を示すものであり、本料理は𩵔魚(はゑ)となっていることから、これら二種の魚は異なる。 | ||
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+ | 江戸時代の俳人・方言研究家の越谷吾山(こしがや ござん:1717年・享保2年 - 1788年1月24日・天明7年12月17日)による安永4年(1775年)の江戸時代の方言辞典『物類称呼』(ぶつるいしょうこ)では「はゑは蠅を好て食う故なづく」とある。 | ||
+ | よって、本料理の𩵔魚「はゑ」は川魚である。 | ||
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+ | Image:Japanese Freshwater Fish - Ugui(Tribolodon hakonensis).png|ウグイ | ||
+ | Image:Japanese Freshwater Fish - Aburahaya(Rhynchocypris lagowskii steindachneri).png|アブラハヤ | ||
+ | Image:Japanese Freshwater Fish - Takahaya(Rhynchocypris oxycephalus jouyi).png|タカハヤ | ||
+ | Image:Japanese Freshwater Fish - Oikawa(Opsariichthys platypus).png|オイカワ | ||
+ | Image:Japanese Freshwater Fish - Kawamutsu(Nipponocypris temminckii).png|カワムツ | ||
+ | Image:Japanese Freshwater Fish - Numamutsu(Nipponocypris sieboldii).png|ヌマムツ | ||
+ | Image:Japanese Freshwater Fish - Amago(Oncorhynchus masou ishikawae).png|アマゴ | ||
+ | Image:Japanese Freshwater Fish - Ginbuna(Carassius auratus langsdorfii).png|ギンブナ | ||
+ | Image:Japanese Freshwater Fish - Yaritanago(Tanakia lanceolata).png|ヤリタナゴ | ||
+ | Image:Japanese Saltwater Fish - Isaki(Parapristipoma trilineatum).png|<small>イサキは「ハエ」と呼ばれない</small> | ||
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== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
− | * | + | *『[[新しき研究 和洋料理の仕方]]』:大正11年1月・石塚松雲堂 |
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2022年4月30日 (土) 16:23時点における最新版
𩵔魚油燒トマト餡(はゑあぶらやきとまとあん)は、 大正11年(1922年)に石塚松雲堂から発行された『新しき研究 和洋料理の仕方』に掲載された料理である。
材料
- 𩵔魚:三尾
- バター:大匙山一杯
- トマトソース:五勺
- 塩:少々
- 片栗粉:少々
- 鰹煮出汁:一合
- 胡麻油
- 胡椒
作り方
まず水洗いせる𩵔魚を三枚におろし腹部の薄骨をそぎ中央の小骨を丁寧に抜き取り、皿または板の上に平らに並べ少量の塩と胡椒を散布しておきます。 およそ十五分か二十分ののち形妻折に身の方を上にして串を刺し(さし方は串の刺し方の條に有り)肉の方より火にかけ中ば焼けましたる頃バターを塗り二三回にして両面をよく焼きあげ、火よりおろし串を抜きて皿に盛りトマト餡をかけて進めます。
トマト餡はトマトを鍋に入れ煮出汁を加え、火に架け一度煮え立たせ塩胡椒にて加減をなし、少量の片栗粉にてねばり気をつけて用います。
注意
魚を焼きます時バターを塗りましたなれば煙の立たない様に団扇にてあおぎつつ焼きます。
これは煙のために黒くならぬようするのであります。
補足
𩵔魚(はゑ:はえ)は、「ハヤ」または「ハヨ」とも呼ばれ、ウグイ、アブラハヤ、タカハヤ、オイカワ、カワムツ、ヌマムツなどの中型で細長い体型をもつ日本産のコイ科の淡水魚の総称で「鮠魚」とも記される。 ヌマムツは2000年頃まではカワムツと同種として扱われていたが、現在は近縁ではあるが別種とされ食用とされることは少ない。 他のウグイ、アブラハヤ、タカハヤ、オイカワ、カワムツは食用として利用されている。 また、地方によっては淡水魚のアマゴ(サツキマスの陸封型個体)、ギンブナ、ヤリタナゴも「ハエ」と呼ばれる。 明治時代の兵庫県明石の漁村では「𩵔」は食用とされる海水魚のイサキを指す。
本書では、同じく「𩵔魚」を用いるものでイサキと思われる料理類もあるが、𩵔魚(はゑ)の料理類のページとは区別され離れている。 その場合は料理名「𩵔魚(いさを)の刺身」、材料「いさぎ二尾」という振り仮名があり、刺身に用いる時点で一般的には海水魚を示すものであり、本料理は𩵔魚(はゑ)となっていることから、これら二種の魚は異なる。
江戸時代の俳人・方言研究家の越谷吾山(こしがや ござん:1717年・享保2年 - 1788年1月24日・天明7年12月17日)による安永4年(1775年)の江戸時代の方言辞典『物類称呼』(ぶつるいしょうこ)では「はゑは蠅を好て食う故なづく」とある。 よって、本料理の𩵔魚「はゑ」は川魚である。
𩵔魚(はゑ)
参考文献
- 『新しき研究 和洋料理の仕方』:大正11年1月・石塚松雲堂