アイスランドの野草類のソースを表示
←
アイスランドの野草類
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、以下のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページは編集や他の操作ができないように保護されています。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
__FORCETOC__ [[ファイル:Icelandic Wild Herbs - Villtar jurtir.png||250px|right|]] '''アイスランドの野草類'''(Villtar jurtir:ヴィルタル・ユルティル)は、アイスランドに自生する野草類および薬草類である。 また、アイスランドにおける薬用植物(メディカルハーブ:lækningaplanta)の一種として樹木類も表記した。 == 概要 == アイスランドでは入植時代から多くの野草類をさまざまな方法で利用してきた。 その植物類の一覧である。 == 野草類 == === セリ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Angelica archangelica - Garden Angelica.png|155px]] |<br><small>(Ætihvönn)</small> |セイヨウトウキ<br><small>(''Angelica archangelica'')</small> |<small>セリ科シシウド属。伝統的な薬用植物の一つで鎮痛剤や鎮静剤、壊血病に効果があり、呼吸器系の粘液を促し、喘息に効果があると考えられている。[[アンジェリカ・ジン]]には必須の原料となる。</small> |- |[[File:Angelica sylvestris - Wild Angelica.png|155px]] |<br><small>(Geithvönn)</small> |ワイルド・アンジェリカ<br><small>(''Angelica sylvestris'')</small> |<small>セリ科シシウド属。セイヨウトウキと同様の効能はあるが効果は劣るとされる。</small> |- |[[File:Carum carvi - Caraway.png|155px]] |<br><small>(Kúmen)</small> |キャラウェイ<br><small>(''Carum carvi'')</small> |<small>セリ科ヒメウイキョウ属。果実は香辛料の一つ。駆風作用、利尿作用がある。また、母乳生産の促進、胃の強化、肝炎や黄疸を取り除く効果があるとされている。葉も食用として利用できる。</small> |- |[[File:Myrrhis odorata - Sweet Cicely.png|155px]] |<br><small>(Spánarkerfill)</small> |スイートシスリー<br><small>(''Myrrhis odorata'')</small> |<small>セリ科ミルリス属。葉や種子はアニスの風味があり、全草が食用となる。香辛料や香草としても使用される。</small> |- |[[File:Ligusticum scoticum - Scots Lovage.png|155px]] |<br><small>(Sæhvönn)</small> |マルバトウキ<br><small>(''Ligusticum scoticum'')</small> |<small>セリ科マルバトウキ属。アイスランドではセージハーブやマスターハーブとも呼ばれ、魔法に使用されていたとされているが、どのような方法で使用されたのかは、もはや不明。食用は可能。</small> |- |} <small>※セイヨウトウキ(ゴールデン・アンジェリカ)を含む、これらのアンジェリカは、ヨーロッパでも伝統的な薬草として利用されてきた。セイヨウトウキの根や種の粉末は、煎じ薬(ハーブティー)として利用される。茎は、砂糖漬け(クリスタル・アンゼリカ)としてケーキの飾りつけ等に、葉は、魚料理や果物の風味付けに用いる。また、種子はリキュールの香味付けに用いられる。他には、種子を蒸留して抽出した精油(エッセンシャルオイル)は、ムスク(麝香:じゃこう)の代用として香水の原料にも利用される。</small> === ナデシコ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Silene acaulis - Moss Campion.png|155px]] |<br><small>(Lambagras)</small> |コケマンテマ<br><small>(''Silene acaulis'')</small> |<small>ナデシコ科マンテマ属。根は硬いが食用とされ、水や牛乳でやわらかく煮た[[グロイトゥル|粥]]は空腹を満たす上で人々の重要な食糧源となった。他の食材とバターで炒めて付け合わせにもなる。</small> |- |[[File:Sagina procumbens - Procumbent Pearlwort.png|155px]] |<br><small>(Skarfakál)</small> |アライトツメクサ<br><small>(''Sagina procumbens'')</small> |<small>ナデシコ科ツメクサ属。</small> |- |[[File:Cerastium fontanum - Common Mouse Eear Chickweed.png|155px]] |<br><small>(Vegarfi)</small> |ミミナグサ<br><small>(''Cerastium fontanum'')</small> |<small>ナデシコ科ミミナグサ属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。若い苗は食用可能。</small> |- |[[File:Spergula arvensis - Corn Spurrey.png|155px]] |<br><small>(Skurfa)</small> |オオツメクサ<br><small>(''Spergula arvensis'')</small> |<small>ナデシコ科オオツメクサ属。主に牛の飼料用の植物であったが、種子は食用とされていた。栄養価は高いが、収穫量は非常に少ない。</small> |- |[[File:Stellaria media - Common Chickweed.png|155px]] |<br><small>(Haugarfi)</small> |コハコベ<br><small>(''Stellaria media'')</small> |<small>ナデシコ科ハコベ属。生でサラダで食される。煎じ薬は、炎症の冷却や痛みの緩和、傷の治癒、便秘に効果があるとされた。他に軟膏に使用され、皮膚の湿疹、かゆみに優れているとされる。</small> |- |[[File:Honkenya peploides - Sea Sandwort.png|155px]] |<br><small>(Fjöruarfi)</small><br><br><small>(Smeðjukál)</small> |ハマハコベ<br><small>(''Honkenya peploides'')</small> |<small>ナデシコ科ハマハコベ属。肉厚の葉を細かく刻み、羊乳で煮たり、スキムミルクに浸して食された。葉はキャベツに似た味がする。</small> |- |[[File:Montia fontana - Blinks.png|155px]] |<br><small>(Lækjagrýta)</small> |ヌマハコベ<br><small>(''Montia fontana'')</small> |<small>スベリヒユ科ヌマハコベ属。</small> |- |[[File:Armeria maritima - Sea Thrift.png|155px]] |<br><small>(Geldingahnappur)</small> |ハマカンザシ<br><small>(''Armeria maritima'')</small> |<small>イソマツ科アルメリア属。根は硬いが古い時代は宮殿で食されていた。また、食糧難の時は人々の重要な食糧源となった。花から蜜を吸ったり、少女が花冠を作り、頭に飾るのは珍しくない。</small> |- |[[File:Drosera rotundifolia - Round Leaved Sundew.png|155px]] |<br><small>(Sóldögg)</small> |モウセンゴケ<br><small>(''Drosera rotundifolia'')</small> |<small>モウセンゴケ科モウセンゴケ属。食虫植物の一種。粘液を入れたブランデーは奇跡的な効能があると信じられ、飲めば医師の診察は必要なかった。イボ、ハンセン病、ソバカスの除去にも使用された。</small> |- |[[File:Polygonum aviculare - Common Knotgrass.png|155px]] |<br><small>(Blóðarfi)</small> |ミチヤナギ<br><small>(''Polygonum aviculare'')</small> |<small>タデ科ミチヤナギ属。煎じ薬は、下痢、食欲不振、出血に使用された。消化管の出血や尿路結石の除去、下痢には非常に効果があるとされる。粉末は、鼻血を止めるためにも使用できる。</small> |- |[[File:Bistorta vivipara - Alpine Bistort.png|155px]] |<br><small>(Kornsúra)</small><br><br><small>(Túnblaðka)</small> |ムカゴトラノオ<br><small>(''Bistorta vivipara'')</small> |<small>タデ科イブキトラノオ属。根の煎じ薬は、傷や消化管の出血、下痢、疝痛を解消するとされた。また、歯肉炎や膣内の炎症、治りが遅い傷などの洗浄にも良いとされる。根は甘味がある。</small> |- |[[File:Oxyria digyna - Alpine Sorrel.png|155px]] |<br><small>(Ólafssúra)</small><br><br><small>(Súrkál. Hrútablaðka, Fjallakál)</small> |ジンヨウスイバ<br><small>(''Oxyria digyna'')</small> |<small>タデ科ジンヨウスイバ属。スイバやムカゴトラノオと同様の効果があるとされる。スイパと同様に食用。</small> |- |[[File:Rumex acetosella - Sheep's Sorrel.png|155px]] |<br><small>(Hundasúra)</small> |ヒメスイバ<br><small>(''Rumex acetosella'')</small> |<small>タデ科イブキトラノオ属。スイバと同じ効能があるとされる。</small> |- |[[File:Rumex acetosa - Common Sorrel.png|155px]] |<br><small>(Túnsúra)</small> |スイバ<br><small>(''Rumex acetosa'')</small> |<small>タデ科スイバ属。浮腫(むくみ)に非常に効果があり、肝臓を強化するとされる。他には、食欲不振、便秘、痔、壊血病などに効果がある。葉は酸味があり、[[グロイトゥル|粥]]やスープ、サラダなどで食される。</small> |- |[[File:Rumex longifolius - Northern Dock.png|155px]] |<br><small>(Njóli)</small><br><br><small>(Heimula, Heimulunjóli)</small> |ノダイオウ<br><small>(''Rumex longifolius'')</small> |<small>タデ科スイバ属。強壮効果、血液浄化、虫歯予防、下剤、利尿、鎮静作用があるとされる。葉の煎じ薬は下痢、肝臓病、便秘、壊血病、ハンセン病、敗血症に効くとされた。スイパと同様に食用。</small> |- |[[File:Rheum rhabarbarum - Rhubarb.png|155px]] |<br><small>(Rabarbari)</small> |ルバーブ<br><small>(''Rheum rhabarbarum'')</small> |<small>タデ科ダイオウ属。中国原産の薬用植物で14世紀にヨーロッパで栽培を開始した。アイスランドに自生する帰化植物で春と秋の年に2回収穫できる。畜産農場の余った土地で栽培も行われている。</small> |- |} <small>※モウセンゴケの粘液を入れたブランデーは、アクアエ・ヴィタエ・ロリス・ソリス(Aquae Vitae Roris Solis:水晶のように明るい命の水)という名称で販売されていた。</small> === アブラナ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Cochlearia officinalis - Common Scurvy Grass.png|155px]] |<br><small>(Skarfakál)</small> |キョクチトモシリソウ<br><small>(''Cochlearia officinalis'')</small> |<small>アブラナ科トモシリソウ属。古くはサラダ、スープに利用されるだけでなく、茹でてから[[ミーサ]]に漬けて冬の保存食とし、大麦や小麦粉と牛乳、[[スキール]]、ミーサなどと一緒に[[グロイトゥル|粥]]にも使用された。</small> |- |[[File:Cakile maritima - European Searocket.png|155px]] |<br><small>(Fjörukál)</small> |<small>ヨーロピアン・シーロケット</small><br><small>(''Cakile maritima'')</small> |<small>アブラナ科オニハマダイコン属。葉は多肉質で根も含めて食用。キョクチトモシリソウと用途や保存法は変わらない。1783年に発生したラキ火山の際には南部の住民を救った栄養源でもある。 </small> |- |[[File:Capsella bursa-pastoris - Shepherd's Purse.png|155px]] |<br><small>(Hjartarfi)</small> |ナズナ<small></small><br><small>(''Capsella bursa-pastoris'')</small> |<small>アブラナ科ナズナ属。血流を調整し、鼻血や月経出血、または出産後の出血を止めるために利用された。煎じ薬は冷やして飲むべきとされる。日本では “ 七草 ” の一つとして知られる。</small> |- |[[File:Cardamine hirsuta - Hairy Bittercress.png|155px]] |<br><small>(Hrafnaklukka)</small> |ミチタネツケバナ<br><small>(''Cardamine hirsuta'')</small> |<small>アブラナ科タネツケバナ属。</small> |- |[[File:Cardamine nymanii(Cardamine polemonioides)- Northern Field Bittercress.png|155px]] |<br><small>(Lambaklukka)</small> |<small>ノーザン・フィールド・ビタークレス</small><small></small><br><small>(''Cardamine nymanii'')</small> |<small>アブラナ科タネツケバナ属。ミチタネツケバナと同様の効果があるとされる。</small> |- |} <small>※キョクチトモシリソウは、古くからの薬用植物であり、食材である。溶解作用、利尿作用、発汗剤作用、血液浄化作用、また、生理不順(月経の促進)に効果があるとされた。新鮮な葉は砂糖と一緒に乳鉢で砕くのが最適とされる。根は生または調理して食された。今日では、リウマチ、浮腫、赤痢、さまざまな皮膚病などのの疾患に使用されている。砕いたた新鮮な葉を傷口に塗るのも良い。<br> カル(Kál)は “ キャベツ ” を意味する。これらはビタミンCを多く含み、それを摂食していたことで壊血病がそれほど蔓延しなかったとされる。塩を使わずにミーサ(乳清やホエイとも呼ばれる)を利用する保存法は伝統的な[[スールマートゥル]]に残っている。今日では壊血病に陥る人々はいないが、ビタミンC、ヨウ素、キャベツの風味を持つ食材として料理人や家庭から再び注目され、利用されている。<br> </small> === バラ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Argentina anserina - Common Silverweed.png|155px]] |<br><small>(Tágamura)</small><br><br><small>(Silfurmura)</small> |ヨウシュツルキンバイ<br><small>(''Argentina anserina'')</small> |<small>バラ科アルゲンチナ属。古くから、根、茎、葉、種子の全てが利用された。活力を与える強壮効果、発汗作用、駆虫作用があるとされ、下痢、出血、痛風に利用された。葉は煎じ薬、根は[[グロイトゥル|粥]]が主。</small> |- |[[File:Sanguisorba officinalis - Great Burnet.png|155px]] |<br><small>(Blóðkollur)</small> |ワレモコウ<br><small>(''Sanguisorba officinalis'')</small> |<small>バラ科ワレモコウ属。消化管、口腔、膣の炎症や傷に効果があるとされる。根の粉末は、傷口に塗り、鼻血は鼻から吸い込み止血する。全草の煎じ薬は下痢止めに用いる。葉や芽は食材にもなる。</small> |- |[[File:Alchemilla alpina - Alpine Lady's Mantle.png|155px]] |<br><small>(Ljónslappi)</small> |<small>アルパイン・レディース・マントル</small><br><small>(''Alchemilla alpina'')</small> |<small>バラ科ハゴロモグサ属。傷や切り傷の治癒、下痢、赤痢、出血を止めるために使用された。葉の煎じ薬を温めたものは喉のうがいに良いと考えられていた。</small> |- |[[File:Alchemilla filicaulis - Thin Stem Lady's Mantle.png|155px]] |<br><small>(Maríustakkur)</small> |<small>スィン・ステム・レディース・マントル</small><br><small>(''Alchemilla filicaulis'')</small> |<small>バラ科ハゴロモグサ属。収斂作用があり、たるんだ胸を引き締める効果がある。また、ひどい生理痛にも良いとされる。</small> |- |[[File:Filipendula ulmaria - Meadowsweet.png|155px]] |<br><small>(Mjaðjurt)</small> |セイヨウナツユキソウ<br><small>(''Filipendula ulmaria'')</small> |<small>バラ科シモツケソウ属。根の煎じ薬や粉末は、腎臓疾患に使用された。葉や花も発汗作用、鎮痛作用、治癒作用があるとされ、その煎じ薬は、下痢や出血の治療、重い傷の洗浄に用いられた。</small> |- |[[File:Urtica dioica - Common Nettle.png|155px]] |<br><small>(Brenninetla)</small> |セイヨウイラクサ<br><small>(''Urtica dioica'')</small> |<small>イラクサ科イラクサ属。リウマチや痛風の治療。花粉症、皮膚の発疹や小児湿疹、乾癬などの疾患。母乳生産の促進。腎臓を活性させ、血液の浄化、利尿作用などがある。葉を煎じ薬とする。</small> |- |[[File:Geum rivale - Water Avens.png|155px]] |<br><small>(Fjalldalafífill)</small> |フウリンダイコンソウ<br><small>(''Geum rivale'')</small> |<small>バラ科ダイコンソウ属。根にはさまざまな芳香物質と風味物質が含まれており、食べ物や飲み物の香辛料として使用されていた。また、食欲不振や消化不良に効果があり、強壮効果もあるとされる。</small> |- |} <small>※ヨウシュツルキンバイの粥は、すりつぶした根を水または牛乳で煮て食された。古い医学書には、胃の調子が悪い場合には煎じ薬を浴びるか、靴の中に詰め込むとよいと書かれている。乾燥葉は、空気中の湿気を吸収して傷みやすいため、乾燥した場所に保管するなどの注意する必要である。ドイツでは第二次世界大戦中、ひどい生理痛の薬として、根と葉を粉末にしたカプセルを販売していた。体の筋肉をリラックスさせる筋弛緩作用もある。<br> アイスランドでは、フウリンダイコンソウの花の煎じ薬は、持続性の肺炎や風邪、副鼻腔の閉塞に良いと考えられている。根は香辛料の一種として、 “ 草原ニンニクの根 ” (Engjanegulrót)と呼ばれた。根からも煎じ薬は作られ、病後の体力回復に適しているとされる。また、根を乾燥させた粉末は、重い傷口に振りかけて使用された。<br> セイヨウナツユキソウの葉は芳香性があるため、酒類であるミード(ハチミツ酒)製造の際、容器の内側に塗り込み、香料としても使用された。</small> === キントラノオ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Viola tricolor - Wild Pansy.png|155px]] |<br><small>(Þrenningarfjóla)</small><br><br><small>(Þrenningargras)</small> |サンシキスミレ<br><small>(''Viola tricolor'')</small> |<small>スミレ科スミレ属。一握りの生の葉を牛乳で煮たものを朝と夕方に摂取すると、ヒゼンダニによる皮膚疾患である疥癬(かいせん)などの感染症に効果があるとされている。</small> |- |[[File:Viola epipsila - Northern Marsh Violet.png|155px]] |<br><small>(Birkifjóla)</small> |タニマスミレ<br><small>(''Viola epipsila'')</small> |<small>スミレ科スミレ属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。食用花の一種で花が可食部となる。料理の彩りにも使われる。</small> |- |[[File:Salix herbacea - Dwarf Willow.png|155px]] |<br><small>(Grasvíðir)</small><br><br><small>(Smjörlauf)</small> |ドワーフ・ウィロー<br><small>(''Salix herbacea'')</small> |<small>ヤナギ科ヤナギ属。牧草に適した植物と考えられていた。種子は、コートゥン(Kotún)と呼ばれる綿状で、人々はそれを集めて、コットン同様に傷の手当や様々な用途に利用した。</small> |- |[[File:Linum catharticum - Fairy Flax.png|155px]] |<br><small>(Villilín)</small> |フェアリー・フラックス<br><small>(''Linum catharticum'')</small> |<small>アマ科アマ属。苦い味がある根の煎じ薬は、腸の働きを刺激するとされ、1日に2回飲まれていた。</small> |- |} <small>※スミレは他に、一般名ヒース・ドッグ・バイオレット(アイスランド語:Týsfjóla/学名:''Viola canina'')も見られるが用途は不明。</small> === ユキノシタ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Saxifraga oppositifolia - Purple Saxifrage.png|155px]] |<br><small>(Vetrarblóm)</small><br><br><small>(Lambarjómi)</small> |ムラサキユキノシタ<br><small>(''Saxifraga oppositifolia'')</small> |<small>ユキノシタ科ユキノシタ属。煎じ薬は、尿閉、女性の生理不順、腎臓結石を破壊し除去する効果があるとされている。</small> |- |[[File:Rhodiola rosea - Roseroot.png|155px]] |<br><small>(Burnirót)</small><br><br><small>(Blóðrót)</small> |イワベンケイ<br><small>(''Rhodiola rosea'')</small> |<small>イワベンケイ科イワベンケイ属。根は、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、β - エンドルフィンなどの神経伝達物質の生成を刺激する薬理作用をもち、強力な抗ストレス作用を発揮する。</small> |- |} <small>※アイスランドではバイキング時代から使用されてきた長い歴史をもつハーブで、海外では通称 “ 北極の根 ” (Arctic Root)とも呼ばれる。うつ症状や不安感を軽減し、精神を安定させ、集中力や気力を高める効果があり、化学合成された精神安定剤(向精神薬)ではなく、自然由来のため、非常に人気が高い。スウェーデンハーブ研究所は臨床試験で検証し、それは科学雑誌に掲載された。今日では、サプリメント、チンキ剤なども市販され、鎮静作用、治癒作用、抗炎症作用があり、老化防止にも役立つと考えられている。イワベンケイは、日本では標高が高いエリアのみで見られる。また、他国では高山病などに用いられる。アイスランドでは栽培も行われており、茹でてサラダにしたり、炒めて食用とされ、食材としても流通している。</small> === リンドウ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Gentianella campestris - Field Gentian.png|155px]] |<br><small>(Maríuvöndur)</small> |フィールド・ゲンティアン<br><small>(''Gentianella campestris'')</small> |<small>リンドウ科チシマリンドウ属。古くから、心臓病、食欲不振、鼓腸、膨満感、寄生虫、出血、腱炎、風邪、痛風に効くとされている普遍的な薬用植物。</small> |- |[[File:Lomatogonium rotatum - Marsh Felwort.png|155px]] |<br><small>(Blástjarna)</small> |マーシュ・フェルワート<br><small>(''Lomatogonium rotatum'')</small> |<small>リンドウ科ヒメセンブリ属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。</small> |- |[[File:Galium verum - Lady's Bedstraw.png|155px]] |<br><small>(Gulmaðra)</small> |カワラマツバ<br><small>(''Galium verum'')</small> |<small>アカネ科ヤエムグラ属。花のハーブティーは、制汗剤として夕方に飲むと良いとされた。他には、てんかんや様々な腱炎に効果があったとされる。根や葉の粉末は、傷口の止血に使用された。</small> |- |} <small>※マーシュ・フェルワートは、モンゴルでは、全草を乾燥させたものを急性肝障害を含む肝臓や胆汁の疾患を治療するための伝統薬として使用している。<br> アイスランドでは、カワラマツバは上記以外にも、疲労を緩和する効果や様々な皮膚疾患に特に効果があるとされる。ハーブティーは、強い薬物、アルコール、またはコーヒーを過剰摂取した場合のデトックス(解毒作用)に良いと考えられている。植物を細かく刻み、新鮮な羊の無塩バター(バター4に対してハーブ2の割合)を混合して作った軟膏は、痛めた腱に最適とされる。</small> === キキョウ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Campanula rotundifolia - Common Harebell.png|155px]] |<br><small>(Bláklukka)</small> |イトシャジン<br><small>(''Campanula rotundifolia'')</small> |<small>キキョウ科ホタルブクロ属。根は甘味があり、食用とされる。他には、繊維の染色にも利用されていた。</small> |- |} <small>※キキョウ類は主にアジアに生息するため、非常に珍しい。キキョウの根(桔梗根)は、中国医学では、鎮静、鎮痛、鎮咳、去痰、抗炎症、末梢血管拡張作用、痰を伴う咳、化膿性の腫れ物、喉の痛みに効果があるとされ、日本でも古くから生薬とされる。韓国では根はトラジ(도라지:桔梗の意味)と呼ばれる健康食材で、キムチなどに利用される。</small> === フウロソウ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Geranium sylvaticum - Wood Crane's Bill.png|155px]] |<br><small>(Blágresi)</small><br><br><small>(Storkablágresi, Litunargras)</small> |ウッド・クレインズ・ビル<br><small>(''Geranium sylvaticum'')</small> |<small>フウロソウ科フウロソウ属。葉の煎じ薬は、尿路結石を破壊し除去する効果があるとされる。他には、下痢やリウマチにも広く使用されている。葉は傷や皮膚疾患の治療にも適しているとされる。</small> |- |} === シソ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Thymus praecox - Wild Thyme.png|155px]] |<br><small>(Blóðberg)</small> |ワイルド・タイム<br><small>(''Thymus praecox'')</small> |<small>シソ科イブキジャコウソウ属。タイムの一種。</small> |- |[[File:Thymus praecox ssp. britannicus - Wild Thyme.png|155px]] |<br><small>(Blóðberg)</small> |ワイルド・タイム<br><small>(''Thymus praecox britannicus'')</small> |<small>シソ科イブキジャコウソウ属。ワイルド・タイムの亜種。</small> |- |[[File:Mentha aquatica - Water Mint.png|155px]] |<br><small>(Vatnamynta)</small> |ヌマハッカ<br><small>(''Mentha aquatica'')</small> |<small>シソ科ミント属。</small> |- |[[File:Lamium album - White Deadnettle.png|155px]] |<br><small>(Ljósatvítönn)</small> |オドリコソウ<br><small>(''Lamium album'')</small> |<small>シソ科オドリコソウ属。</small> |- |[[File:Lamium purpureum - Red Deadnettle.png|155px]] |<br><small>(Akurtvítönn)</small><br><br><small>(Rauðatvítönn)</small> |ヒメオドリコソウ<br><small>(''Lamium purpureum'')</small> |<small>シソ科オドリコソウ属。葉はデザートに添えられたりする。</small> |- |[[File:Galeopsis tetrahit - Common Hemp Nettle.png|155px]] |<br><small>(Garðahjálmgras)</small> |タヌキジソ<br><small>(''Galeopsis tetrahit'')</small> |<small>シソ科チシマオドリコソウ属。夏に開花前の若葉を採取する。長い間、脾臓を強化するために使用されてきた。また、呼吸器を潤し、去痰、ひどい咳に優れた効果があるため、広く使用されている。</small> |- |[[File:Prunella vulgaris - Common Selfheal.png|155px]] |<br><small>(Blákolla)</small> |セイヨウウツボグサ<br><small>(''Prunella vulgaris'')</small> |<small>シソ科ウツボグサ属。古くは、茶や煮汁が内出血を止めると考えられていた。葉や花の煎じ薬は、扁桃炎や喉の痛みの治療として知られている。煎じ薬には蜂蜜を加えても良い。</small> |- |[[File:Euphrasia frigida - Upland Eyebright.png|155px]] |<br><small>(Augnfró)</small> |<small>アップランド・アイブライト</small><br><small>(''Euphrasia frigida'')</small> |<small>ハマウツボ科コゴメグサ属。目の疲れ、目の曇りなど眼の改善に特化して利用される。また、抗アレルギー作用があるとされ、長引く風邪、副鼻腔の炎症、肺炎にも効果があるとされる。</small> |- |[[File:Euphrasia stricta - Drug Eyebright.png|155px]] |<br><small>(Augnfró)</small> |<small>ドラッグ・アイブライト</small><br><small>(''Euphrasia stricta'')</small> |<small>ハマウツボ科コゴメグサ属。</small> |- |[[File:Rhinanthus minor - Yellow Rattle.png|155px]] |<br><small>(Eggjasjóður)</small> |イエローラトル<br><small>(''Rhinanthus minor'')</small> |<small>ゴマノハグサ科オクエゾガラガラ属。皮膚軟化作用の他、咳、黄疸、肝炎、下痢に使用される。眼瞼炎や目ヤニを除去するための洗眼剤として使用されてきた。空咳にも効果があるとされる。</small> |- |[[File:Myosotis arvensis - Field Forget Me Not.png|155px]] |<br><small>(Gleym-mér-ei)</small> |ノハラムラサキ<br><small>(''Myosotis arvensis'')</small> |<small>ムラサキ科ワスレナグサ属。根を除く全体が利用される。肺に効果があるとされ、多くの肺疾患に使用されていた。軽度の傷や火傷の治療にも使用される。角質を柔らかくする皮膚軟化作用もある。</small> |- |[[File:Plantago major - Greater Plantain.png|155px]] |<br><small>(Græðisúra)</small><br><br><small>(Vogsúra)</small> |セイヨウオオバコ<br><small>(''Plantago major'')</small> |<small>オオバコ科オオバコ属。</small> |- |[[File:Plantago lanceolata - Ribwort Plantain.png|155px]] |<br><small>(Selgresi)</small> |ヘラオオバコ<br><small>(''Plantago lanceolata'')</small> |<small>オオバコ科オオバコ属。セイヨウオオバコと同じ効果があるとされる。</small> |- |[[File:Plantago maritima - Sea Plantain.png|155px]] |<br><small>(Kattartunga)</small> |ハマオオバコ<br><small>(''Plantago maritima'')</small> |<small>オオバコ科オオバコ属。</small> |- |[[File:Veronica officinalis - Heath Speedwell.png|155px]] |<br><small>(Hárdepla)</small> |セイヨウグンバイヅル<br><small>(''Veronica officinalis'')</small> |<small>オオバコ科クワガタソウ属。発汗作用、排尿作用、喘鳴、月経不順の改善に効果があるとされた。煎じ薬は、傷口の洗浄、目の曇りを除去するための洗眼剤にも使用された。</small> |- |[[File:Veronica anagallis-aquatica - Blue Water Speedwell.png|155px]] |<br><small>(Laugadepla)</small> |オオカワヂシャ<br><small>(''Veronica anagallis-aquatica'')</small> |<small>オオバコ科クワガタソウ属。根の粉末は鼻から吸引すると頭と視力を強化する。また、煎じ薬は古傷や重い傷をきれいにするとされる。</small> |- |[[File:Veronica persica - Common Field Speedwell.png|155px]] |<br><small>(Varmadepla)</small> |オオイヌノフグリ<br><small>(''Veronica persica'')</small> |<small>オオバコ科クワガタソウ属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。</small> |- |[[File:Veronica chamaedrys - Germander Speedwell.png|155px]] |<br><small>(Völudepla)</small> |カラフトヒヨクソウ<br><small>(''Veronica chamaedrys'')</small> |<small>オオバコ科クワガタソウ属。ノルウェーの捕鯨船によって移入されたと考えられている。アイスランドの伝統的な用途は不明。</small> |- |[[File:Hippuris vulgaris - Common Mare's Tail.png|155px]] |<br><small>(Lófótur)</small> |スギナモ<br><small>(''Hippuris vulgaris'')</small> |<small>オオバコ科スギナモ属。全草を使った煎じ薬は、体の外部および内部の出血に対する止血作用がある。</small> |- |[[File:Pinguicula vulgaris - Common Butterwort.png|155px]] |<br><small>(Lyfjagras)</small> |ムシトリスミレ<br><small>(''Pinguicula vulgaris'')</small> |<small>タヌキモ科ムシトリスミレ属。食虫植物の一種。チーズを作る上で牛乳を凝固させるために使われた。軟膏は、発疹、炎症、ひび割れ、古傷に使用された。葉の煎じ薬はハゲの予防に良いとされた。</small> |- |} <small>※ワイルドタイムは通称 “ アイスランドのタイム ” または “ 北極のタイム ” と呼ばれる。こだわりのシェフたちは自ら採取し、料理に用いる。酒類の[[アンジェリカ・ギン]]の原材料としても使われる。アイスランドではさまざまなフレイバーの塩が作られているが、それにも使われている。<br> タヌキジソは、副腎皮質ホルモンの分泌、利尿作用、また、貧血やその他の血液疾患に良いと考えられている。若葉を15~20分煮出した煎じ薬は、血液の強化、および浄化に非常に良いとされる。子供の場合は少量の摂取が必要である。<br> セイヨウグンバイヅルは、アイスランドで古くから崇められている薬用植物で上記以外にも、根の粉末をタバコに混ぜて吸ったり、鼻から吸い込むと頭脳と視力を強化すると信じられていた。<br> ムシトリスミレの軟膏は、細かく刻んだ葉90gを無塩バター120gと獣脂60gを長時間煮て、液状の部分を濾し取り、残ったものが軟膏になる。葉の煎じ薬で頭を洗浄してきれいにすることでことで、頭皮を強化し、ハゲの予防に良いとされた。<br> オオイヌノフグリは、アフガニスタンの薬草学者であるマホメット・アラム(Mahomet Allum:1858年頃 - 1964年3 月21日)によって、20世紀半ばにオーストラリアのアデレードで心臓病の患者の治療に使用した。ヘビ咬傷の治療、出血、関節リウマチ、喘息、去痰薬としても使用される。</small> === ムラサキ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Mertensia maritima - Oysterplant.png|155px]] |<br><small>(Blálilja)</small> |オイスタープラント<br><small>(''Mertensia maritima'')</small> |<small>ムラサキ科ハマベンケイソウ属。身体に栄養を与えて丈夫にし、心臓病や胸部疾患の治療に役立つと考えられていた。根を潰して牛乳で煮たものは健康に良いとされている。</small> |- |} <small>※葉には、チーズの香気成分である有機硫黄化合物のジメチルスルフィド (Dimethyl sulfide:DMS) が含まれている。牡蠣(オイスター)の場合、生食を敬遠するような硫黄臭に似た香りも同じ物質である。これは鮮度の問題より、海水の富栄養化やプランクトンなどに影響される。</small> === キク目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Tripleurospermum maritimum - Sea Mayweed.png|155px]] |<br><small>(Baldursbrá)</small> |イヌカミツレ<br><small>(''Tripleurospermum maritimum'')</small> |<small>キク科シカギク属。古くは、月経の誘発、死亡胎児の娩出、後産や停滞した血液を除去するために使用されていた。葉や花の煎じ薬は、発汗作用、駆虫作用があり、心臓を強化するとされる。</small> |- |[[File:Taraxacum officinale - Common Dandelion.png|155px]] |<br><small>(Túnfífill)</small><br><br><small>(Fífill)</small> |セイヨウタンポポ<br><small>(''Taraxacum officinale'')</small> |<small>キク科タンポポ属。タンポポは、茎を除き、根、葉、花が食用とされる。通常の食材として調理したり、自家製のジャムやシロップの原料となる。採取シーズンは春から初夏。</small> |- |[[File:Senecio vulgaris - Common Groundsel.png|155px]] |<br><small>(Krossfífill)</small> |ノボロギク<br><small>(''Senecio vulgaris'')</small> |<small>キク科キオン属。煎じ薬は、さまざまな発熱、頭痛、腹痛に使用された。他に、胆石や痙攣の治療にも使用されてきた。</small> |- |[[File:Erigeron borealis - Alpine Fleabane.png|155px]] |<br><small>(Jakobsfífill)</small> |アルパイン・フリーベン<br><small>(''Erigeron borealis'')</small> |<small>キク科ムカシヨモギ属。葉と花の煎じ薬は、黄疸や関節痛に効果があるとされた。他には、炎症、火傷、傷などの外用治療に使用されてきた。</small> |- |[[File:Achillea millefolium - Yarrow.png|155px]] |<br><small>(Vallhumall)</small> |セイヨウノコギリソウ<br><small>(''Achillea millefolium'')</small> |<small>キク科ノコギリソウ属。</small> |- |[[File:Achillea ptarmica - Sneezewort.png|155px]] |<br><small>(Silfurhnappur)</small> |スニーズワート<br><small>(''Achillea ptarmica'')</small> |<small>キク科ノコギリソウ属。葉は、生でサラダ、または調理して食用となる。</small> |- |[[File:Cirsium arvense - Creeping Thistle.png|155px]] |<br><small>(Þistill)</small> |セイヨウトゲアザミ<br><small>(''Cirsium arvense'')</small> |<small>キク科アザミ属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。</small> |- |} <small>※セイヨウノコギリソウは最高の薬草のひとつとされ、強壮、軟化、収縮、溶解、浄化、腱の伸びやこわばりを改善するとされている。根の粉末は、臭いのある傷口に振りかけるのに適しており、歯の穴に詰めることもあった。お茶、スープ、軟膏によく使われる。お茶にする場合は、アルパイン・レディース・マントル(Alchemilla alpina)やタイム(Thymus praecox)など、他の植物も一緒に入れることが多い。煎じ薬は風邪やリュウマチを和らげ、シワをなくすと信じられていた。洗顔にも使われ、醜い傷はそれで洗われることが多かった。葉の軟膏は軟らかくなり、ハンドクリームとして使われたが、発疹、腫れ、びらん、潰瘍などにもよく効く。</small> === ユリ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Paris quadrifolia - Herb Paris.png|155px]] |<br><small>(Ferlaufungur)</small><br><br><small>(Páraiséad)</small> |クルマバツクバネソウ<br><small>(''Paris quadrifolia'')</small> |<small>シュロソウ科ツクバネソウ属。ヒ素や水銀中毒の解毒剤として作用するといわれている。他国では主に根が薬用として使用されていた。果実は有毒。</small> |- |} === キジカクシ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Allium oleraceum - Field Garlic.png|155px]] |<br><small>(Villilaukur)</small> |フィールド・ガーリック<br><small>(''Allium oleraceum'')</small> |<small>ヒガンバナ科ネギ属。アイスランドでは古い時代に薬用植物として持ち込まれたと考えられている。畑や農場付近の数か所にしか見られない。同国では自然保護法に基づいて保護されている。</small> |- |} <small>※葉はタマネギの風味をもつ。かつては、ヴァイキングのお気に入りの野菜で主にキャベツ料理の香辛料として使用されていたとされる。スウェーデンでは18世紀まで同様に使用されていた。また、フィンランドの学者である エリアス・リョンロート(Elias Lönnrot :1802年4月9日 - 1884年3月19日)は、使用法について語っている。ノルウェーでは過去には食品の香料として使用されていた。植物そのものの個体数が減っているため、今日では稀である。</small> === オモダカ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Tofieldia pusilla - Scottish Asphodel.png|155px]] |<br><small>(Sýkigras)</small> |<small>スコティッシュ・アスフォデル</small><br><small>(''Tofieldia pusilla'')</small> |<small>チシマゼキショウ科チシマゼキショウ属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。</small> |- |} === ツツジ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Calluna vulgaris - Common Heather.png|155px]] |<br><small>(Beitilyng)</small> |ギョリュウモドキ<br><small>(''Calluna vulgaris'')</small> |<small>ツツジ科ギョリュウモドキ属。膀胱炎や尿路感染症に特に効果があるとされる。他に、ハーブティーは安眠効果、軟膏はリウマチやその他の炎症に効くとされている。</small> |- |[[File:Arctostaphylos uva-ursi - Bearberry.png|155px]] |<br><small>(Sortulyng)</small> |クマコケモモ<br><small>(''Arctostaphylos uva-ursi'')</small> |<small>ツツジ科クマコケモモ属。果実や葉の粉末を煎じたものは薬として使用された。粉末は小さじ半分をスプーン1杯の[[ミーサ]]に入れて1日2回、煎じ薬は大さじ1杯を1日3回摂取した。</small> |- |} <small>※クマコケモモの葉に含まれるアルブチン(Arbutin:C12H16O7)は抗菌作用があり、尿路結石や尿路感染症、大腸菌感染症、その他、下痢(赤痢を含む)、口内炎、皮膚の欠損にも効果があったとされ、アイスランドでは今日でも薬局方に記載されている。定期的な摂取は膀胱炎の予防になることが研究により示された。ただし、副作用があり、乾燥葉をわずか 15g 摂取しただけで吐き気や嘔吐などの中毒症状を引き起こす可能性があるため、過剰摂取や長期間の摂取は常に注意が必要である。子供、妊婦、授乳中の女性は使用してはならない。<br> クマコケモモの葉は、日本では「ウワウルシ」と呼ばれる生薬で、尿路殺菌薬として腎盂炎、尿道炎、膀胱炎などに用いられる。</small> === キンポウゲ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Thalictrum alpinum - Alpine Meadow Rue.png|155px]] |<br><small>(Brjóstagras)</small> |チシマヒメカラマツ<br><small>(''Thalictrum alpinum'')</small> |<small>キンポウゲ科カラマツソウ属。女性の乳がんや乳腺炎に使用された。他の病気や内部感染症、喉の痛みなどにも利用されたと考えられている。</small> |- |} === フトモモ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Chamerion angustifolium - Rosebay Willowherb.png|155px]] |<br><small>(Sigurskúfur)</small> |ヤナギラン<br><small>(''Chamerion angustifolium'')</small> |<small>アカバナ科ヤナギラン属。消化器官の炎症に使用される他、外用では治癒と皮膚軟化作用があるとされる。また、葉はサラダ、春採りの根は塩バター炒め、若い茎はアスパラガスと同様に食用となる。</small> |- |[[File:Chamerion latifolium - Dwarf Fireweed.png|155px]] |<br><small>(Eyrarrós)</small> |ヒメヤナギラン<br><small>(''Chamerion latifolium'')</small> |<small>アカバナ科ヤナギラン属。葉は収斂作用があるため、開いた傷の上に当てた。煎じ薬は頭痛を治し、血液循環を調節し鼻血を止め、乾燥させた根は血腫を治すとされている。</small> |- |} === マツムシソウ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Valeriana officinalis - Common Valerian.png|155px]] |<br><small>(Garðabrúða)</small> |セイヨウカノコソウ<br><small>(''Valeriana officinalis'')</small> |<small>オミナエシ科カノコソウ属。アイスランドの帰化植物。南部で見られるが、他の地域では珍しい。古くから庭園などで栽培され、そこから拡がって自生するようになった。薬用植物の一つ。</small> |- |[[File:Succisa pratensis - Devil's Bit Scabious.png|155px]] |<br><small>(Stúfa)</small> |マツムシソウモドキ<br><small>(''Succisa pratensis'')</small> |<small>スイカズラ科サクシサ属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。</small> |- |} <small>※セイヨウカノコソウはヨーロッパでは広く知られる薬用植物で多くの地域で栽培されており、それを原料として鎮静剤が作られている。アイスランドでは地域が限られているため、一般的にほとんど使用されていない。特にワインと一緒に飲むと利尿作用があり、脇腹の痛みに効果があるとされる。根は疫病を防ぐために使われていた。猫が根の匂いを嗅ぐと瞳孔が開くことから、目の病に良いとされた。この香気成分には、マタタビと同様に猫を興奮させる効果があるため、男女の恋愛感情も刺激するという古い迷信がある。根には強力な鎮静作用のある物質が含まれている。</small> === サクラソウ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Trientalis europaea - Chickweed Wintergreen.png|155px]] |<br><small>(Sjöstjarna)</small><br><br><small>(Fagurblóm)</small> |ツマトリソウ<br><small>(''Trientalis europaea'')</small> |<small>サクラソウ科ツマトリソウ属。砕いた花や葉は、さまざまな目の疾患に効果があるとされ、患部に当てて使用された。根の煎じ薬は、嘔吐を誘発するために使用されていた。</small> |- |} === ケシ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Papaver radicatum - Arctic Poppy.png|155px]] |<br><small>(Melasól)</small> |ホッキョクヒナゲシ<br><small>(''Papaver radicatum'')</small> |<small>ケシ科ケシ属。不眠症(睡眠障害)、鋭い痛み、腱の緊張に良いとされる。小さく切った花を濃い白ワインの中に入れて室温で1週間放置すると、ドロップができる。花が白やピンクの種もある。</small> |- |} <small>※白やピンクの種(Stefánssól)</small> === イワヒバ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Selaginella selaginoides - Lesser Clubmoss.png|155px]] |<br><small>(Mosajafni)</small> |コケスギラン<br><small>(''Selaginella selaginoides'')</small> |<small>イワヒバ科イワヒバ属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。</small> |- |} <small>※フィンランドでは伝統医学として、くる病の治療薬に使用されてきた。</small> === ヒカゲノカズラ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Huperzia selago - Fir Clubmoss.png|155px]] |<br><small>(Skollafingur)</small> |コスギラン<br><small>(''Huperzia selago'')</small> |<small>ヒカゲノカズラ科コスギラン属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。</small> |- |} <small>※他の北欧諸国では、煎じ薬は、シラミの駆除、堕胎、便通を促して腸内寄生虫の虫下しなどに強力な効果があるとされ、使用されていた。</small> === ハナヤスリ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Ophioglossum azoricum - Small Adder's Tongue.png|155px]] |<br><small>(Naðurtunga)</small> |<small>スモール・アダーズ・タング</small><br><small>(''Ophioglossum azoricum'')</small> |<small>ハナヤスリ科ハナヤスリ属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。地熱のある場所でのみで見られる。</small> |- |} <small>※ヨーロッパの伝統的な民間療法では、葉や根茎を傷の治癒や湿布として使用している。砕いた葉を液体の油で煮て作られた傷軟膏は、通称「慈善のグリーンオイル」(Green Oil of Charity)と呼ばれた。また、葉の煎じ薬は、内出血や嘔吐に用いられた。</small> === ウラボシ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Polypodium vulgare - Common Polypody.png|155px]] |<br><small>(Köldugras)</small> |オオエゾデンダ<br><small>(''Polypodium vulgare'')</small> |<small>ウラボシ科エゾデンダ属。根の煎じ薬は、発汗作用、利尿作用、去痰作用がある。また、リウマチの腫れや痛み、婦人科系疾患に効くとされている。咳止めシロップにも使用されている。</small> |- |[[File:Dryopteris filix-mas - Male Fern.png|155px]] |<br><small>(Köldugras)</small> |セイヨウオシダ<br><small>(''Dryopteris filix-mas'')</small> |<small>オシダ科オシダ属。根茎は腸内の寄生虫を駆除するために何世紀にもわたり使用されてきた。今日でも多くの薬局方に記載されている。茎には毒が含まれるため、大量摂取には注意が必要である。</small> |- |[[File:Athyrium filix-femina - Lady Fern.png|155px]] |<br><small>(Fjöllaufungur)</small> |セイヨウメシダ<br><small>(''Athyrium filix-femina'')</small> |<small>イワデンダ科メシダ属。</small> |- |} <small>※オオエゾデンダの根茎には甘草の香りがあり、甘い味がする。セイヨウオシダの根茎は約15gを食べる必要があるが、人々はその前にニンニクを食べていた。</small> === トクサ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Equisetum arvense - Field Horsetail.png|155px]] |<br><small>(Klóelfting)</small> |スギナ<br><small>(''Equisetum arvense'')</small> |<small>トクサ科トクサ属。春に芽を出す胞子茎は、バター炒めや牛乳粥と煮込んで食される。また、煎じ薬は、尿閉、下痢、痔、便秘に良いとされた。地下茎(塊茎)は、甘味がある。</small> |- |} <small>※日本では、スギナの胞子茎(胞子を放出する茎)は “ つくし ” または “ つくしんぼ ” として知られる春の山菜の一つ。</small> === ニシキギ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Parnassia palustris - Marsh Grass of Parnassus.png|155px]] |<br><small>(Mýrasóley)</small> |ウメバチソウ<br><small>(''Parnassia palustris'')</small> |<small>ニシキギ科ウメバチソウ属。肝臓や消化管の慢性的な炎症、痔、持続的な下痢に対して広く使用されている。また、うつ病や不整脈の治療、治りにくい傷にも使用されている。</small> |- |} <small>※植物自体は目に有害とされたが、その煎じ薬は肝炎や脾腫、風邪や胸の圧迫感に良いと考えられていた。</small> === マメ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Anthyllis vulneraria - Common Kidney Vetch.png|155px]] |<br><small>(Gullkollur)</small> |クマノアシツメクサ<br><small>(''Anthyllis vulneraria'')</small> |<small>マメ科アンティリス属。花のつぼみは、傷の外用治療に使用されてきた。お茶は、吐き気や嘔吐を軽減し、妊娠初期のつわりに効果がある。乗り物酔いにも良い。子供の便秘にも与えられる。</small> |- |[[File:Trifolium repens - White Clover.png|155px]] |<br><small>(Hvítsmári)</small><br><br><small>(Smári, Sápublóm, Hrútafífill)</small> |シロツメクサ<br><small>(''Trifolium repens'')</small> |<small>マメ科シャジクソウ属。葉の煎じ薬は、炎症、胸痛、黄疸、特に膿瘍に良いとされた。葉や花の粥は、むくみや炎症に良いとされた。根を刻んで牛乳で煮たものは最良の食べ物とされている。</small> |- |[[File:Trifolium pratense - Red Clover.png|155px]] |<br><small>(Rauðsmári)</small> |ムラサキツメクサ<br><small>(''Trifolium pratense'')</small> |<small>マメ科シャジクソウ属。花や葉で作った粥は、潰瘍や腸の痛みを治すために使われた。</small> |- |[[File:Lathyrus japonicus - Sea Pea.png|155px]] |<br><small>(Baunagras)</small> |ハマエンドウ<br><small>(''Lathyrus japonicus'')</small> |<small>マメ科レンリソウ属。古くは宮殿で食された。葉、花、若い莢(さや)や柔らかい種子は食用となる。ただし、神経毒が含まれるため、過剰摂取は禁物である。</small> |- |[[File:Vicia cracca - Tufted Vetch.png|155px]] |<br><small>(Umfeðmingur)</small> |クサフジ<br><small>(''Vicia cracca'')</small> |<small>マメ科ソラマメ属。</small> |- |} <small>※ハマエンドウを含むレンリソウ属の多くは、神経毒素の一種である β-N-オキサリル-L-α、β-ジアミノプロピオン酸が含まれており、ラチリズム(Lathyrism)と呼ばれる神経および身体障害に陥るリスクが高いため、過剰摂取は禁物である。主な症状は、脱力感、倦怠感、下半身や足の麻痺、足の筋肉の萎縮、骨格の変形などを含む、運動失調症、骨関節症、血管運動症を発症し、慢性的な疾患、または不治の病とされる。日本でハマエンドウ(浜豌豆)は一般的に流通はしないが、民間的に山野草(さんやそう)の一種として摂食量をわきまえた上で食されている。豆類を多く食するインドの一部地域では販売を禁止し、発病を防止している。中国では葉を伝統医学(漢方薬)として利用している。</small> === イネ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Elytrigia repens - Common Couch.png|155px]] |<br><small>(Húsapuntur)</small> |シバムギ<br><small>(''Elytrigia repens'')</small> |<small>イネ科シバムギ属。麦に似るが雑草の一種。根の煎じ薬は、消化と利尿作用があり、1日4回1~2杯飲むと便秘にも効果的とされる。貧しい人々は、根を小麦粉の代わりに使用した。</small> |- |[[File:Elymus alopex - No Common Name.png|155px]] |<br><small>(Kjarrhveiti)</small> |なし<br><small>(''Elymus alopex'')</small> |<small>イネ科エゾムギ属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。パンコムギ(学名:''Triticum aestivum'')やデュラムコムギ(学名:''Triticum durum'')の近縁種。農作物野生近縁種(CWR)の一つ。</small> |- |[[File:Anthoxanthum nitens(Hierochloe odorata)- Holy Grass.png|155px]] |<br><small>(Reyrgresi)</small> |ホーリーグラス<br><small>(''Anthoxanthum nitens'')</small> |<small>イネ科ハルガヤ属。乾燥させると香りが顕著になるため、乾燥させたものは、家屋や倉庫に良い香りを付ける芳香剤として使用される。また、自然療法や酒類の香辛料としても利用される。</small> |- |[[File:Leymus arenarius - Lyme Grass.png|155px]] |<br><small>(Melgresi)</small> |ライムグラス<br><small>(''Leymus arenarius'')</small> |<small>イネ科テンキグサ属。穀物は南部のスカフタフェルスシースラ(Skaftafellssýsla)で食用とされた。細い根は縫製に使用された。</small> |- |[[File:Glyceria fluitans - Floating Sweet Grass.png|155px]] |<br><small>(Flóðapuntur)</small> |フローティング・スウィートグラス<br><small>(''Glyceria fluitans'')</small> |<small>イネ科ドジョウツナギ属。</small> |- |[[File:Phalaris arundinacea - Reed Canary Grass.png|155px]] |<br><small>(Strandreyr)</small> |クサヨシ<br><small>(''Phalaris arundinacea'')</small> |<small>イネ科クサヨシ属。</small> |- |[[File:Phleum pratense - Timothy Grass.png|155px]] |<br><small>(Vallarfoxgras)</small> |オオアワガエリ<br><small>(''Phleum pratense'')</small> |<small>イネ科アワガエリ属。アイスランドにおける伝統的な用途は不明。欧米ではアレルゲン抽出物(GRASTEK)は花粉症の治療薬として使用されている。</small> |- |[[File:Eriophorum angustifolium - Common Cotton Grass.png|155px]] |<br><small>(Klófífa)</small><br><br><small>(Marghneppa)</small> |シュムシュワタスゲ<br><small>(''Eriophorum angustifolium'')</small> |<small>カヤツリグサ科ワタスゲ属。種子の綿毛は、枕やソファーなどのクッション素材として利用された。通常は、羊毛(ウール)と同様に紡績された。</small> |- |} <small>※学名(''Elymus alopex'')は、北欧では気候変動に適応した将来的な食糧生産に向けたプロジェクトとして「農作物野生近縁種」(CWR:Crop Wild Relatives)のリストに含まれている。これらは栽培作物と密接に関連する野生種であり、干ばつ、水害、害虫などに対する耐性を持つ遺伝的特性がある。また、新たな作物の開発に必要な遺伝子ベースとなる。</small> == 樹木 == === ブナ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Betula pubescens - Downy Birch.png|155px]] |イルムビョーク<br><small>(Ilmbjörk)</small><br>ビルキ<br><small>(Birki)</small> |ヨーロッパダケカンバ<br><small>(''Betula pubescens'')</small> |<small>カバノキ科カバノキ属。シラカバ(白樺)の一種で一般的には通称 “ ビルキ ” と呼ばれる。羊肉やサーモンの燻製に伝統的に使われている。</small> |- |[[File:Betula pubescens - Birch Leaves.png|155px]] |<small>ビルキブルーズ</small><br><small>(Birkiblöð)</small><br><small>ビルキラウフ</small><br><small>(Birkilauf)</small> |<small>ヨーロッパダケカンバの葉</small><br><small>(Birch Leaves)</small></small> |<small>新しく葉を茂らせた緑葉が良いとされる。採取シーズンは6月。新鮮な葉や乾燥葉はハーブティーに使用される。その他、ジュースも販売されている。</small> |- |[[File:Betula pubescens - Birch Bark.png|155px]] |<small>ビルキボルクル</small><br><small>(Birkibörkur)</small><br><small>ビルキベルキ</small><br><small>(Birkiberki)</small> |<small>ヨーロッパダケカンバの樹皮</small><br><small>(Birch Bark)</small></small> |<small>樹皮の煎じ薬(ベルキヌゥム・セイディ:Berkinum seyði)は、下痢に効果があり、暴飲暴食に不可欠とされた。樹皮の粉末は、吐き気や嘔吐、食欲不振などに効果がある。採取は枝も含む。</small> |- |[[File:Betula pubescens - Birch Sap.png|155px]] |<small>ビルキサーヴィ</small><br><small>(Birkisafi)</small> |<small>ヨーロッパダケカンバの樹液</small><br><small>(Birch Sap)</small></small> |<small>樹液の採取は年に一回、4月中旬~5月中旬までの一ヶ月間のみ。アイスランド南西部のハウカダールの広大な森林地帯が主な採取地。主にシロップや酒類の醸造に利用されてきた。</small> |- |[[File:Betula nana - Dwarf Birch.png|155px]] |フィヤルドラピ<br><small>(Fjalldrapi)</small> |ヒメカンバ<br><small>(''Betula nana'')</small></small> |<small>カバノキ科カバノキ属。</small> |- |[[File:Betula nana - Dwarf Birch Leaves.png|155px]] |<small>ブルーズ・フィヤルドラパ</small><br><small>(Blöð fjalldrapa)</small> |<small>ヒメカンバの葉</small><br><small>(Dwarf Birch Leaves)</small></small> |<small>ハーブティーは、ヨーロッパダケカンバの葉に劣らず、効果があるとされている。</small> |- |} <small>※ヨーロッパダケカンバの葉は、血液浄化剤と考えられており、体内の余分な水分を排出する利尿作用があるため、腎臓病の治療に使用される。他にリウマチ、痛風などの関節炎、傷などの外部治癒、湿疹や乾癬などの皮膚疾患などにも幅広く利用されている。 また、樹液は葉と同様に健康に良いと考えられている。血圧を安定させる作用、腎臓への負担を軽減させる作用、他に抗炎症作用や血液浄化作用など、健康に有用なさまざまな物質が含まれているとされ、ガンとの闘いにも役立つとされている。これまで樹液を含んだ食品は、シロップ、酒類などであったが、2010年に初めてジュース(大量生産ではない)が商品化された。味はスイカに似ており、アイスクリームに用いた場合、味に最適な結果をもたらしたことから商品化に向けて開発が進められいる。</small> === マツ目 === {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Picea sitchensis - Sitka Spruce.png|155px]] |シトカグレン二<br><small>(Sitkagreni)</small><br>グレン二<br><small>(Grení)</small> |シトカトウヒ<br><small>(''Picea sitchensis'')</small> |<small>マツ科トウヒ属。アイスランドで最も一般的な林業樹木の一つ。高樹木のためクリスマスツリーには不向きとされるが利用価値は高く、庭木とする人々もいる。</small> |- |[[File:Picea sitchensis - Spruce Shoots.png|155px]] |<small>グレンニスプロータ</small><br><small>(Grenisprotar)</small> |<small>トウヒの新芽</small><br><small>(Spruce Shoots)</small> |<small>民間療法などで古くから利用されてきた。主にシロップに利用される。針葉が硬くなる前の新芽は軟らかくサラダとしても食用が可能である。レモンの風味が特徴でビタミンCを豊富に含む。</small> |- |[[File:Pinus contorta - Lodgepole Pine.png|155px]] |スターファフラ<br><small>(Stafafura)</small> |コントルタマツ<br><small>(''Lodgepole Pine'')</small> |<small>マツ科マツ属。アイスランドで最も利用されている林業樹木の一つ。クリスマスツリーに適しているとされ、庭木としても人気が高い。</small> |- |[[File:Pinus contorta - Young Pinecones.png|155px]] |<small>コングル</small><br><small>(Köngull)</small> |<small>松ぼっくり</small><br><small>(Pinecone)</small> |<small>木質になる前の緑の松笠(松ぼっくり)は、お茶やジャムに利用する。これはアイスランドに限らず、ロシアを含む寒冷地域で見られる。ほとんどが個人で採取し、自家消費として利用される。</small> |- |[[File:Juniperus communis - Common Juniper.png|155px]] |エイニル<br><small>(Einir)</small> |セイヨウネズ<small></small><br><small>(''Juniperus communis'')</small> |<small>ヒノキ科ビャクシン属。</small> |- |[[File:Juniperus communis - Juniper Berry.png|155px]] |<small>エイニベルヤ</small><br><small>(Einiberja)</small> |<small>ジュニパーベリー</small><small></small><br><small>(Juniper Berry)</small> |<small>セイヨウネズの球果。</small> |- |} <small>※アイスランドでは全ての針葉樹の若芽には薬効があるとされ、枝、茎、種子が有毒とされるマツ目イチイ科を除いてほとんどが食用となる。採取シーズンは6月頃から。トウヒの新芽を食用とするのはノルウェー、カナダなどの寒冷地域でも見られる。日本では松葉は松葉茶として利用されている。</small> == 外来種 == {| class="wikitable" border="1" style="text-align: center; color: |- ! style="width: 0%"|画像 ! style="width: 20%"|現地名 ! style="width: 20%"|一般名(学名) ! style="width: 25%"| |- |[[File:Anthriscus sylvestris - Cow Parsley.png|155px]] |<br><small>(Skógarkerfill)</small> |シャク<br><small>(''Anthriscus sylvestris'')</small> |<small>セリ目セリ科シャク属。1920年代に観賞用としてアイスランドに持ち込まれたと考えられている。同国における用途は不明。北欧諸国や他国では薬用および食用として使用されている。</small> |- |} <small>※根茎には、リグナン化合物であるデオキシポドフィロトキシン(Deoxypodophyllotoxin:DPT)が含まれており、ガン細胞の増殖の抑制および死滅を含む抗がん作用、抗腫瘍効果が認められ、注目を集めている。また、化粧品や栄養補助食品に使用できる活性物質も含まれている。<br> ノルウェーの植物学者であるイェンス・ホルンボー(Jens Holmboe:1880年5月5日 - 1943年7月24日)によれば、ニンジンの近縁種であり、古代において根は最も重要な食糧源の一つであったという。ノルウェーでは人間に対して軽度の毒性があると警告しているが、依然として栽培(家庭菜園を含む)され、根は食用とされている。この毒性はアルカロイドの一種であるケロフィリン(Chaerophyllin:C21H20O6)に起因すると考えられ、菌類に侵された植物個体に発生する可能性があるとしている。<br> フィンランドでは、若葉はスープ、根はバースニップ(白人参)に似た根菜として食用とされている。</small> == ギャラリー == *'''ラーバルバルアスルタ:'''ルバーブのジャム。アイスランドの代表的なジャムでピザにも添えられる。新たにバニラの風味を加えたものは、2014年のフードコンテストで金賞を受賞した。 *'''ランバシュニッツセル:'''ラムのカツ。ルバーブのジャムを添えるのが定番。 *'''ラーバルバルアグロイトゥル:'''ルバーブの粥。アイスランドの粥は甘いミルク仕立て。 *'''ラーバルバルアグラニータ:'''ルバーブのグラニテ。グラニテはシャーベットのようなもの。 *'''フィフラシーロプ:'''タンポポのシロップ。 *'''ビルキシーロプ:'''ヨーロッパダケカンバのシロップ。原材料は樹液と葉、砂糖のみで添加物は不使用。 *'''グレン二シーロプ:'''シトカトウヒの新芽のシロップ。 *'''ビルキテー:'''ヨーロッパダケカンバのハーブティー。 *'''ビルキサーヴァ:'''ヨーロッパダケカンバの葉のジュース。 *'''ビルキサーヴィ:'''ヨーロッパダケカンバの樹液のジュース。 *'''ラーバルバルアサルト:'''ルバーブの塩。 *'''レイクトゥ・サルト:'''燻製塩。ヨーロッパダケカンバが使われている。 *'''アンジェリカ・ジン:'''セイヨウトウキをはじめ、国内で採れる野生植物が使われているジン。 *'''ルバーブ・ビターズ:'''ルバーブを酒に漬け込んだビターズ。家庭やBARなどで自家製で作られる。 *'''ビルキル:'''ヨーロッパダケカンバのシュナップス。 *'''ビョーク:'''ヨーロッパダケカンバのリキュール。アイスランドのアーティスト名が由来ではない。 *'''レイキャヴィク・ジン:'''国内と地元で採れる野生植物が使われている。 *'''エイニベルヤ・ギン:'''ジュニパーベリーを使ったジン。 <gallery mode="packed"> Image:Icelandic Cuisine -(Rhubarb Jam)Rabarbarasulta.png|[[スルタ|ラーバルバルアスルタ]]<br>(Rabarbarasulta) Image:Icelandic Cuisine - Lambasnitsel.png|ランバシュニッツセル<br>(Lambasnitsel) Image:Icelandic Cuisine -(Rhubarb Porridge)Rabarbaragrautur.png|<small>ラーバルバルアグロイトゥル</small><br>(Rabarbaragrautur) Image:Icelandic Cuisine - Rabarbaragraníta.png|ラーバルバルアグラニータ<br>(Rabarbaragraníta) Image:Icelandic Teas -(Birch Tea)Birkite.png|[[ビルキテー]]<br>(Birkite) Image:Icelandic Health Drinks -(Birch Juice)Birkisafa.png|[[ビルキサーヴァ]]<br>(Birkisafa) Image:Icelandic Health Drinks - Birkisafi.png|[[ビルキサーヴィ]]<br>(Birkisafi) Image:Icelandic Cuisine -(Dandelion Syrup)Fíflasíróp.png|フィフラシーロプ<br>(Fíflasíróp) Image:Icelandic Cuisine -(Birch Syrup)Birkisíróp.png|ビルキシーロプ<br>(Birkisíróp) Image:Icelandic Cuisine -(Spruce Syrup)Grenísíróp.png|[[グレン二シーロプ]]<br>(Grenísíróp) Image:Icelandic Cuisine -(Norður Salt)Rabarbarasalt.png|[[フルーグサルト|ラーバルバルアサルト]]<br>(Rabarbarasalt) Image:Icelandic Cuisine -(Norður Salt)Reykt saltt.png|[[フルーグサルト|レイクトゥ・サルト]]<br>(Reykt saltt) Image:Icelandic Gins - ANGELICA GIN.png|[[アンジェリカ・ギン]]<br>(Angelica Gin) Image:Icelandic Liqueurs - Rhubarb Bitters.png|[[ラーバルバルア|ルバーブ・ビターズ]]<br>(Rhubarb Bitters) Image:Icelandic Liqueurs -(200ml)Rabarbara.png|[[ラーバルバルア]]<br>(Rabarbara) Image:Icelandic Spirits -(200ml)Ákavíti.png|[[アゥカヴィティ]]<br>(Ákavíti) Image:Icelandic Schnapps -(50ml)Birkir.png|[[ビルキル]]<br>(Birkir) Image:Icelandic Liqueurs -(50ml)Björk.png|[[ビョーク]]<br>(Björk) Image:Icelandic Bitters -(50ml)Börkur.png|[[ボルクール]]<br>(Börkur) Image:Icelandic Vodka -(50ml)Bjarki.png|[[ビヤルキ]]<br>(Bjarki) Image:Icelandic Gins - VOR.png|[[ヴォール]]<br>(VOR) Image:Icelandic Gins - WILD DRY GIN.png|[[ワイルド・ドライ・ジン]]<br>(Wild dry Gin) Image:Icelandic Gins -(Cucumber Gin)Reykjavík Gin.png|[[レイキャヴィク・ジン]]<br>(Reykjavík Gin) Image:Icelandic Gins - Einiberja Gin.png|[[エイニベルヤ・ジン]]<br>(Einiberja Gin) </gallery> == 関連項目 == *[[アイスランド料理一覧]] *[[アイスランドの果実類]] *[[アイスランドのキノコ類]] *[[アイスランドの地衣類]] ---- [[カテゴリ:アイスランドの野草類|*]] [[カテゴリ:アイスランドの食材|草]]
アイスランドの野草類
に戻る。
案内メニュー
個人用ツール
アカウント作成
ログイン
名前空間
ページ
議論
変種
表示
閲覧
ソースを表示
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWikiについてのヘルプ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
特別ページ
ページ情報