盗汗鸡

盗汗鸡（中国・貴州省）

盗汗鸡（ダオハンジー）

歴史

盗汗锅

清代の光緒14年（1888年）、漢方医の家に生まれた張天銀（1855年 - 1948年）は、病状に応じた生薬を用いて蒸し鶏（隔水蒸鸡）の薬膳料理を考案した。 この薬膳料理は、性質が穏やかで、栄養に富み、高タンパク質、低脂肪で、消化しやすく、五臓六腑に効能があり、気を補い血を養い、精を充填し、髄を補い、脾臓と胃を強化し、虚弱を補う。 また、筋肉や骨を強化し、美容効果や免疫力を高める効果もあるとされる。 人々はこの鶏料理を「世の中を救う良薬」と呼び、その調理方法に基づいて「盗汗鸡」と名付けた。

張天銀の家族である薛树轩（1904年 - 2012年）は、自宅で盗汗鸡を作って食べることに長年こだわり、108歳まで生きた。 彼は2008年（当時103歳）に中国人民政治協商会議・貴州省委員会から「長寿の星」（长寿之星）を授与され、この料理の治療価値と強壮効果がさらに広く知られるようになった。

盗汗锅

通気孔のある特別設計の調理鍋

盗汗鸡の調理に伝統的に用いられる専用鍋は「盗汗锅」（ダオハングゥォ）と呼ばれる。 この鍋は貴州省で採取される粘土で作られた陶製のもので、土台（底部）、蒸し器（入れ子）、上蓋（上部）の3つのパーツで構成されており、調理の際には湯沸かし鍋が別途必要である。

調理のプロセスは雲南省の汽锅と同様で水蒸気で加熱する無水調理である。 汽锅は鍋内に蒸気を噴出させる通気孔は中央に一つだが、盗汗锅は蒸し器に上向きで上部内側、または横向きで側面上部に複数設けられている。 湯沸かし鍋で発生した蒸気は筒状の土台を通り、通気孔から蒸し器へ噴出し、高圧で食材を加熱調理しつつ、鶏の骨髄やゼラチン、その他の食材の洗練されたエキスを抽出する。 また、蒸気は上蓋で冷却され、蒸留水となってエキスに加わり、清澄なスープが生成される。 調理が完了するまで密閉状態で外気と混ざり合うことがないため、香り高い料理に仕上がる。

ファイル:Chinese Cuisine -（盗汗锅）Clear Chicken Soup.png

盗汗锅のスープ

栄誉

盗汗鸡は4代目である張志勇氏に継承され、商標登録された。 盗汗鸡は、中国飯店協会から「中国名菜」の称号、中国食品文化研究会から「中華食品文化伝承企業」の称号、中国人民政治協商会議・貴州省委員会弁公室、貴州省商務庁、貴州省工商業連合会の共同表彰で「美しい貴州料理」の称号、黔西南プイ族ミャオ族自治州の政府機関である黔西南州商務局から「100年フード・トップ10」の称号を獲得した。

社会・時事

• 2018年09月14日：中国料理において盗汗鸡が貴州十大定番料理に選ばれた。

関連項目

• 汽锅鸡（雲南省・建水県）

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